奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

「人を外見で判断してはいけない」といいます。確かに外見だけでは、その人がどんな本性を持っているかは分かりません。しかし、「顔にその人の人生が現れる」ともいいます。人相学というものもあります。
ワインにも同じことがいえます。外観だけで全てを推し量ることはできませんが、どのような生い立ち(ブドウ、栽培、醸造、熟成)なのかを推測することが出来るのです。
赤ワインの色合いで、よく使われる表現に、「ガーネット」というのがあります。ボルドーに代表されるカベルネ・ソーヴィニヨンを使ったワインによく用いられますこの「ガーネット」、人によって解釈が若干違うところがあります。 カベルネといえば色が濃い、黒みがかった濃い色合いをガーネットと表現します。しかし、私はこのガーネットにはもう少し深い意味を持って使っています。若いカベルネで、全体に黒みがかっているものには使いません。 私にとってガーネットは、中心は黒みを帯びていて、淵にかけてグラデーションができて、オレンジのトーンが見えるものです。それはワインが、若い状態を抜け、熟成への段階に入り、香りは豊かに、複雑になっていることを示しています。
シャトー・ド・ペズ 2006は、中濃度のガーネットで、中心から淵にかけて、おだやかなグラデーションができています。中心は深く、淵にはオレンジがみえます。全体にうっすらとモヤがかかっていて、輝き度合いは落ち着いています。このうっすらとモヤがかかったワインは香りが開き、複雑であることが多いです。抽象的な表現ですが、「しっとりしたワイン」です。
香りはフレッシュ感と熟成による複雑さとが絶妙のバランスで感じられます。よく熟したブラックベリー、土や樹皮は少し燻されたような印象です。松や動物的な香りが深みと個性を作っています。 味わいは、なめらかで、柔らかな口当たり、ふんわりと広がる心地よいボディは厚みがあります。 シルクのような触感の渋みが味わい全体を包んでいます。 余韻に果実と土と スパイスの混ざり合った複雑な香りとアルコールの熱さを残します。
ワイン単体でも楽しめ、料理も洗練されたレストランのものであれば、前菜、魚、肉とオールマイティに楽しめ、チーズはよく 熟したブリーやカマンベールと素晴らしい相性となるでしょう。
「ガーネット」を感じるワイン
シャトー・ド・ペズ/ フランス ボルドー サン・テステフ(フランス ボルドー サン・テステフ )
7,000 円 (7,560 円 税込)