フランスのローヌ地方では、日本でも人気のシラーやグルナッシュのワインが産出されています。
どうしても華やかなブルゴーニュの影に隠れがちな産地ですが、ローヌ地方にも魅力がたくさんあります。
今回はそんなローヌ地方で造られるワインの特徴についてご紹介します。
ローヌってどんなところ?
ローヌ地方は南フランスのワイン産地で、北にはブルゴーニュ地方、南にはプロヴァンス地方があります。
ローマ時代に交通の要所として栄えた都市ヴィエンヌから14世紀に法王庁が置かれていたアヴィニョン周辺まで、ローヌ川に沿って広がる約250キロのワイン産地です。
ローヌ川は北から南に流れているため、地図上で向かって右側が左岸、左側が右岸となります。両岸にブドウ畑が広がり、ヴィエンヌから都市ヴァランスまでを北部、ヴァランスからアヴィニョン周辺までを南部とし、北部と南部で土壌や主要品種などが大きく異なります。
ローヌ地方は、原産地呼称のついたA.O.C.ワインの生産量がボルドーに次いでフランス2位。北部ローヌも南部ローヌも赤ワインの生産が中心です。
この地方の気候の特徴としてはローヌ渓谷から地中海に吹き抜けるミストラルという強風。この風によって雨の後でも畑は乾燥するのでカビなどの湿気由来の病気が防げます。
この地域のワイン造りの歴史は古く、紀元前後にはローマ帝国の属領であるナルボンヌ地方の栽培地の北限が、北部にあるコート・ロティやエルミタージュであったことが分かっています。
北部ローヌ
北部ローヌは比較的穏やかな大陸性気候で、地中海性気候の南部と比べると幾分気温は低くなっています。
「世界で最もエレガントなシラー」と称されるコート・ロティをはじめ、エルミタージュやクローズ・エルミタージュ、フランス最高峰の白ワインの一つとされるコンドリューなど七つのアペラシオンが存在しています。
北部ローヌは渓谷となっているため、多くの畑が斜面に位置するのが特徴です。
一つ一つの畑が狭くなるため作られるブドウの量は少量。急斜面の畑では作業も難しく、人件費や労力がかかってしまうのです。
このように手間暇かけて造られるワインは高価にはなりますが、有名評価誌でも高得点を獲得するような銘醸ワインも生み出されています。
コート・ロティ
ローヌ地方の最北に位置するコート・ロティは「焼けた丘」の意味を持ち、その名の通り太陽が照り付ける急斜面に畑が広がります。
主要品種はシラーで、そこに混植混醸に限り白ブドウのヴィオニエが20%までブレンドすることが可能です。
上品な味わいのシラーが多く、世界で最もエレガントと称されます。
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コンドリュー
赤ワインの生産量が多いローヌ地方において高品質な白ワインが造られているのがコンドリュー。ヴィオニエのポテンシャルを最大限に発揮できる最上の地です。
ヴィオニエは病気に弱く栽培が難しいため1960年代には作付け面積がわずか12haに減少し、絶滅の危機に瀕しました。
しかし、コンドリューの華やかな香りと芳醇な味わいが世界で人気となり、2011年にはコンドリュー約200haまで回復しました。
エキゾチックなニュアンスが漂う豊満なアロマと、リッチでまろやかな味わいが特徴です。
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南部ローヌ
南部ローヌは地中海性気候で、ブドウの生育期の夏は乾燥していて、平均最高気温は30度にもなります。
険しい渓谷が広がる北部とは異なり、緩やかな丘陵地や平地が続きます。
そんな南部ローヌの土壌の特徴はガレと呼ばれる丸い大きな石。シャトーヌフ・デュパプ周辺の土壌に見られます。
この石が太陽からの熱を日中は吸収して、夜はその熱を放射するため、ブドウがしっかりと熟すのを手助けしているのです。
シャトーヌフ・デュ・パプ
シャトー・ヌフ・デュ・パプとは、「教皇の新しい城」を意味し、14世紀にアヴィニョンの教皇が夏の別荘としてこの地に城を建てたことに由来します。教皇が推奨していたブドウ栽培が今でも引き継がれています。
シャトーヌフ・デュパプの特徴はその使用可能品種の数です。フランスのA.O.C.の中で最も多い13品種も使用できるのです(さらに色まで分けると18品種)。
使用する品種の数や割合は様々なので、生産者の個性が色濃くでるのが魅力の一つです。
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まとめ
フランスではボルドーやブルゴーニュの次点と捉えられがちなローヌ地方ですが、この地でも偉大なワインは数多く生み出されています。
凝縮した果実味や少しエキゾチックな熟成香も楽しみたいという方は、ぜひローヌのワインをチェックしてみてくださいね。
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