フランスの南部に位置し、カジュアルでお手軽なワインの産地として知られているラングドック・ルーション地方。ブドウだけでなく野菜や果実の産地としても知られており、近年では有機農法で造られたワインが度々注目されることも。
また、ブルゴーニュやボルドー、シャンパーニュといった高価格のワインに比べ、お手軽な価格のワインも多く生産されています。今回はそんなラングドック・ルーション地方のワインの特徴についてご紹介したいと思います。
新酒も生産している注目の生産地
フランス中部以北に比べて気温が高かったため、冷却設備がなかった遠い昔は安価なテーブルワインがメインに造られていました。しかし、徐々に消費者が求めるワインの質が変化していき、80年代以降には先進的なワインの造り手たちがこの地に注目し、高度な醸造技術が取り入れられたためにワイン造りが発展しました。
近年ではA.O.C.ワインが増えつつありますが、フランス三大産地に比べてその割合は低く、I.G.P.ワインが70%を占めています。さらにその生産量は、フランス全体のI.G.P.ワインの80%に相当するほど。それゆえに、この土地のワインの魅力はなんと言っても、コストパフォーマンスの高さです。
新酒ではブルゴーニュのボジョレー・ヌーボーが有名ですが、ラングドックでもA.O.C.ではLanguedocとCôtes du Roussillonで新酒が造られており、A.O.C.以外のカテゴリでも様々な新酒がお手頃な価格で販売されています。
スティルワインの他にはスパークリングワイン、そしてV.D.N.(天然甘口ワイン)も多く生産されています。有機栽培が多い土地としても知られており、フランスの有機栽培の1/3、世界の有機ブドウ畑の7%がこの土地に集まっています。
ラングドック・ルーションの気候風土
東に位置しているプロヴァンス地方と同様、その多くが典型的な地中海性気候ですが西部では海洋性気候の影響も見られます。夏は雨がほとんど降らずに乾燥しており、冬は穏やかな気候です。トラモンタンと呼ばれる乾いた冷風がブドウ畑を乾燥させ、病害から守ります。
西北からガール県、エロー県、オード県、ピレネー・オリエンタル県を跨いだ広範囲の産地であるために、土壌も多岐に渡ります。海沿いの地域は砂質、石灰質、粘土質で、山側の地域はシストと呼ばれる結晶片眼、泥灰岩、玉砂利などが広がっています。
主要品種と地方料理など
ラングドック・ルーションの主要品種は、白ブドウがグルナッシュ・ブラン、ブールブーラン、ピクプール、クレレット、ヴェルメンティーノ、マルサンヌ、ルーサンヌなど。また、主にフランス北部で栽培されているシャルドネや、スペインワインに多く使用されるマカベオ(マカブー)も栽培されています。
黒ブドウはグルナッシュ、ムールヴェードル、シラー、カリニャン、サンソーなど。温かい気候を好むブドウ品種が多く、すぐ北に位置しているコート・デュ・ローヌ地方の主要品種と似ています。
地方料理は白インゲン豆の煮込みであるカスレが有名で、地方により鴨のコンフィや豚足などを加えることも。また、オリーブの生産地としても有名で、1995年にA.O.C.を取得したオリーブである「Olive de Nime」(オリーブ・ド・ニーム)もよく食べられています。
主要のA.O.C.
Languedoc(ラングドック:赤、白、ロゼ)
ガール県の一部とエロー県のある中部よりも南を含む、ラングドック・ルーション地方の地方名A.O.C.。1985年にA.O.C.を取得したCoteau du Languedoc(コトー・デュ・ラングドック)が2007年に名称を変更し、このA.O.C.になりました。2017年5月3日の出荷分まで変更前の呼称を使うことが許されていました。
面積は約1万haと広大で、新酒も赤とロゼのみ造られています。
Muscat de Frontignan(ミュスカド・フロンティニャン:V.D.N.白、V.D.L.白)
天然甘口ワインであるV.D.N.と、未発酵の果汁にアルコールを添加したV.D.L.の両方を造っている珍しいA.O.C.。ワイン法施行の翌年である1936年に、トー湖とヴィック・ラ・ガルディオール湖の間に位置しているフロンティニャン村と、ヴィック・ラ・ガルディオール村に認められました。
Crémant de Limoux(クレマン・ド・リムー:発泡白、発泡ロゼ)
瓶内二次発酵によって造られる高品質スパークリングワインのA.O.C.。主要品種はシャルドネで、補助品種にはシュナン・ブランなどが使われています。
ラングドック・ルーションには他にもスパークリングワインを造るA.O.C.がいくつかあります。Limoux méthode ancestrale(リムー・メトード・アンセストラル)では、アンセストラル(リュラル方式、古代製法)と呼ばれる一次発酵の途中にワインを瓶詰めし、残りの糖分によって発酵させる製法で造られた微発泡ワインを生産しています。これは一説によると、シャンパーニュよりも早く生み出された発泡ワインの製法だと言われています。
Côtes du Roussillon(コート・デュ・ルーション:赤、白、ロゼ)
オード県との境界から南下し、ピレネー山脈まで広がる広域のA.O.C.。同じA.O.C.であっても広範囲に及ぶために土壌がそれぞれ違い、味わいも大きく異なります。主要品種はコート・デュ・ローヌに似ており、赤とロゼでは少なくとも2品種を使用することが決められています。
Banyuls(バニュルス:V.D.N.赤、V.D.N.ロゼ、V.D.N.白)
1936年に認定された天然甘口を造るA.O.C.。ピレネー・オリエンタル県にある四つの村に認められています。製法や品種の規定により「Ambré」「Blanc」「Rimage」「Traditionnel」「Rosé」などの種類があります。また、この地で造られるスティルワインはA.O.C.Collioure(コリウール:赤、白、ロゼ)となります。
おすすめのラングドック・ルーションのワイン
最後に、ぜひ一度お試しいただきたいラングドック・ルーションのワインをご紹介します。
南仏を代表する4種のブドウをブレンドして造られるこちらの赤ワイン。
南仏らしいぎゅっと凝縮した果実味が全面に出ており、柔らかな口当たりでフルボディながらも飲みやすいタイプです。
ビジネスクラスの機内ワインにも選ばれたこともある実力派!フルボディのワインがお好きな方におすすめの一本となっています。
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まとめ
様々なワインを産出しているラングドック・ルーション。北部に比べてお手軽な価格で、気軽に飲める軽快でカジュアルなワインが愛好家の日常的な食卓を彩っています。
近年では高級ワインも登場していますが、それもまたコストパフォーマンスが高いと言われており、ワインファンから注目されています。お手軽な価格でも高品質なワインが飲みたい…というときは、ラングドック・ルーションのワインの中から探してみても良いかもしれませんね。
参考:『2018 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会
ランドック・ルーションの一覧