バローロだけじゃない!普段から愉しめるピエモンテワインとは?

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公開日 : 2018.8.28
更新日 : 2022.5.28
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ピエモンテワインのボトル

イタリア北西部に位置するピエモンテ州。イタリアきっての美食の地、そして随一の高級ワインの産地として知られ、代表的なワインとしてバローロ、バルバレスコの名前を聞いたことがある人は多いかもしれません。

しかし、ピエモンテの魅力はバローロやバルバレスコだけにとどまりません。スパークリングワインから白ワイン、そしてお手頃価格で愉しめる多彩な赤ワインまで、造られるタイプも品種もバラエティ豊か。地元ではこのようなワインが日常的に料理と合わせて愉しまれています。

今回はその中でもドルチェット、バルベラ、ネッビオーロという、ピエモンテを代表する3つの固有の黒ブドウ品種から造られるお手頃なワインをご紹介。それぞれの品種の特徴から、地元での愉しまれ方、料理も合わせてご紹介します。

目次

ドルチェット:料理と合わせやすい“エブリデイワイン”

ブドウ品種:ドルチェット

ブドウ品種:ドルチェット

ピエモンテの代表的な品種のひとつ、ドルチェット。以前はネッビオーロより広く栽培され、高価なワインを造る品種として知られていましたが、現在では毎日飲むワインとして地元で圧倒的な支持を集めています。

味わいは、果実味豊かで酸が少なく、しっかりとしたタンニンを有するのが特徴。フルーティーで早飲みタイプが多く造られます。

「Dolce=甘い」という意味ですが、これは決してワインが甘口という訳ではなく、食用に供されていたブドウが甘かったため、この名前が付けられたと言われています。

ドルチェット・ダルバ・マンドルロ

ドルチェット・ダルバ・マンドルロ / エルヴィオ・コーニョ

中でもおススメなのは、エルヴィオ・コーニョが造るドルチェット・ダルバ・マンドルロ

ドルチェットの中では、酸味とタンニンのバランスが取れた非常に洗練された印象で、品種の個性であるジューシーな果実味がしっかりと感じられ、余韻には心地よい苦みを伴います。

冷製の前菜

地元でドルチェットと一緒にしばしば愉しまれるのが、「カルネ・クルーダ(生肉のタルタル)」や「ヴィテッロ・トンナート(仔牛肉のツナマヨネーズソースがけ)」といった冷製の前菜類です。

以前から赤ワインの生産量が多かったピエモンテでは、白ワインやスパークリングワインとのマリアージュをイメージするような食材にも、フードフレンドリーさが魅力のドルチェットを合わせることが多かったそうです。

生肉を食べる文化があまりない日本では、「カルネ・クルーダ」の代わりに生の魚、例えばマグロの醤油漬けなどの魚料理と合わせるのも良さそう。軽めの肉料理、例えばゴマダレの冷しゃぶや梅シソのささみはもちろん、果実味の甘さと余韻の苦みから、筑前煮など甘じょっぱい和食と合わせてみるのもおススメです。

この合わせられる料理の幅広さがドルチェットの魅力のひとつ。「普段の食事に合わして飲むのはドルチェット」と語るバローロの造り手も多く、地元では“エブリデイワイン”と呼ばれ親しまれています。まさに万能型のワインであると言えるのではないでしょうか。

バルベラ:化粧映えする?地元で愛されるワイン

ブドウ品種:バルベラ

ブドウ品種:バルベラ

イタリアでサンジョヴェーゼ、モンテプルチアーノ、メルロに続く4番目の栽培面積を誇る品種バルベラ。フレッシュな果実味とソフトなタンニン、そして豊かな酸が特徴です。

ネッビオーロと比べると、若いうちから親しみやすいカジュアルな味わいが人気の理由。現地においても、家族の中でネッビオーロ好きとバルベラ好きに分かれることもあるそうです。

長らく地元で愛される低価格路線ワイン用のブドウとみなされてきたバルベラですが、80年代から90年代にイタリアで成功したスーパータスカンの影響を受けて新樽で熟成されるものが現れたことを皮切りに、その樽との相性の良さから近年は高級路線のワインも多く登場しています。

バルベラ・ダルバ

バルベラ・ダルバ / プルノット

おススメはプルノットが造るこちらのバルベラ・ダルバ。フレンチオークの大樽で熟成させているモダンなスタイルの1本です。

チェリーやスミレの華やかなアロマに、樽由来のバニラ香が見事に溶け込んだ香り。綺麗な酸に滑らかなタンニンが融和し、バルベラらしいピュアな果実味が存分に感じられる優しい味わいです。

タヤリン

相性の良い郷土料理として挙げられるのは、卵黄をたっぷりと使ったピエモンテが誇るパスタ、「タヤリン」や、肉やチーズを詰めたラビオリの一種、「アニョロッティ」。

郷土料理の他にも、この品種特有のしっかりとした酸と程よい樽香は、酸味が乗ったトマトソースパスタやひき肉をふんだんに使ったミートソースパスタの味わいを引き立ててくれるでしょう。

こうしたカジュアルに愉しめるスタイルの他にも、前述のエルヴィオ・コーニョは樹齢100年のバルベラからバルベラ・ダルバ・プレ・フィロキセラといった複雑な味わいのワインを生み出していたり、また、生産者によっては単一畑名のバルベラを生産していたりと、そのスタイルは様々。品種のもつ可能性に魅せられる者も多く、デイリーレンジからプレミアムレンジまで、多彩なスタイルのワインが生み出されています。まさに、生産者の手腕によって“化粧映えする”とも言えるこのスタイルの幅広さが、バルベラが広く愛されている理由なのかもしれません。

ネッビオーロ:週末の贅沢に!ピエモンテを代表する高貴品種

ブドウ品種:ネッビオーロ

ブドウ品種:ネッビオーロ

ネッビオーロは、ピエモンテ州を代表するワイン、バローロやバルバレスコにも使用されている品種。ピエモンテだけでなくイタリアの中でも最も高貴なブドウ品種のひとつと言われています。土壌や気候など栽培条件が難しく、ピエモンテとその周辺以外では栽培するのが難しい非常に気難しいブドウです。

ネッビオーロという名前はイタリア語の「Nebbia=霧」に由来すると言われます。晩熟型で収穫時期が遅く、10月から11月の霧の多い時期に収穫されること、またブドウに付着する白い酵母の量が多く、それが霧に見えるためこのような名前が付けられたそうです。

ネッビオーロの特徴はしっかりとした酸と豊富なタンニン。バラやチェリーの芳香があり、熟成によってキノコやタバコなどの複雑性に富んだ風味へ変化していくのが魅力です。

ネッビオーロで造られたワインを手軽に飲みたいと思ったら、D.O.C.ランゲ・ネッビオーロがおススメ。ランゲ・ネッビオーロは、バローロ、バルバレスコを含む、より広い範囲で育てられるブドウから造られるワインのことで、ブルゴーニュでいうA.C.ブルゴーニュに相当します。

ネッビオーロ本来の華やかな芳香や豊かな果実味がすぐに飲んでも楽しめるのが特徴で、お手頃な価格で掘り出しモノが見つかるかもしれない楽しみがあります。

ランゲ・ネッビオーロ

ランゲ・ネッビオーロ / マッソリーノ

中でもおススメなのが、マッソリーノが造るランゲ・ネッビオーロ。バローロと同じ畑で栽培された若樹のブドウを使用して造られる贅沢なキュヴェで、入荷を心待ちにしているお客様も多く、実はエノテカ・スタッフの中にもファンが多い1本です。

ドルチェットやバルベラの紫がかったルビー色の色調に対して、淡いガーネットがかった外観が特徴的。華やかな果実のアロマに複雑なニュアンスが重なる、気品のある香りがグラスから溢れ出します。味わいは女性的でエレガントな印象ながら、中盤からはしっかりとしたタンニンと爽やかな酸味が、ネッビオーロらしいがっしりとした骨格を形作ります。

バローロやバルバレスコとは違い手軽に愉しめるワインですが味わいは本格派。合わせる料理もカジュアルなものよりも、良い食材を使ったちょっと贅沢な料理が良いかもしれません。

ブラザート・アル・バローロ

現地では、牛肉をバローロで煮込んでいるという何とも贅沢な「ブラザート・アル・バローロ」がネッビオーロとのマリアージュで鉄板と言われていますが、日本で合わせるなら、国産肉を使ったすき焼きや、薄い牛肉をさっと炙った焼きしゃぶ、またはトリュフ塩やわさび醤油で味わう焼肉などが良さそう。週末の少し贅沢な食卓に華を添えてくれることでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。バローロやバルバレスコで有名なピエモンテですが、実は、地元の人たちが普段親しんでいるのは、熟成の必要がなく、いつ開けても存分に楽しめ、長らく愛飲してきた「食事の友」というべきこれらのワイン。

現地のピエモンテレストランでは、前菜、パスタ、お肉やお魚のメインという順番に合わせて、ドルチェット、バルベラ、そしてネッビオーロの順で出てくることも多く、郷土料理との相性は抜群。

加えて、パスタや焼肉、和食など、そのマリアージュの可能性は無限大です。

ぜひ、普段の食事と合わせてピエモンテワインを愉しんでみてはいかがでしょうか。

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