ワインは数あるお酒の中でもとりわけデリケートなお酒です。
そのため、ワインセラーを持っていなければワインの保存は難しいのではと悩んだこともあるのではないでしょうか。
でも短期間の保存の場合、ポイントを押さえていればなんとかなります!今回はそんなワインの保存方法についてお伝えしたいと思います。
ワインの保存の適した条件
ワイン生産者のカーブ(ワイン熟成庫)は、薄暗くひんやりとしていて、保管されているボトルにはカビが生えていることも…。どうしてこのようになっているのでしょうか?
それはそのような環境がワインの保管熟成に最適だから。つまりワインの保存において重要なポイントは三つ、温度、光、湿度です。
私達がワインを保存する時はまずこの3点に気をつければ良いのです。
温度
光
湿度
温度
温度はワインの保存において最も重要な条件で、13〜15度が適温です。
一般的に温度が高い状態でワインを保存すると熟成が早く進みます。ただ、日本の夏のように25度を超えるような環境でワインを保存した場合、ワインは劣化してしまいます。
また、急激な温度変化もワインの大敵です。
冷蔵便で届いたワインはすぐに冷暗所に移しましょう。冷えた状態で届いたワインを暑い場所に放置するとワインの温度差によりワインがコルクの隙間から吹き漏れることがよくあります。
すぐに飲むなら冷蔵庫保存でかまいません。
光
次に光です。食品類の多くがそうであるように、ワインもまた長時間紫外線に当たると劣化します。
ですから、ワインは直射日光の当たらない場所で保存しましょう。
日光だけでなく蛍光灯や白熱灯の光も避けた方が良いでしょう。ワインのボトルが緑色や茶色をしているのは紫外線対策のためなのです。
湿度
コルクが乾燥しないように一定の湿度もワインの保存には必要で、湿度70%前後が理想です。
コルクは微量の空気を透過させるため、ボトル内のワインは少しずつ空気に触れ酸化が進むことでゆっくりと熟成します。
しかし、コルクが乾燥するとコルク栓自体が収縮してしまい、空気の透過量が増えて極度に酸化が進んでしまいます。適度な湿度はコルクのために欠かせないのです。
これらの保存条件を満たすためには、やはりワインセラーがベストですが、ワインセラーがない場合はできるだけこの三つのポイントに注意してワインを保存すると良いでしょう。
飲み残したワインの保存方法
ワインは抜栓すると空気に触れ一気に酸化が進むので、飲み残したワインはできるだけ空気に触れさせないようにして保存することがポイントです。
ワイン専用の保存器具を使って保存する方法もあります。コルクで栓をするより長持ちするので一つ持っておくと便利です。
それぞれ保存日数の目安を参考に、器具を使い分けてみてください。
保存方法 | 保存日数 |
---|---|
コルクで再栓 | 2~3日間 |
ワインストッパー | 4~5日間 |
アンチ・オックス | 5日~10日間 |
コラヴァン | 数ヶ月 |
コルクで再栓
最も簡易的な保存方法はもともとワインに付いていたコルクやスクリューキャップで再び栓をすることです。
コルクにラップを巻くとコルクの隙間を塞ぎ、またボトルとコルク栓を密着させることができるのでより空気を遮断することができます。
ただ、密封しているわけではないので、ワインの酸化は進みます。
ワインによっては酸化が適度に進み、抜栓直後より2日目、3日目の方が好みの味わいになっていることもあるので、この方法でワインの味わいの変化を楽しむのも面白いでしょう。冷蔵庫保存で2〜3日なら問題ありません。
ワインストッパー
専用のポンプと栓を使って、ボトル内の空気をポンピングして吸い出し、真空状態にしてワインを新鮮に保つ道具です。
ワインのタイプやボトル内に残ったワインの量にもよりますが、4〜5日は保存できます。
スパークリングワインの保存も同じ要領で保存できますが、スパークリングワイン専用のスペア栓が必要です。
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アンチ・オックス
ワインの酸化を防止するストッパーです。ストッパー内部には酸化防止カーボンフィルターが内蔵されており、 ワインの酸化原因となる揮発性成分と酸素の接触を抑制し、ワインの酸化を大幅に遅らせます。
また、内部はシリコン製となっているのでボトルの口を完全に密閉し、空気を通しません。保存期間の目安は5日〜10日程度です。
本体側面には日付ダイヤルが付いており、 抜栓した日が分かるようになっています。ボトルにかぶせるだけなのでとても簡単で便利な保存グッズです。
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コラヴァン
特殊なニードルでコルクに穴をあけ、不活性ガス(アルゴンガス)をボトルに注入しながら、ワインをグラスに注ぐことのできるワインオープナーです。
このシステムによりワインの酸化を防ぎ、長期間開けたての状態を保つことができます。
コラヴァンを使ったあとのボトルは99.99%の超高純度のアルゴンガスによって密閉され、特殊な針は十分に細いため、抜いた後もコルクの弾力で穴はしっかりと塞がれるので、ワインは開栓していない時とほぼ同様の状態をキープすることができるのです。
また、スクリューキャップのワインも専用のシリコン製専用キャップを装着すればコラヴァン使用可能のため、スクリューキャップタイプのワインも開封直後のワインの状態が保たれます。
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デイリーワインならコルクで栓をする、またはワインストッパーを使って保存。
特別なワインならアンチ・オックスで最後までしっかりと鮮度をキープしてみましょう。
コラヴァンはどちらかと言えばプロ向きで、グランヴァン等をグラスで提供するような飲食店に向いています。
ワインの価格帯に合わせて選んだり、使い分けると良いでしょう。
未開封のワインの保存方法
次に、未開封のワインを長期間熟成させたい場合の注意点についてお伝えします。
前述の温度、光、湿度の他に、臭い、振動、ボトルの置き方も注意が必要です。
温度
光
湿度
臭い
振動
ボトルは寝かせて
臭いのあるものと一緒にワインを保存すると臭いがワインに移ってしまいます。臭いの分子はコルクを透過します。ワインにとって香りは重要な要素ですから、香りを損なわないためにも臭いのあるもとの一緒に保存するのは避けましょう。
振動もワインの熟成には良くないと言われています。扉の開閉が頻繁な場所や、車庫に隣接するような場所はワインの保存に不向きです。
また、ワインを長期間保存する場合は必ずボトルを寝かせて置きましょう。コルクの乾燥を防ぐため、コルクをワインで湿らせておくのです。
日本の気候や住宅事情を考慮すると、自宅でこれらの条件を完璧にクリアするのは難しいのが現実でしょう。大切なワインの保存や、ある程度の本数のワインをストックしておきたい場合は、やはりワインセラーがあると安心です。
また、手持ちのワインや、購入したワインをそのまま保管してくれるレンタルセラーを利用するという手もあります。
なお購入してすぐ飲む場合、短期間の保存なら床下収納やパントリー、冷蔵庫の野菜庫でも賄えます。
ワインが凍るほど寒い環境は別ですが、冬の間だけなら、空き部屋(暖房を効かせない部屋)の押入れなどにしばらく置いておいても大きく品質が変化することはないでしょう。
まとめ
ワインは出荷されてからも熟成によって品質が変化する数少ない食品の一つです。ですから、どのような環境で保存するかはとても重要です。
長期間熟成させたい特別なワインならワインセラーに、デイリーに楽しむワインを短期間保存するだけなら、今回ご紹介したポイントをおさえておけば問題はありません。
ワインを最後まで美味しく味わうためにも、是非今日から実践してみて下さい。