奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ワインの表現は香りだけでなく、味わいについても、初めて聞く人にとっては本当に難解で、少し大袈裟な感じがありますよね。テイスティングのヴォキャブラリーは、フランス語から生まれました。それが日本語に直訳されて、紹介されたことにより、「難解で、大袈裟な表現」と認知されてしまったのでしょうね。
この「難解で、大袈裟」な表現はなぜ生まれたのかというと、テイスティングという感覚的なものを、理論的に表現するためなのです。例えば、「重い」とある人がワインを飲んで言ったとします。それだけ聞くと、その人がアルコールのことを言っているのか、渋みのことを言っているのか、甘さのことを言っているのか、理解できないですよね。テイスティングのヴォキャブラリーは、一言でそのワインのいくつかの要素をより詳細に描写するために考えられているのです。
「緻密」、私が気に入っている表現用語です。舌触りや酸味、渋みがキメ細やかに、味わいのなかに、びっしり詰まっている状態を指します。アルコールは強過ぎず、弱過ぎずです。香りや味わいの様々な要素がたくさん感じられ、それらすべてが、キメが整った状態で、バランスがとれている、という風にもいえます。たった一言なのに、深い意味合いがありますでしょう。
この「緻密」という言葉は、そう頻繁には使えるものではありません。間違いなく、上質なワインに使われるもので、廉価なデイリーワインにはあまり使われません。かといって、高価なワインならば使えるかというと、そうでもないのです。重過ぎたり、パワフルなワインのことではありませんが、軽くて飲み易いワインのことでもありません。
香りの要素がたくさんあり、バランスのよい味わいのワインが、良い熟成を遂げた場合に、この「緻密な」という表現をすることができます。「スムーズな」味わいともいえるのですが、それだけではなく、口中は、香りで溢れ、強さも感じられる、そして味わい深いのです。
ムートン・カデは、「緻密」という表現がぴったりなワインです。濃く、深みのある色調、輝きのあるルビー・ガーネット。縁にはオレンジ色がみえます。うっすらと全体にモヤがかかっています。色合いは発展した印象です。 香りは、複雑で、表情豊か、やはり熟成感があります。ブラックベリー・コンフィ、杉やシダ、燻製香も感じられます。時間とともに、なめし革など動物的な香りに、ヨード、シガー、アルマニャックのような揮発性も出てきます。大変複雑です。 口当たりはしなやか、はっきりとした酸味がフレッシュ感を与えています。バランスがよく心地よい味わいは上品ながら、粘性のあるテクスチュアがあります。キメ細かな渋みはビロードのような触感です。
1930年ムートン・カデ誕生当時のラベルを復刻させた記念ボトル。中央には“ムートン・カデ”のシンボルである羊=ムートンがあしらわれています。独自のムートン・スタイルと高い品質にふさわしい、シンプルかつエレガントな デザインは誕生から80余年の歴史を感じさせてくれます。
「緻密」を感じるワイン
2,000 円 (2,160 円 税込)
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