イタリア半島の“かかと”に位置しているプーリア州。イタリアでは全20州でワインを生産していますが、近年プーリアのワインは、濃厚で飲みやすい赤ワインを好む愛好家から注目されています。
今回は、そんなプーリア州の魅力についてご紹介します。
目次
イタリア最東の州
イタリアの中でも最東に位置しているプーリア州。東にはアドリア海、南にはイオニア海が広がっており、同じく重厚な赤ワインを生み出すことで知られているカンパーニア州やバジリカータ州と隣接しています。一昔前まではバルクワイン(注1)を多く供給していましたが、近年では生産者たちが意識改革し、品質の向上を目指すようになりました。
文化的にも優れており、八角形の頂点それぞれに塔を配置した特徴的な設計で有名なカステル・デル・モンテ城はユネスコの世界遺産に登録されています。
(注1)バルクワイン…瓶詰めのワインとは違い、輸出された先の国で新たにブレンドされたり水を加えられたりして加工され瓶詰めされる安価なワインのこと。
気候風土
温暖な気候というよりは暑く乾燥した地中海性気候で、山は少なく、広大な平野が広がっています。
ブドウの他にはオリーブや穀物、野菜などの収穫量が多く、ブドウの収穫量もヴェネト州などと並んでイタリアではトップクラスです。
主要品種
様々なワインが造られていますが、D.O.C.G.は主に赤ワインとロゼワインで、タンニンが多くシルキーな味わいのものが多く生産されています。
中でも、プリミティーボとネグロアマーロがプーリアを代表する主要品種となっており、近年ではネーロ・ディ・トロイアが注目されています。
プリミティーボ
アメリカ・カリフォルニアではジンファンデルという名前で栽培されています。
果実味が強くて舌触りがよく、アルコール度数の高いワインを生み出します。比較的初心者にも飲みやすいワインが多く、世界的にも人気が高い品種です。
ネグロアマーロ
プーリア州の飛び出したかかと部分であるサレント半島で主に栽培されている黒ブドウです。
濃厚でタンニンの強い赤ワインや、爽やかで輪郭のはっきりとしたロゼワインを生み出します。かつてはバルクワインの原料として使用されていました。
ネーロ・ディ・トロイア
ウーヴァ・ディ・トロイアという別名を持つプーリアの土着品種の黒ブドウ。近年は、その豊かな香りや洗練されたタンニンから、単一品種で造られたワインが注目されています。
郷土料理や食材
・オレキエッテ・コン・チーマ・ディ・ラーパ(Orecchiette con cime di rapa)
プーリア州や、隣接するバジリカータ州を代表する小さな耳の形をしたパスタのことをオレッキエッテといいます。これを、日本にある菜の花よりも苦味が強いカブの菜の花やアンチョビ、パプリカパウダー、にんにく、オリーブオイルなどであえた料理です。
・リーゾ・エ・パターテ(Riso e patate)
じゃがいも米をスープで似た料理。リゾットとは違い、日本でいう雑炊に近いものです。
・アニェッロ・アル・フォルノ(Agnello al forno)
仔羊に塩、にんにく、ローズマリーをふりかけてローストするシンプルな肉料理です。
・カネストラート・プリエーゼ(Canestrato Pugliese)
カネストラートとは羊乳で造られたハードタイプのチーズで、表面にはカネストロという葦で造られたカゴを押しつけた独特の模様がついています。カネストラート・プリエーゼはこの中でもDOP認定(注2)された特別なもので、入手は難しくなっています。
(注2)DOP認定…原産地が明確で、取り決められた製造法などの基準を満たす食材に認定されるもの。
主要D.O.P.
・カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァ(D.O.C.G.Castel del Monte Rosso Riserva)
果実味がしっかりとあり、上質なタンニンが感じられる赤ワイン。ネーロ・ディ・トロイアが主体品種で、肉料理によく合います。
・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレ(D.O.C.G.Primitivo di Manduria Dolce Naturale)
プリミティーボ主体で造られており、キュートな果実味が特徴です。タンニンが滑らかで口当たりが良く、深みがある甘口の赤ワインです。
・プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア(D.O.C.Primitivo di Manduria)
プリミティーボ主体で世界的に人気が高い赤ワイン。飲みやすく、初心者にも高い人気を誇っています。
おすすめのプーリア州のワイン
最後に、ぜひ一度お試しいただきたいプーリア州のワインを二種類ご紹介します。
フルボディで飲みごたえのある赤ワイン
イタリアの名門ワイナリー、アンティノリが造るこちらの赤ワイン。
果実の凝縮感たっぷりで、フルーティでありながら力強さも持ち合わせています。
3,000円台の赤ワインでも特にコスパに優れているので、是非一度お試しいただきたい一本です。
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バランスの良いオーガニックの白ワイン
同じくアンティノリが完全オーガニックで造る白ワインがこちら。
果実味、ミネラル感、樽の香りのバランスが美しく、非常に上品な味わい。
どんなお料理にも合わせやすいので、食卓のお供に是非お愉しみください。
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まとめ
重めの赤ワインが飲みたいけれど、タンニンが強すぎるものはちょっと……という人にこそオススメなプーリア州のワイン。
ワイン好きな友人とカジュアルにグラスを交わしたいときや、お世話になった人にちょっとしたお礼をしたいときなどは、ぜひプーリアのワインを選んでみてくださいね。
参考:『2018 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会
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