すき焼きの起源について、諸説は様々ありますが、江戸時代の後半に関西で生まれたと言われています。
江戸時代に使い古した鋤(すき)に鯛などの魚をのせ、焼いた料理が起源となり「すき焼き」と呼ばれるようになりました。すき焼きが生まれた江戸時代の後半といえば、牛や馬は農作業で欠かせない存在でしたので、これらを食することは禁じられていました。
このような経緯もあり、当時は、鴨や鯨肉、牛肉をこっそりと食していたようであり、かなり貴重な食源であったことが想像が出来ます。
今では、家庭料理から高級料理まで、多くのシーンで振る舞われているすき焼き。和食の中でも人気のあるすき焼きに、あえてスパークリングワインを合わせてみました。
すき焼きにフランチャコルタを合わせる!
スパークリングワインの中でも、シャンパンより酸味が幾分穏やかで、果実味に富んでいるフランチャコルタは、世界的にも注目されているスパークリングワインです。その中でもトップクラスの品質を誇る生産者がベラヴィスタです。
ベラヴィスタは、その高い品質が認められ『世界最優秀ソムリエコンクール』のゴールド・パートナーになりました。これは、シャンパーニュ以外のスパークリング生産者としては史上初の快挙となります。
今回は、そんなベラヴィスタが手掛けるフランチャコルタとすき焼きの相性を探っていきたいと思います。
フランチャコルタとは
イタリアのロンバルディア州、ミラノから東へ約80キロに位置するイゼオ湖の周辺で生産される発泡性のワインが「フランチャコルタ」と名乗ることができます。1967年に原産地呼称に認定され、1995年には、原産地統制保障呼称(DOCG )を獲得。細かな規定をクリアし、瓶内二次発酵及び熟成を経たものだけに与えられる呼称です。
使用されるブドウは、シャンパーニュ地方とほぼ同じものを用いています。多くのワイナリーでは、シャルドネとピノ・ノワール(ピノ・ネロ)を主体に造られていて、ピノ・ビアンコ(ピノ・ブラン)を最大で50%まで使用することが許可されています。
これらの品種を用い、基本はブレンドをして、最低でも瓶内熟成を18ヶ月経て出荷されます。
フランチャコルタには、ブリュット、
今回、すき焼きに合わせる「サテン」は、絹のような舌触りと艶やかな色合いを持つことから名付けられました。使用できるブドウは、シャルドネ及び、ピノ・ビアンコの使用が50%を上限として認められています。また熟成中に、育まれるガス圧が通常よりも穏やかで優しい泡立ちを表現します。
今回はこのサテンの穏やかな味わいが、すき焼きとの相乗性を高めると思い、ご紹介をさせていただきます。
ベラヴィスタが手掛けるフランチャコルタ・サテンの味わい
すき焼きに合わせる「フランチャコルタ・サテン」は、高樹齢のシャルドネを100%使用した、ブラン・ド・ブランです。
緑がかった濃い黄色の色調で、とても細かな気泡がリズミカルに立ち上がります。香りも凝縮されていながらも、非常に上品かつ複雑で、洋梨やサフラン、花の蜜、レモングラス、ヘーゼルナッツやカスタードクリームのようなアロマが強く感じられます。
味わいもしっかりとした第一印象から非常にキメの細かなガスの刺激と程よい酸味が口中で溶け合い、そして広がります。かなりボディもあり中間には熟成から由来する丸みを帯びた旨味も明確に感じ取れると思います。
後半には、徐々に和柑橘を伴う芳しいフレーヴァーが表れ、サンダルウッド(白檀)のようなニュアンスもあり、余韻も長く高品質な一本です。
すき焼きとの相性
では実際にすき焼きと合わせてみましょう。
まず牛肉を一口含むと優しくなめらかな触感が味覚に感じられ、ワインの穏やかで品格ある酸味と口中でのフレーヴァーが重なり、よく合います。
そこに焼き豆腐やネギ、春菊やキノコの香りなどが加わると更に口の中では、ハーモニーが生まれます。もしかしたら鍋から発する料理の香りもこの相乗性を導いているのかもしれません。
ちなみに、割り下だけで、ワインと試してもさほどの相乗効果は得られませんでした。
すき焼きの基本の出汁は、醤油、味醂、砂糖、であり、これを割り下と呼びます。調理の工程としては、鍋に油をまぶし、熱して、ネギやキノコなどを加え炒める。そこに、割り下を足しながら、更に牛肉も加え、それぞれがひたひたになるぐらいで加温していく。焦げないように、加熱していくのがコツです。
この工程の中で、牛肉などの素材が加熱されることにより合成されるメイラード反応が起こると言われています。これは、素材のタンパク質とソース類に含まれる糖が結合して起こる反応です。すなわち、割り下に配合されている砂糖などの糖分と火入れをした牛肉が反応し、また、複数の野菜類が放つ香りも混然一体とした味わいに寄与しています。
また、ボトル内で育成されたフランチャコルタの風味は、このメイラード反応にもどこか似ています。瓶内熟成の際には、出来上がった原酒に酵母と糖を加え、瓶内で再発酵をさせ、長い熟成後に芳ばしいトーストやブリオッシュのような香味を育みます。かつ、働きを終えた酵母は瓶内で更にワインに溶け込み旨味を生成します。
ここで補足ですが、通常のフランチャコルタの法定熟成は、18ヶ月ですが、このフランチャコルタ・サテンは約60ヶ月の熟成期間を経てます。すなわち料理とワインの合致するフレーヴァーがかなり多いことを認識できるはずです。このトーストなどの芳しい香りが、料理との相性を高めているのは、間違いがないようです。
フランチャコルタ・サテンならではの、優美な酸味と穏やかなガス圧でクリーミーな酒質が更にすき焼きを引き立てている。これはやめられない愉しみ方になりそうです。
まとめ
前述したように一般的に、料理をワインの色で合わせることは、多くのシーンでも試すことがあると思いますが、すき焼きの場合は、更に柔軟な発想が必須になります。
ベラヴィスタのフランチャコルタ・サテンは、エレガントな酸味と瓶内熟成から由来する芳ばしい香味がこの上なく特徴的であり、滋味で、皆が楽しく食せるすき焼きには、申し分ないと思います。昨今、益々外国人ゲストも増える中、究極のもてなし術としても、ご活用いただきたい。