酸味はテイスティングに長けた人でなくても、誰でも感じられることのできる味覚要素です。同時に、人によって感じ方の大きく違う味覚でもあります。酸っぱいものが好きな人もいれば、苦手な人もいます。また同じものを味わっても、酸っぱいと感じる人もいれば、それほど感じない人もいます。
国民性というものも影響するようです。ずいぶん前ですが、さまざまな国のワインテイスターが同じワインをテイスティングし、脳波はとりつつ、味覚の感じ方の違いを探るという実験に参加したことがあります。そこで顕著にみられた結果とした、ほとんどの国のテイスターが「酸味はほどよい」と評価したワインに対して、日本人は「酸味が強い」と反応したのです。日本人は酸味には敏感なようです。
しかし、ワインテイスティングでコメントをしてもらうと、酸味を捉える能力には大きなばらつきがみられます。「このワイン、酸味が強いと思う人?」と問いかけると、かなり評が割れるのです。酸味はワインの重要な味わい要素ですから、酸味を捉える能力はワインテイスティングには必須なのです。
舌の中央部側面に酸味を捉える味雷が集中しています。(※)
つまり酸味をきちんと捉えるためには、ワインを口に含んだときに舌の両側に意識をおくことで、より確実に酸味を感じ取ることができます。 これについては、はじめはピンとこないかもしれませんが、継続することにより、徐々に分かってきますので、ぜひ試してみてください。
ではなぜ、酸味をきちんと捉えることが大切なのでしょうか。結論からいうと、酸味はワインの背骨であり、腸のようなものです。 酸味はワインに輝き、長期熟成の可能性、香りや味わいの安定、引き締まったボディ、余韻の長さをもたらすのです。 どの要素もワインには大切なものばかりで、それらを支えるのが酸味なのです。ワインの本当の意味での力強さはアルコール度数や渋みの強さではありません。 骨の弱い人がどんなに筋肉をつけても、腸に問題のある人がサプリメントで栄養補給をしても、強い身体をしている、とはいわないのと同じです。 酸味の豊かなワインは味わいのバランスを保ち、繊細でありながらも、酸化に負けない強さを持ちます。また渋みと調和して、心地よく、長い余韻をつくるのです。 よいワインの条件は「酸味がきちんとあること」と言ってもよいでしょう。
ドイツの素晴らしい白ワイン、名手シュロス・フォラーツによるラインガウ・リースリング・トロッケン・カビネット2012年は、 中濃度のイエロー、クリスタルのような輝きを放ちます。無数の気泡がみえ、ワインがフレッシュ感のある状態であることを示しています。ブドウの成熟度は十分にあり、ワインに活力が感じられます。
香りは、ピュア、率直な印象で、透明感、清涼感が際立っています。よく熟したリンゴは蜜を含んでいるようです。ライラックの香りが華やかさと繊細さを作っています。スモーク、カモミーユといったリースリング独自の香りも穏やかながら感じとることもできます。 時間とともにリンゴの香りは洋梨へと濃度を増してゆきます。 味わいは、フレッシュで、活き活きとした口当たり、そしてすぐにはっきりとした、強い酸味が口中を突き抜けます。
お造りや酢の物、和え物といった素材重視の和食の前菜はもちろん、白身魚の塩焼きや天ぷらと楽しめます。
ドイツに約3,000あるとされる畑のうち、特に優れた銘醸畑として畑名を名乗ることを許される五つの畑は「オルツタイルラーゲ」と呼ばれています。シュロス・フォルラーツは、その銘醸畑の一つを単独で所有するワイナリーです。
※味蕾の分布については様々な解釈、理解がございます。
「酸味」を感じるワイン
ラインガウ・リースリング・トロッケン・カビネット/ シュロス・フォルラーツ(ドイツ )
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