ワインの造り方とは?ワインの醸造方法を解説

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公開日 : 2024.11.11
更新日 : 2024.11.11
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ワインの造り方とは?

ワインは、古くから人々に愛されてきたお酒であり、その魅力は多岐にわたります。味わいや香り、さらには食事とのペアリングによって、私たちの食卓を豊かに彩る存在です。


そんなワインの背景や造り方を理解することでもっとワインを飲むことが楽しくなりますよ。


今回はワインの造り方に焦点を当て、醸造の基本的な流れを解説します。赤ワインや白ワインはもちろん、スパークリングワインやロゼワイン、オレンジワインといった多様な種類についてもソムリエの解説付きで詳しくご説明します。


この記事がワインの奥深さを知り、自分の好みを見つける手助けとなりますように。

ホットワインの作り方はこちら

解説してくれるのは、紫貴あきさん


紫貴あきさん

ワイン講師 日本最大級ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の人気講師。初心者から上級者まで唸らせる質の高いレッスンが評判で、その指導実績は3500人超。その他、企業研修、メディアへの執筆・監修・取材協力、出演など幅広く活動している。 著書『キャラクターでわかるワイン図鑑』(かんき出版)を2024年12月4日に出版。

目次

基本的なワインの造り方

収穫したブドウ

まずは基本となる赤ワインと白ワインの造り方についてご説明します。ワインの造り方は、他のお酒と比べて非常にシンプル。特に基本的な原料がブドウのみ、というのが特徴的です。


ブドウにはアルコール発酵のもととなるブドウ糖が豊富に含まれており、これが酵母によってアルコールに変わります。


まずは赤ワインと白ワインはどのようにして色合いの異なるワインになるのか。紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!赤ワインと白ワインの造り方の大きな違いは?

白ワインといえば、見た目は黄色っぽく、一般的にタンニンが含まれていません。これは白ワインが白ブドウのみならず、黒ブドウを原料にして、「果汁」だけで仕込まれているからです。 そのため、白ワインを造る工程では、色素とタンニンが含まれている果皮、タンニンが含まれている種子と果汁を分ける作業(圧搾)をアルコール発酵が始まる前に行います。 たしかに、ブドウの果皮が緑っぽくても、青紫っぽくても果皮を取ってしまえば、黄色っぽい果汁を取り出すことができますね。

白ワインの造り方

一方、赤ワインといえば、見た目は赤っぽく、タンニンが含まれています。これは、赤ワインは黒ブドウを主原料として、「果汁・果皮・種子」を使って仕込まれているからです。 特に白ワインと大きく異なるのは、果皮・種子と果汁を分けるタイミング。赤ワインではアルコール発酵が終わった後に、果皮・種子と果汁を分けます。理由は、赤く、タンニンを含んだお酒にするため、発酵中に紅茶の茶葉から色やタンニンを取り出すように、果皮・種子から色やタンニンを取り出す「醸し(かもし)」の作業を行う必要があるからです。

赤ワインの造り方
赤ワインと白ワインの大きな違い

赤ワインの造り方

ではここからは細かく赤ワインの醸造フローをお伝えします。以下の10のステップで赤ワインは造られます。

1.収穫

2.選果

3.除梗・破砕

4.主発酵・醸し

5.圧搾

6.マロラクティック発酵(MLF)

7.熟成

8.澱引き

9.清澄・濾過

10.瓶詰め

1.収穫

ブドウの収穫

ブドウが完熟したタイミングで収穫します。手摘みと機械収穫があります。収穫の時期は品種や地域によって異なり、北半球では9~10月、南半球では3~4月です。

2.選果

ブドウを選果しているところ

収穫したブドウから、傷んだり未熟なものを取り除きます。手摘みのブドウは、収穫時と選果台の2段階でチェックされます。

3.除梗・破砕

次に行われるのが除梗と破砕。赤ワインの風味や色調に大きな影響を与える重要なプロセスです。


ブドウの房から茎(=果梗)を取り除く作業を「除梗(じょこう)」、果実を軽く潰して果汁を出す「破砕(はさい)」と言います。


除梗をすることで過剰な渋みを防ぎ、破砕によって果皮や種から色素とタンニンが抽出されます。

4.主発酵・醸し

主発酵と醸しは赤ワインの風味や色合い、骨格を決定づける非常に重要な工程です。


除梗・破砕したブドウの果汁、果皮、種を一緒に発酵させることで、色素やタンニンが抽出され、赤ワイン特有の風味が形成されます。


このプロセスで果皮や種子を果汁に浸す工程を「醸し(かもし)」と呼び、浸漬時間が長いほど、濃厚でしっかりした味わいになります。


通常、発酵は5日〜2週間続き、この発酵によりアルコールが生成されます。

5.圧搾

発酵が終わった後、残った果皮や種を圧搾してワインを取り出します。圧搾によって得られるワインは、通常2種類に分けられます。


フリーラン・ワイン:過度な圧をかけずに自重で引き抜かれたワイン。果皮や種にあまり触れないため、タンニンが少なく、一般的にフルーティーで柔らかい味わいになります。

プレスワイン:圧搾機で果皮や種子から絞り出されたワイン。タンニンや色素がより多く含まれており、しっかりした構造と濃厚な味わいが特徴です。


プレスワインはしっかりとしたボディを持ちますが、タンニンが多すぎると苦味や渋味が強くなることがあるため、フリーラン・ワインとプレスワインを調整してブレンドすることが一般的です。

6.マロラクティック発酵(MLF)

ワイン中のリンゴ酸を乳酸菌によって乳酸に変えるプロセスです。これにより酸味が和らぎ、口当たりが滑らかになります。赤ワインではほとんどのケースで実施されます。

7.熟成

オーク樽での熟成

発酵を終えたワインをオークの樽、もしくはステンレスタンクに移して熟成させます。赤ワインの色調が安定し、風味がより複雑になります。


この熟成容器の違いで味わいにどのような違いが生まれるのでしょうか。紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!オーク樽とステンレスタンクでの熟成によって何が変わるの?

オーク樽はカシの木からできています。そのため、この容器でワインを寝かすと、木目から、ヴァニラ香がワインにつき、香りや風味に複雑さを与えます。また、オークは樽の外からの酸素を透過する性質があります。 赤ワインの場合、ワインにほんの少し酸素が含まれることで、荒々しいタンニンが柔らかくなって親しみやすい味わいになります。そのためタンニンが多い品種でオーク樽熟成が好まれます。 それに対して、ステンレス製タンクは名前のとおりステンレス鋼からできているために、ワインに香りをつけることはなく、ワイン果汁そのものの香りが保たれます。酸素を透過しないため、荒々しいタンニンを和らげる働きがありません。そのため、もともとタンニン量が少ないワイン(ガメイで造られたボージョレ・ヌーヴォーなど)に使われることが多いのです。

8.澱引き

熟成中に酵母や果肉片などの浮遊物(=澱)が底に沈殿するため、澱を取り除くために上澄みを別の容器に移します。この工程はタンクや樽での貯蔵・育成中に数回行われます。

9.清澄・濾過

ワインをさらに透明にするために、清澄剤を使用したり、濾過を行います。澱引きで十分な透明度が得られた場合は、濾過を省略することもあります。

10.瓶詰め

最終的にワインを瓶に詰め、コルクやキャップで封をします。


早飲みタイプは瓶詰め後すぐに出荷されますが、熟成タイプはさらに瓶内での熟成を経てリリースされることもあります。

赤ワイン

以上のようなプロセスで赤ワインは造られますが、仕上がった赤ワインには透き通るような淡いものから、黒味を帯びた濃い色合いまで、濃淡にも違いがあります。その違いはどの工程によるものなのか、紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!濃い赤ワイン、淡い赤ワインがあるのはなぜ?

赤ワインのなかでも、色の淡いものから、濃いものまでバリエーションがあります。 この理由の一つに、ブドウ品種の特徴が挙げられます。果皮が厚いブドウ品種は、赤色の素とタンニンをたくさん含んでいるので、色の濃いワインになります。有名なものにカベルネ・ソーヴィニヨンが挙げられるでしょう。逆に、果皮の薄い品種は、明るい赤色になります。代表的なものにピノ・ノワールが挙げられます。 二つ目に、上述した「醸し」の時間です。紅茶をいれるときに、長い間、茶葉と接触させると、濃くて渋い紅茶になります。赤ワインも同じで、果皮・種子と果汁を接触させる時間が長いと、色の濃いワインになるのです。

白ワインの造り方

白ブドウの収穫

では次は白ワインの醸造です。赤ワインと比べ、果皮や種子との接触が少ない点が大きな違いで、白ワイン特有のフレッシュで軽やかな風味を作り出します。

1.収穫

2.選果

3.除梗・破砕

4.圧搾

5.主発酵

6.マロラクティック発酵(MLF)

7.熟成

8.澱引き

9.清澄・濾過

10.瓶詰め

1.収穫

白ワイン用のブドウは酸味やフレッシュさを維持するため、赤ワイン用のブドウよりも早めに収穫されることが多いです。同様に手摘みや機械で行われます。

2.選果

赤ワイン用ブドウと同様です。収穫したブドウから、傷んでいたり未熟なものを取り除きます。手摘みのブドウは、収穫時と選果台の2段階でチェックされます。

3.除梗・破砕

次に行われるのが除梗と破砕。白ワインのフレッシュさを保つために必要なプロセスです。


除梗により過剰な渋みや苦味がワインに入らないようにします。その後、破砕によって果実を軽く潰し、果汁を取り出します。


赤ワインとの違いは、この段階で果皮や種と果汁があまり接触しない点です。白ワインではこの後にすぐ圧搾が行われるため、果皮から色やタンニンが抽出されることはほとんどありません。

4.圧搾

赤ワインでは発酵後に行う圧搾を白ワインは発酵前に行います。


白ワインの場合、果皮や種子と果汁がほとんど接触しないため、タンニンや色素が抽出されることが抑えられ、フレッシュでクリアな果汁が得られます。


圧搾された果汁はすぐに発酵工程に進むため、この段階でブドウのフレッシュさや酸味がワインに反映されやすく、白ワイン特有の爽やかな味わいに繋がります。

5.主発酵

白ワインでは、圧搾によって果皮や種子を取り除いた果汁のみを発酵させるため、赤ワインのような醸しの工程は行われません。このため、色素やタンニンの抽出はなく、白ワインはフレッシュで軽やかな風味が特徴となります。


果汁はステンレスタンクや木樽に移され、酵母を加えることで発酵が始まります。発酵は10日〜3週間ほど続き、この過程で果汁中の糖分がアルコールへと変わります。

6.マロラクティック発酵(MLF)

ワインのスタイルによってはまろやかな風味を得るためにマロラティック発酵を行うことがあります。

7.熟成

ステンレスタンクでの熟成

発酵を終えたワインをオークの樽、もしくはステンレスタンクに移して熟成させます。


白ワインでもスタイルや品種によって熟成容器が変わります。どのような違いがあるのか紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!オーク樽とステンレスタンクでの熟成によって何が変わるの?

白ワインの場合、シャルドネのようなニュートラルな香りの品種では、ヴァニラ香が映えるので、オーク樽熟成が好まれます。 一方で、リースリングのような華やかな白ワインは、オーク樽で寝かすとヴァニラの香りとバッティングしてしまうため、むしろ素の香りの豊かさを活かすため、ステンレス製タンクで寝かすことが一般的です。

8.澱引き

白ワインは除梗・破砕の段階で果皮を取り除くため、澱は酵母や果肉片に限られます。そのため、赤ワインよりも澱の量は少なく、澱引きの頻度も比較的少ないことが一般的です。

9.清澄・濾過

果実味や香りを最大限に引き出すために、特に清澄や濾過が重要です。透明度を高めることで、清らかでフレッシュな印象を与えます。清澄剤の使用も多いですが、味わいを損なわないように慎重に行われます。

10.瓶詰め

白ワインは早飲みタイプが多く、瓶詰め後すぐに出荷されることが一般的です。ただし、熟成向きの白ワイン(たとえば、オーク樽熟成したシャルドネなど)も存在し、その場合は瓶内熟成が行われることがあります。

グラスに入った白ワイン

以上のようなプロセスで白ワインは造られますが、仕上がった白ワインに辛口があったり甘口があったり、味わいはさまざまです。その違いはどの工程によるものなのか、紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!ワインは甘口だったり辛口だったりするのはなぜ?

甘口/辛口を決めるキーポイントは、アルコール発酵時に酵母がエサとなる糖分を食べ切るか、食べ切らないで残すかによって変わってきます。果汁中の糖分を食べ切れば、ワインは辛口になります。 それに対して、エサとなる糖分が多すぎて、酵母が糖分を食べ切らなかったとき、果汁中に糖分が残って甘口になります。 それでは、どんなときに糖分の多い果汁になるのでしょう。それは「極端に甘いブドウ」を使ったときです。この「極端に甘いブドウ」は、以下の方法で手に入れることができます。 ①ブドウの収穫時期を遅らせる ②収穫後に干しブドウにする(マンゴーを乾かすと甘味が増すのと同様) ③ブドウを氷結させる ④「貴腐菌」と呼ばれる特殊なカビを使う これらのブドウでワインを造ることで果汁中の糖分が高まり、甘口の白ワインが造られます。

赤ワインと白ワイン

ここまで、基本的な赤ワインと白ワインの造り方について説明してきましたが、ワインの歴史は非常に長いため、現代に至るまでにどのような違いがあったのか気になりませんか?


紫貴さんによれば、実は古代と現代のワインの造り方の基本的なプロセスは共通しているそうです。それでは、現代の技術によってどのようなプロセスが変わったのでしょうか?

ソムリエ解説!古代と現代に造り方に違いはあるの?

顕著に異なる点は以下の二つです。 ①アルコール発酵 古代では、アルコール発酵は「天然酵母」といって、ブドウや蔵にもともといる酵母を利用して行っていました。容器も大きなアンフォラ(陶器のこと)を使い、温度管理も行っていませんでした。 現代では、アルコール発酵は、「培養酵母」といって特定なものを使用したり、ステンレス製タンクを使って温度管理が行われたりするようになりました。 ②熟成 古代では、ワインの熟成には陶器や動物の皮で作られた袋などが使われていました。長期間の貯蔵が難しく、ワインは比較的短期間で消費されることが多かったようです。 ところが、現代はオーク樽やステンレス製タンクで熟成されるようになり、長期熟成も可能になったのです。

ロゼワイン、オレンジワインの造り方

ワイングラス

赤ワインと白ワインの造り方の違いが分かったところで、気になるのは両者の中間的な存在であるロゼワインとオレンジワインです。近年、日本でも人気が高まり、ワインリストに4種類が並んでいることも珍しくなくなってきました。


そんなロゼワインとオレンジワインの造り方を簡単に言うと、黒ブドウで造る白ワインのように造るのがロゼワイン白ブドウで赤ワインのように造るのがオレンジワインです。


それぞれを詳しくご紹介します。

ワインの造り方

ロゼワインの造り方

ロゼワインの製法は大きく分けて二つあります。一つは、黒ブドウを使って白ワインと同様の製法で造られる場合、もう一つは、黒ブドウを用いた赤ワインの製造過程で造られる場合です。

ロゼワインの造り方

セニエ法

セニエ法は、赤ワインの製造過程で生まれるロゼワインの製法です。ブドウの果汁を発酵前に短時間だけ果皮と接触させ、その後果汁を抜き取ります。


このプロセスにより、ほんのり色づいた淡いピンク色のワインが生まれます。セニエ法によるロゼワインは、よりフルーティーでしっかりとした風味が特徴です。

直接圧搾法

直接圧搾法は、白ワインと同様の製法でロゼワインを造る方法です。黒ブドウを軽く圧搾する際、果皮から淡い色素が果汁に溶け込みます。圧搾の時間を調整することで、ピンク色のロゼワインが出来上がります。


直接圧搾法で造られるロゼワインは、繊細で軽やかな味わいが特徴で、フレッシュな酸味と香りが楽しめます。


このように仕上がったロゼワイン、淡いロゼや濃いロゼなど色合いが異なります。どのようにして違いが生まれるのか紫貴さんに聞きました。醸造方法による違い以外にもあるそうです。

ソムリエ解説!ロゼワインの色合いの違いはどのように生まれるの?

ロゼワインの色の違いは、品種、醸造方法によってもたらされます。 ①品種の違い ブドウの酸の高さによって色が変わります。酸が高い品種はよりピンクに、低い品種はサーモン色になる傾向があります。 例えば、シラーやムールヴェードルのような品種は、鮮やかなピンクに、それに対してティブラン(※1)のような品種を使った場合は、サーモンピンクになります。 ②手法による違い 直接圧搾法では淡いソメイヨシノのようなピンクになります。 それに対して、セニエ法ではやや濃くなる傾向があります。この方法では、紅茶の醸しのように、どれくらい醸しを行ったかによって色の濃さが変わってきます。

※1 フランス・プロヴァンス地方で栽培されている黒ブドウ品種。

オレンジワインの造り方

オレンジワイン

オレンジワインは、原料が白ブドウなだけで赤ワインと同じプロセスで造られています。


よくオレンジワインをオレンジから造られるフルーツワインだと誤解されがちですが、白ブドウから造られるオレンジ色をしたワインです。


ではどうしてオレンジになるのでしょうか。紫貴さんに聞きました。

ソムリエ解説!オレンジワインはどうしてオレンジ色になるの?

白ブドウ品種を使って、赤ワインを造るようにアルコール発酵時に醸しを行うとオレンジっぽい色合いになります。理由は、白ブドウ品種の果皮にも、黄色っぽく見える色素の「カロテノイド」が含まれており、それが果汁に抽出されるからです。 この色合いは、醸しの時間とブドウ品種によって変わってきます。 果皮の接触時間が長いほど、より深い色と複雑な風味が引き出されます。また、甲州やリボッラ・ジャッラ(イタリアの土着品種)のように、果皮が厚く、色素をしっかり抽出できる品種は、オレンジワイン特有の色合いが生まれます。

スパークリングワインの造り方

スパークリングワイン

最後にお伝えするのがスパークリングワインの造り方です。これまでご説明してきたワインと異なる点は、発泡性があることです。この泡こそがスパークリングワインの最大の特徴であり、おいしさの鍵です。


スパークリングワインの特徴である泡立ちを生む方法は大きく分けて三つ、「トラディショナル方式」「シャルマ方式」「トランスファー方式」があります。

トラディショナル方式(シャンパン方式)

一つ目がトラディショナル方式です。この方法では、一次発酵を終えたスティルワイン(発泡していないワイン)に酵母と糖分を加えて瓶詰めし、密閉した瓶内で二次発酵を行い、泡を発生させます。


ゆっくりとワインを発酵させるため、きめ細かな泡が生まれます。時間と手間、コストがかかるため、この製法で造られるスパークリングワインは高価格帯になることが多いです。シャンパンもこの製法で造られるため、シャンパン方式とも呼ばれます。

シャルマ方式(タンク方式)

シャルマ方式は、スティルワインを大きなタンクで二次発酵させる方法です。この方式はトラディショナル方式よりもコストがかからず、短期間で大量に生産できます。


製造過程で空気に接触しないため、フレッシュでフルーティーな味わいに仕上がります。

トランスファー方式

最後がトランスファー方式です。瓶内で二次発酵させたワインを加圧したタンクに移し、冷却・濾過してから新しいボトルに詰め替える方法です。


これはトラディショナル方式の工程を一部省いたもので、コストを抑えることができます。スッキリとした味わいのスパークリングワインに仕上がります。



このようなプロセスで造られたスパークリングワインは、味わいにもさまざまな違いがあります。特に、甘口のスパークリングワインに出合うことが多いかもしれません。その違いについて、紫貴さんに教えていただきました。

ソムリエ解説!スパークリングワインの甘さはどのように決まるの?

スパークリングワインの甘みは主に二つの方法で決まります。 ①シャンパン、フランチャコルタなど トラディショナル方式で造られるスパークリングワイン(シャンパンやフランチャコルタなど)では、瓶詰め時にワインに甘味成分を加えることが一般的です。この工程を「ドザージュ」と呼び、どれくらいの甘味を加えるかによって、甘さの程度が変わります ②アスティ アスティは大きなタンク内でアルコール発酵を開始し、アルコールと炭酸ガスを生成させていきます。その途中でタンクを冷却することで、酵母の動きが止まり、すなわちアルコール発酵も止まるのです。こうすることで、ブドウの持つ糖分が果汁中に残ります。この残糖がワインの甘さを造り出しているのです。

まとめ

ワインの造り方は、シンプルながらも多様な工程が組み合わさっており、それぞれのステップがワインの最終的な味わいや香りに大きく影響します。


ワインはただの飲み物ではなく、その一杯にはたくさんの時間と愛情が詰まっています。今後は、ワインをより深く味わうためのヒントとして、これらの醸造方法を思い出し、各ワインの持つ個性を味わってみてください。おいしいワインとの出合いが、あなたの食卓をさらに豊かに彩ることを願っています。

文=川畑あかり

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