エルヴィオ・コーニョは、バローロ、バルバレスコと言った銘醸地が集まるピエモンテ州、ランゲの地で、家族経営を行っているワイナリー。アメリカのワイン評価誌『ワイン&スピリッツ』が選ぶワイナリー・オブ・ザ・イヤーを5度も受賞する快挙を達成するなど、世界中のワイン専門家を虜にする注目ワイナリーです。
12月下旬、現当主のヴァルテール・フィッソーレ氏の来日に合わせ、ワインショップ・エノテカ ウィング高輪店にて開催されたテイスティングイベントの模様をレポートします。
目次
バローロのライジングスター、エルヴィオ・コーニョ
オーナー兼ワインメーカーであるヴァルテール・フィッソーレ氏
バローロ、バルバレスコといったイタリア・ピエモンテ州きっての銘醸地を擁するランゲの地にワイナリーを構えるエルヴィオ・コーニョ。コーニョ家は4世代に渡ってワイン造りに携わっており、3代目エルヴィオ・コーニョ氏によって現ワイナリーが創設されました。
1990年創設と比較的新しいワイナリーでありながら、ガンベロ・ロッソの「ヴィニ・ディタリア」では最高評価トレ・ビッキエリをいくつも獲得。アメリカのワイン評価誌『ワイン&スピリッツ』が選ぶ「ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」においては、通算で5度選出という快挙を成し遂げるなど、気鋭のワイナリーとしてその地位を確立しています。
今回来日したのは、エルヴィオ・コーニョ氏の娘婿であり現当主であるヴァルテール・フィッソーレ氏。ヴァルテール氏曰く、エルヴィオ・コーニョの年間生産本数は10万本ほどで、量ではなく質にフォーカスした造りであることがわかります。
ヴァルテール氏が復活させたピエモンテの伝統品種ナシェッタ
復活を遂げた伝統品種ナシェッタ種
この日の1杯目に供されたのはコーニョが手掛ける唯一の白ワイン、ランゲ・アナス・チェッタ。アナス・チェッタとはピエモンテの方言で、「ナシェッタ」を表す言葉。その名の通り、ワイナリーが位置するノヴェッロ村の土着品種ナシェッタ種で造られます。
ナシェッタ種は、元々サルディーニャ島の原産、ヴェルメンティーノ種の亜種。19世紀まではランゲの各地で栽培されていましたが、国際品種の導入により一度絶滅しかけてしまいます。そのナシェッタ種の可能性を再発見し、復活させた功人物こそがヴァルテール氏。その功績から彼は「ナシェッタ種の父」とも称されています。
「ナシェッタ種は二つの表情を持つ品種である」とヴァルテール氏は言います。若い頃はアカシアやローズマリー、セージなどのフレッシュで地中海を思わせるアロマティックな香りが特徴ですが、10年ほど熟成すると、ミネラル感を纏いオイリーな質感が出てきて、リースリングやシュナン・ブランに似るそうです。
フードフレンドリーな味わいで、日本が大好きで何度も来日しているというヴァルテール氏は、寿司や天ぷら、焼き鳥といった和食と合わせて愉しむことをオススメしていました。
「ワインのキング」バローロと「ワインのクイーン」バルバレスコ
今回のイベントのテイスティングワイン
ナシェッタ、バルベラ、ドルチェットと数々の土着品種があるピエモンテですが、ヴァルテール氏が「ネッビオーロといえばピエモンテ、ピエモンテといえばネッビオーロ」と言うように、最も有名なのはやはりネッビオーロです。そして今回のイベントでは、ネッビオーロで造られる代表的なワイン、バローロとバルバレスコを飲み比べることができました。
ヴァルテール氏曰く、バローロは力強い男性的な味わいの「ワインのキング」であり、バルバレスコはよりエレガントな味わいの「ワインのクイーン」。どちらもネッビオーロのエレガントかつ複雑なキャラクターを表現していることには変わりありませんが、気候や土壌といったテロワールの違いがワインの味わいに表現されています。
“レッドワイン”、”ブルーワイン”、”ブラックワイン”?
そして今回のテイスティングで印象的だったのが、”レッドワイン”、”ブルーワイン”、”ブラックワイン”というヴァルテール氏独自の赤ワインの分類でした。
「バルバレスコ・ボルディーニ 2015年」は、ブルーベリーとリコリスのアロマが特徴の”ブルーワイン”。このブルーベリーのアロマは若いワインに備わり、またリコリスのアロマは暑い2015年ヴィンテージの特徴でもあると言います。タンニンは非常にシルキーで果実をかじったような若々しい味わいです。
一方、今回のイベントのために蔵出しされた貴重なバックヴィンテージボトルの一つ、「バローロ・ラヴェーラ 2008年」は、ヴァルテール氏曰く、赤系果実のアロマが特徴の”レッドワイン”とのこと。冷涼なヴィンテージらしいフレッシュ感や樹脂のニュアンスがあり、バラやユーカリのような清涼感のあるタッチが加わりながらも全体としては力強い印象です。
そしてもう一つのバローロ、「バローロ・ヴィーニャ・エレナ・リゼルヴァ 2007年」は、赤系果実や花のアロマに、黒系果実、ホワイトチョコレートやカカオなどの複雑な香りが重なった、”ブラックワイン寄りのレッドワイン”。「ロゼ」という珍しいネッビオーロのクローンが使用されており、ラヴェーラと比べるとよりエレガントで女性的な味わいとなっています。
まとめ
今回、珍しい伝統品種を使った白ワインから、貴重な熟成バローロまでのテイスティングを通して、世界中の評価誌が絶賛するクオリティの高さを実感することができました。
また今回のイベントではテイスティングワインに合わせて、ゴルゴンゾーラと蜂蜜を合わせたカナッペと、卵にトリュフのアクセントを加えたカナッペという2種のおつまみが用意されました。
ピエモンテはワインの銘醸地としても有名ですが、タヤリン(卵パスタ)やトリュフ、チーズなどが名物な美食の街としても有名。ワイン単体でももちろん愉しめるエルヴィオ・コーニョのワインですが、是非様々な料理と合わせてその魅力を存分にご堪能してみてはいかがでしょうか。
今回イベントが行われた ウィング高輪店
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