1776年に設立された老舗シャンパーニュメゾン、ルイ・ロデレール。ロシア皇帝アレクサンドル2世の要望により誕生した特別なシャンパーニュは、彼の名声を象徴するようクリスタル製の瓶に入れられました。それが現在の『クリスタル』のもととなっており、今なお世界中のワイン愛好家を魅了しています。
今回の研修では、ルイ・ロデレール社が歩んだ歴史を伺うとともに、地下セラーや製造工程を見学。また、リリースを9月に控え話題騒然の『クリスタル 2008年』についても伺いました。
なぜ造られた?『クリスタル』誕生秘話!
今年で240周年を迎える、ルイ・ロデレール社。今回の訪問では、7kmにもおよぶ広大な地下セラーの一部を見学させていただきました。
カーヴ内にはピュピトル(滓下げ台)に瓶口を下に向けた『クリスタル』が、ずらり。ルイ・ロデレールでは、ボトルを回転させるルミュアージュ(動瓶)を、毎日1人の職人が行っているそう。その数、なんとおよそ3万5千本。すべて丁寧に手作業で行われており、メゾンの『クリスタル』に対する強いこだわりが感じられました。
『クリスタル』とは、世界最古という歴史あるプレスティージュ・キュヴェ。今なお世界中のシャンパーニュ愛好家を魅了し続けるこの特別なシャンパーニュの起源は18世紀にまで遡ります。
ルイ・ロデレールが最初にシャンパーニュを輸出した国は、ロシアでした。ルイ・ロデレールのシャンパーニュを寵愛していたロシア皇帝アレクサンドル2世と、ルイ・ロデレール2世はお友達だったそう。1873年に皇帝からスペシャルなシャンパーニュを造って欲しいと依頼され、3年後の1876年に最初の『クリスタル』が誕生しました。
左の写真に写る黒いボトルは、『クリスタル』の生産を開始した1876年以前のもの。当時、アレクサンドル2世は10回もの暗殺未遂に悩まされていました。そこで、宮廷で出すに値する品質はもちろんのこと、ボトルに何か仕掛けられないよう底は平らにし、毒が入っていないとわかるよう透明にする必要があったためクリスタルガラスで造られました。
そのためこの特別なシャンパーニュは『クリスタル』と名付けられました。1908年にアレクサンドル2世の孫にあたるニコライ2世が、『クリスタル』をロシア王室御用達のシャンパーニュに指定。写真の右の書類は、王室御用達の証明書で、下にはサインがあります。この『クリスタル』の誕生によって、ルイ・ロデレールは世界でその名を知られるようになりました。
100点満点を獲得!話題騒然の『クリスタル 2008年』
2009年が先にリリースされ、満を持してリリースされる『クリスタル 2008年』。
著名な評論家のジェームス・サックリング氏は「驚くべき凝縮感と素晴らしいバランス。嘗てないほどに見事なロデレールのクリスタルのひとつに数えられる。長期熟成向きのワイン。セラーで6、7年寝かせてから楽しむことを勧める。だが、この偉大なシャンパーニュの溌剌とした若々しさを楽しまないのも惜しい。要するに、いつ飲んでも完璧なシャンパーニュということだ。」と絶賛し、100点満点をつけています。
また、権威あるワイン評価誌Wine Enthusiastでは「この有名なブランドを体現する見事なワイン。伝説的なクリスタル2002に匹敵する。非の打ちどころのないバランスの良さ。凝縮したミネラル香とリンゴの風味が織り交ざり、テクスチャーを感じさせるだけでなくフルーティーな仕上がりのワイン。大部分がビオディナミ農法を実施するルイ・ロデレール社の自社畑のブドウを使用し、力強くピュアなキレの良さが特徴のシャンパーニュ。驚くほど高いポテンシャルを備え、かなりの長期熟成が期待できる。」と、こちらでも100点満点を獲得。
リリース前から話題となっているシャンパーニュ愛好家垂涎の1本です。2008年のシャンパーニュ地方は、太陽と冷涼な気候とのバランスがうまく取れた、コントラストのある気候。
ジャン・バティスト・レカイヨン氏
世界でも最も優れた醸造家に5回も選ばれた醸造責任者のジャン・バティスト・レカイヨン氏は、「クリスタル2008は、深みのある、濃厚で見事なシャンパー ニュです。繊細な張りとしっかりとした凝縮感をもたらす石灰質土壌の真髄。」と語っています。
今回の訪問では、2002年と2008年の『クリスタル』を同時に飲み比べる貴重な機会をいただきました。
エキスポート・ダイレクターのフレデリック・エドシック氏は「この2008年が同じ6年間熟成したら、この素晴らしい2002年をしのぐのは間違いないだろう。」と力強く語っていました。エノテカでは9月リリース予定。皆様、お愉しみに。
最後までお読み頂きありがとうございました。是非、ルイ・ロデレール社のこだわりのシャンパーニュの数々を、お楽しみください。
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