【ソムリエ監修】ワインの「ペアリング」とは?ワインと料理の合わせ方を徹底解説

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公開日 : 2025.4.22
更新日 : 2025.4.22
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ペアリングとは?

ペアリングという言葉を聞いたことはありますか?


レストランのワインリストやワイン選びの際によく使われるこの言葉。なんとなくのニュアンスは分かってもどんな時に使ったらいいか分からない!という方も多いでしょう。


この記事ではペアリングの意味や方法、そして失敗しないワインと料理の組み合わせをソムリエの解説を交えてご紹介します。ペアリングが分かると日々の食事もより楽しくなりますよ。

解説してくれるのは、紫貴あきさん


紫貴あきさん

ワイン講師 日本最大級ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の人気講師。初心者から上級者まで唸らせる質の高いレッスンが評判で、その指導実績は3500人超。その他、企業研修、メディアへの執筆・監修・取材協力、出演など幅広く活動している。 著書『キャラクターでわかるワイン図鑑』(かんき出版)を2024年12月4日に出版。

目次

ワインの「ペアリング」とは?

ペアリングとは、何か二つのものを繋げたり、組み合わせたりすることを意味する言葉です。


もともとは組み合わせる動作自体を表している言葉ですが、そこから派生して「組み合わせが良いもの」をペアリングと言います。


ワインのペアリング以外にも日本酒やお茶など、レストランではワインに限らずペアリングコースがあることもあります。

ペアリングの3つの方法

では、実際にペアリングするにはどうしたら良いのか、紫貴さんに教えてもらいました。


ポイントは以下の三つです。


①色や香り・味わいが似ているものを合わせる

②産地を合わせる

③味わいが対照的なものを合わせる

①色や香り・味わいが似ているものを合わせる

豚肉のソテーと白ワイン

人と人が趣味でつながることがあるように、料理とワインも共通点があれば意気投合する瞬間があります。例えば、色、香り、味わい、この三拍子が響き合えば、出会った瞬間に「これだ!」と思わせるほどの一体感が生まれるのです。 よく「赤ワインは肉、白ワインは魚」と言われますが、それはあくまで入口の話。色で合わせるなら、魚にこだわる必要はありません。 例えば、白ワインなら、鶏や豚といった白身の肉料理にもスッと馴染みます。そして、そのワインにバターのような香りや風味があれば、バターを使った料理と見事なシンクロを見せてくれるでしょう。 なぜこんなにも相性がいいのか——それは、料理とワインが同じ方向を見ているから。似た者同士は、やっぱり上手くいくのです。

②産地を合わせる

カスレと赤ワイン

「はじめまして」と挨拶した瞬間でも、出身地や母校が同じだとわかった途端、不思議なく距離が縮まることがあります。それとまったく同じことが、料理とワインの間でも起こるのです。 「生まれが一緒なら、合わないはずがない」と言い切るソムリエもいるほど。どちらもその土地の気候、文化、そして人の手によって育まれてきたもの。いわば幼なじみのような関係なのです。 昔はすべてが地産地消。畑で採れた野菜、地元で獲れた魚、そこに寄り添うのは当然その土地のワイン。合わなければ困るどころか、毎日の食卓が少し味気ないものになっていたかもしれません。 だからこそ、料理とワインは、何年にもわたって歩み寄り、ようやく「これだ」という絶妙な相性を手に入れたのです。時を経て育まれたその絆は固く、産地が同じということは、それだけで最高の相性を約束しているのかもしれません。

③味わいが対照的なものを合わせる

甘口ワインとブルーチーズ

サーフィンが趣味の男性と、読書が好きな女性が結婚しました。週末はそれぞれ、海と自宅で過ごす——そんなふたりの暮らしを聞けば、「本当に上手くいくの?」と思うかもしれません。けれど、真逆に見える関係ほど、意外なほど心地良く調和することがあるのです。 ワインの世界にも、そんな「意外だけど絶妙」な組み合わせがあります。例えば、甘口ワインと塩気の強い料理。この二つを組み合わせると、それぞれの持ち味が驚くほど引き立ち合うのです。甘さが塩味をやわらげ、塩味が甘さをスッキリと整えてくれます。 そして、甘いものも塩気のあるものも、どちらも人を惹きつけてやまない魅力を持っています。異なる個性が重なり合うからこそ、生まれるハーモニーが体験できるのです。

ペアリングとマリアージュの違いとは?

「ペアリング」とよく似た意味の言葉に、「マリアージュ」という表現があります。


「マリアージュ(mariage)」はフランス語で「結婚」を意味し、英語の「マリッジ(marriage)」と同義です。この言葉は転じて、異なる二つのものが美しく調和している状態を表す際にも使われます。


日本では特にワインと料理の相性を表現する言葉として知られていますが、実際には色の組み合わせや、空間と音楽といった飲食以外の分野でも使われることがあります。


では、ペアリングとは何が違うのでしょうか?


大きな違いは、「ペアリング」は組み合わせる動作自体を表しているのに対し、「マリアージュ」はその組み合わせが素晴らしく調和している状態を指すという点です。


厳密には意味に違いがあるものの、前述したように「ペアリング」も「相性の良い組み合わせ」を表すことが多いため、両者の違いはそれほど明確ではなく、ほぼ同じような意味合いで使われることも少なくありません。


なお、「マリアージュ」はフランス語であるため、どうしてもフランス料理店を連想させることが多いです。そのため、最近では「ペアリング」という表現を用いるレストランが増えてきています。

失敗しないワインと料理の合わせ方のコツ

ロゼワインと料理

初心者が知っておきたいペアリングのコツを紫貴さんに教えてもらいました。自宅でワインとのペアリングを体感したい時、お試しください。

困ったときの頼れる味方、ロゼとオレンジワイン

ロゼワインとオレンジワインは、白でもなく赤でもない、まさに中間の存在。言うなれば、昼と夜の狭間に広がる黄昏時のようなワイン。そして、それがロゼとオレンジの強みでもあるのです。 白ワインのキレのある酸と、赤ワインに由来する軽やかなタンニン。その両方を持っているからこそ、魚料理にも肉料理にも堂々と寄り添う、まさに万能選手です。 ペアリングで迷ったら、まず手に取って間違いのない1本と言えるでしょう。

おうちペアリングの秘訣は「ワインを隠し味に」

家でワインペアリングを楽しむなら、ひと手間かけてみる価値はあるかもしれません。料理の隠し味に、その日飲むワインを少し使ってみるのもアリ。料理とワインの香りや風味が自然に寄り添います。 料理用に使うワインは、火を入れることでニュアンスが変わるので、まったく同じ銘柄である必要はありません。例えば、牛肉の赤ワイン煮込みなら、飲み残しの赤ワインでも十分に役目を果たしてくれます。

甘い料理に辛口ワインは、ちょっと難易度高め

甘い料理にドライな辛口ワインを合わせると、ワインの酸や渋みをきつく感じてしまうことがあります。せっかくのワインの良さを味わえないのは残念です。 そんなときは、迷わず甘口ワインを。ポイントは、料理とワインの甘さのバランス。基本は「ワインの甘さが料理の甘さを少し上回るか、同じ程度」がおすすめです。

白ワインと料理のペアリング例

ここまでペアリングのコツが分かったら実際に挑戦してみましょう!紫貴さんに白ワインのタイプ別にピッタリな料理を教えてもらいました。

図表:白ワインに合う料理例

スッキリ白ワインに合わせたい料理

爽やかな柑橘や青リンゴのアロマがふわりと香る、キレのある白ワイン。ソーヴィニヨン・ブランやリースリングに代表されるこのタイプは、シャープな酸が魅力です。 そんなワインには、レモンをキュッと絞ったような料理がよく似合います。例えば、生牡蠣や鮮魚のカルパッチョ。調理法もできればシンプルなものがおすすめです。素材の透明感とワインのフレッシュさが、美しく共鳴します。 意外に思われるかもしれませんが、揚げ物との相性も抜群。揚げたての衣の油を、ワインの酸がスッと洗い流し、後味までクリアに整えてくれるのです。

コクのある白ワインに合わせたい料理

樽熟成によるナッツやロースト香、バターのようなリッチさをまとった白ワイン。シャルドネやヴィオニエが、その代表格です。 こうしたワインには、ひとクセある複雑で力強い料理がよく合います。例えば、豚しゃぶはポン酢よりもコクのあるゴマダレで。ワインのふくよかさとソースの濃厚さが、見事に調和します。 また、牡蠣なら生牡蠣ではなく、ポシェにして火を入れたものを。旨みが引き立ち、ワインの深い風味と寄り添います。 豊かなコクには、重層的な味わいを持つ料理を組み合わせてみましょう。

赤ワインと料理のペアリング例

ここからは赤ワインです。紫貴さんに、赤ワインのタイプ別にピッタリな料理を教えてもらいました。

図表:赤ワインに合う料理

軽めの赤ワインに合わせたい料理

イチゴやラズベリーを思わせる華やかな香り。きれいな酸と、控えめでやわらかなタンニン。ピノ・ノワールやガメイが代表格の、軽やかな赤ワインです。 このタイプには、同じく重たくない料理を合わせるのが鉄則。例えば、鴨肉のロティ。鴨の赤身はほんのり鉄分を感じさせ、ピノ・ノワールが持つ繊細でありながら、野性味を帯びた香りと見事に響き合います。 あるいは、ブリの照り焼きも好相性。甘辛いタレがワインの酸味と絡み合い、口の中に心地良いバランスを生み出します。軽やかなのに、奥行きのあるペアリングが楽しめるはずです。

重めの赤ワインに合わせたい料理

カシスやブラックベリーの濃厚な果実香に、バニラやローストのニュアンスが重なり、しっかりとしたタンニンが余韻を引き締める。そんな堂々たる赤ワイン。カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロが、その代表です。 このタイプのワインには、同じく骨格のある力強い料理を合わせたいところ。例えば、サシの入った和牛ステーキ。肉の濃厚な旨みが、ワインの深みと響き合います。 また、仔羊のロティも好相性。ジューシーで柔らかな肉質が、しっかりとしたタンニンと美しく調和します。 ソースや味付けも、ワインに負けない存在感があるものが良いでしょう。黒酢を効かせた酢豚や、デミグラスソースをたっぷりまとったハンバーグは、まさに鉄板の組み合わせです。重厚なワインが持つ風格に、堂々と応える料理を選びましょう。

まとめ

人と人の出会いが一期一会であるように、ワインと料理の出会いもまた特別な瞬間。これまで難しく感じていた方も、ペアリングの方法を知ることで、気負わずに料理との絶妙な組み合わせを楽しめるはずです。


今回ご紹介したペアリングのポイントをおさえながら、最高の相性を探求するのも面白いかもしれません。

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