奇怪な用語が飛び交うワインテイスティング。フルーツや花ならまだしも、スパイスにミネラル、焦げ香??しまいには動物臭?! ですが、これにはきちんと意味があるのです。ソムリエ目線で、毎回難解なテイスティング用語や表現などを解明! あなたもイメージを膨らませてテイスティングに挑戦してみてはいかがでしょうか?

ワインの香り表現の基本として、果実と花(草木)、そしてスパイスがあります。 これらは多くの場合、第1アロマ、つまりブドウ品種の個性を表すのですから、大変重要な香りとなります。今更ながら、ですがワインは果実酒ですから果実の香りがあるのはあたり前といえば当たり前です。また植物でもありますから、草木の香りがあるのも納得できると思います。スパイスだけは、少し特別な存在です。 しかしながら、スパイスはブドウ品種の個性をはっきりと表します。 例えば、ゲヴュルツトラミネールという白ブドウにはコリアンダーの香りが感じられますし、シラーには黒コショウの香りがまさに品種のサインとして表れます。
ワインにおけるスパイスは、主にフェノール類成分の香りですから、赤ワインによく感じることができます。 白ブドウでも果皮が厚いものや赤紫の果皮(グリといいます)をもつものからできたワインに表れます。 我らが甲州からは丁子の香りが大なり小なり感じ取ることができます。
ワインの香りは、若いうちの頃から熟成を経ることにより、大きく変化します。これらは多くの場合、第1アロマの変化が顕著に表れます。しかしながら、スパイスの香りは、トーンに変化が出るものの、香り自体が変化することはあまりありません。ワインは熟成により、それぞれの個性は似通ってきます。ブルゴーニュのピノ・ノワール、ボージョレ モルゴンのガメイ、シャトーヌフデュパプのグルナッシュ、イタリア ピエモンテのバルベーラなど、どれも10年、15年経ったものを、しっかりと判別することはとても困難です。そんな時、スパイスの香りだけが、 品種やその土地の個性を表してくれるのです。

そういった意味では、スパイスの香りをきちんと掴み、ヴォキャブラリーを増やしておくことはテイスティング上達の大きなポイントといえますね。 香りや味わいのアクセントとなり、持ちがよい。 ワインにある「スパイス」は、料理に置けるスパイスの存在と共通しているのが、面白いですね。
プロヴァンス地方バンドールの赤ワインは、ムールヴェードルというタンニンが豊富で、スパイスの香りを与えるブドウから作られます。
ドメーヌ・オット★によるバンドール・ルージュは、深みのあるルビー色で中心にかけて黒み帯びる、しっかりした色調をしています。 香りはおだやかですが、濃縮感があり、率直な印象です。ザクロや野いちごのような香りに、ローズマリー、タイム、甘草、ローリエ、まさにエルブ・ドゥ・プロヴァンス(プロヴァンス地方のミックスハーブ)のようです。 味わいは、スムーズでバラン スがよく、ストレートに口中に伸びてゆきます。アルコール、酸味のレヴェルが高く、骨格のしっかりとした印象 を持ちます。後味に感じられる渋みはスパイスの心地よいアクセントを伴います。
長期熟成も可能 偉大なプロヴァンスワイン
プロヴァンスで高品質のワインを生みだす名門、ドメーヌ・オットが1956年に買い取ったバンドールのワイナリー、シャトー・ロマサン。こちらは、シャトーを代表するブドウ、ムールヴェードルで造られる赤ワインです。長期熟成も可能で、その稀少なオールド・ヴィンテージは、オークションで取引されるコレクターズアイテムとなっています。
品種:ムールヴェードル80%、グルナッシュ20%
「スパイス」を感じるワイン
バンドール・ルージュ・シャトー・ロマサンドメーヌ・オット★(フランス プロヴァンス )
5,500 円 (5,940 円 税込)