第37回 深み

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公開日 : 2018.7.4
更新日 : 2023.7.12
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石田博氏の写真

奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

第37回深み

2016年2月、世界ソムリエコンクール出場のトレーニングのため、パリに滞在していました。

ホテルに住み込み、日中は筆記試験対策の勉強、夜はレストランで研修という日々でした。

メンターをかって出てくれたのが、ジェラール・マルジョンさん。世界に約30店舗展開する、アラン・デュカスのコーポレート・ソムリエです。

レストラン研修もマルジョンさんの計らいで実現したのです。

レストランのサービスが始まる1時間前に行くと、マルジョンさんがワインをズラリと用意して待ち構えていて、マンツーマンのトレーニングが始まります。

そこで、毎日のように言われたのが、「ワインの表面だけ嗅ぎとっていてはダメだ。液体の底に向かってゆくんだ。そこに本質がある。それを見つけるんだ」ということでした。

「ダメだ!まだたち昇ってくる香りしか捉えてないぞ」、「目をつぶって、集中して嗅ぐんだ。コンクールでは一瞬でやらなければいけない」、「果実香や花、樽香をよけて、本質に向かってゆけ」こんな具合です。

このトレーニングで掴もうとしていたのは、「深み」です。奥行きとも言うことができます。

香りには第1アロマ(品種由来の香り)と第2アロマ(発酵由来の香り)という、「たち昇ってくる香り」と、第3アロマ(主に熟成由来)のように「潜んでいる香り」があります。前者ははっきり感じられ、鼻にグラスを近づけると認知できます。

後者はそうはゆきません。見過ごしてしまいやすいのです。

近年、銘醸ワイン産地の素晴らしい造り手によるワインは、香りのインパクトは抑えられていて、控えめなものが多いです。それを「香りは少なくて、ニュートラル」と判断してしまってはいけません。コンクールでは大きな過ちをおかすことになります。

なんの香りかという、あいまいなところがありますが、土っぽい香りや、ヨード、鉱物などです。すべてのワインにあるわけではありません。こういった深みが感じられるワインは長期熟成が可能な、ポテンシャルの高いワインです。

ガヤ カ・マルカンダ・ヴィスタマーレは、香りは控えめですが、成熟度が高く、濃縮感があります。

ピーチ、マスカット、シュロの実、カシューナッツと、アロマティックで、深みがあります。味わいはスムース・エントリーで、リッチな広がりがあります。厚みがあり、溌剌とした酸味がメリハリのあるボディをつくります。成熟度の高さからくる苦味によりドライフィニッシュとなります。

ヴェルメンティーノは近年人気が高い、大変アロマティックな品種で、もう一つの名産地サルデーニャではより一層華やかな香りが特徴です。

しかし傾向として、落ち着きのある香りのものが見つけられるようになりました。それは多くの場合、秀逸な造り手によるものです。その控えめな分、奥行きのあるワインとなっている、と理解することができます。グラスワインとしても楽しめますが、ボトル1本を、温度変化、空気接触とともに、じっくり味わっていただきたいですね。

「深み」を感じるワイン

ヴィスタマーレ /カ・マルカンダ(ガヤ)

(イタリア トスカーナ)

詳しくはこちら >

イタリアワインの帝王ガヤがボルゲリで造る白ワイン。

ワイン名の「ヴィスタマーレ」とは、イタリア語で「オーシャンビュー、海を臨む」を意味し、眩しい太陽と青い海、明るい海岸の光景からインスピレーションを受けて名づけられています。

※こちらの商品は、7月中旬販売予定です。

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