ワインの魅力!熟成によってワインはどう変化するのか?

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公開日 : 2018.11.8
更新日 : 2023.7.12
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ワインの魅力!熟成によってワインはどう変化するのか?

「新しいワインは新しい革袋に、古いワインは古い革袋に」


これは聖書に書かれている言葉ですが、このことからわかるのは数千年前からワインは熟成されて楽しまれていたということではないでしょうか?


そして、ワインを寝かす習慣は今日まで引き継がれ、私たちを魅了し続けています。今回はそんな熟成ワインについてご紹介します。

目次

熟成とは

はじめに、熟成するというのは一体どのような意味なのでしょうか。


広辞苑によれば「十分に熟して出来上がること」とありますが、サイエンス的な見地から言うと「穏やかな酸化が促進される」という意味なのです。


後者のように言われると少々ロマンチックさに欠けますが、酸素とワインが接触することによりどのような変化が起きるのでしょうか。

白ワインの熟成

①外観

 

熟成が進むほど濃くなっていきます。色調もレモンイエローから黄金色、アンバーと変化していきます。


言わば、リンゴを切って置いておくと濃い茶色になるのと似ています。


②香り

 

若い頃は柑橘、果核、トロピカルフルーツなどの果物や、スイカズラ、ハーブなどの植物や花の香りが中心です。


しかし年月が経つに従って、次第にドライアプリコット、トースト、ナッツ、ハチミツのような香りが現れます。これらの香りはワインの複雑性に貢献します。


③味わい

 

香り同様、風味にフレッシュフルーツの印象が薄れ、徐々にドライアプリコットやトーストが現れスケール感が大きくなります。


実際、熟成によって、酸が増減することはないのですが、テイスターによっては酸の鋭角さが取れマイルドに感じることもあるようです。全般的に果実味が穏やかになるせいか、しなやかで優しい印象のワインに移行していきます。

赤ワインの熟成

①外観


白ワインとは正反対で、濃淡は淡くなっていきます。


また若い頃は紫がかった赤が一般的ですが、どんどんオレンジを帯びていきます。


②香り


白ワイン同様、若い頃はフレッシュフルーツ、花、植物が中心です。その香りの代表例にはフランボワーズ、ラズベリー、ブルーベリー、ブラックベリーが挙げられます。


ところが歳月を重ねるとともにドライフィグ、キノコ、腐葉土、タバコ、皮革のような香りが現れます。


③味わい


味わいにおける一番大きな変化は渋みでしょう。穏やかな酸化が進むと同時に、渋みのボリュームは減っていきます。これは渋みと色素の成分が重合して「澱」として瓶底に沈殿していくからです。


重合の過程では、渋みの性質も変化していきます。荒々しい渋みが、柔らかでマイルドなものに移り変わります。渋みは赤ワインにおける「骨格」となる要素なので、これが減少することによって味わい全体が繊細に感じられるでしょう。

ピークもある

このように白ワイン、赤ワインともに熟成が進むに従って、香り・風味ともに右肩上がりにスケール感が増し、ワインにおいてプラスに働きます。


これはいわゆる「熟成の山」を登っていくようなものです。


しかし、いつしかその香り・風味の発展もストップし頂上で一定期間を保つものの、やがて降下していくのです。この山の1番高いところを「ピーク」、また降下していくフェーズを「ピークを過ぎた」と表現します。


引き締まった酸やタンニンを持つワインほど、この山は大きなものになるのです。

余談ですが、2004年に公開された映画『サイドウェイズ』では、主人公のダメ男に対して、ヒロインが言った「人生は極上のワインのように、そのピークを迎える日まで日ごとに熟成し複雑味を増す。それからはゆっくりと坂を下っていくが、ピークを過ぎた味わいも捨てがたい」というセリフは世界中のワイン愛好家から深い共感を得ました。


たとえピークを過ぎたワインでも「愛でたい」という心の叫びを代弁したからに違いありません。

熟成はミステリー

筆者はアカデミー・デュ・ヴァンで、『定点観測』と呼ばれる熟成の謎に迫る特別講座を年に1回開いています。ケース買いした2000年から2006年のボルドーワインを、毎年9月の中旬に集まって熟成を確認するという会です。


何故、このような講座を企画したかというと、評論家は「〇年先が飲み頃」「あと〇年熟成できます」とは言うものの結局は想像に過ぎず、開けてみないと分からないというのが本音だからです。


まさに熟成はミステリーなのです。

「定点観測」で分かったこと

上述のセミナーはいよいよ来年で10年目を迎えるのですが、その中で興味深かったことが二つあります。


一つは、グレートヴィンテージは「美魔女」ということです。なかなか熟成が進まず、いつまでも若々しさをキープしています。21世紀を代表するビンテージ2005年は熟成の速度がゆっくりで、いつ飲んでも2005年は2006年よりも若いのです。


二つ目は、オフヴィンテージも熟成によって「化ける」ということです。2004年は雨が多く、若い頃は未熟香由来のメントールの香りがはっきり香るワインでした。しかし、7年経った頃から、タバコの葉が香るなんとも妖艶なワインに変身したのです。これは熟成を追っていく中での大発見でした。

まとめ

数あるお酒の中でも、ワインの魅力は熟成させて楽しめるということではないでしょうか。


もちろん開けてみないと、熟成の具合は分からないものです。しかし、「今、どれくらいの熟成段階なのだろう」、「開けようかな、どうしようかな」と迷う時間さえも優雅かつ贅沢です。


これぞまさにワインの醍醐味ではないでしょうか。

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