アイスワイン徹底解説!

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公開日 : 2019.3.15
更新日 : 2023.7.12
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甘口ワイン

アイスワインは世界を代表するプレミアムワインの一つです。贈答用にもよく使われ、バレンタインデーに男性から女性にアイスワインをあげる習慣がある国もあるとか。

今回は、そんなアイスワインについて解説します。

目次

アイスワインとは

直訳では「氷結ワイン」。このためワインを凍らせて造ったものと勘違いされがちですが、実際はブドウを凍らせて造ったものです。

ブドウを氷結した状態で収穫し、そのまま圧搾するとブドウ果粒内の水分は凍るのに、その他甘味を含むエキス分は凍らずに流れ出てくるので、極端に甘い果汁を取り出すことができます。

小さい頃に、オレンジジュースを凍らせてみたらうまく凍らなかったという経験はありませんか。これは純粋なH2Oはゼロ度が氷点ですが、甘味を含む液体は氷点がゼロ度より低いことに由来するものです。

そしてこのアイスワインは氷点の違いを生かして造った貴重なワインなのです。そのトロトロの甘い果汁を使ってアルコール発酵すれば、酵母が糖分を食切ることができずに甘いワインになるのです。

アイスワインの代表産地

ドイツ風景

どこででもこのアイスワインが造れるわけではありません。「氷結」という文字通りブドウが凍るような冷涼な場所である必要があります。しかし寒すぎれば凍害など栽培上トラブルが発生しますので、冷涼なことに加えていくつかの条件が必要となってきます。

ドイツ、オーストリア、アメリカ合衆国のミシガンなど有名な産地がありますが、カナダのナイアガラ半島はお手本のような産地です。

緯度50度に位置し、非常に厳しい寒さにさらされていますが、湖が大水塊となり寒すぎる気候を緩和しています。加えて生育期間が伸びて秋が長くなるので、ブドウの成熟がゆっくりになるというアドバンテージがあります。

アイスワインに向くブドウ品種

リースリング

産地同様、どのような品種からでもアイスワインが造られるわけではありません。耐寒性に優れたブドウ品種でなければなりません。

その点、リースリングは樹幹が固く寒さに強い品種です。菩提樹の香りを呈するこの品種から造られたアイスワインは何とも優雅です。しかしリースリングは房も小さく、小粒で密集しており栽培が難しい品種です。

アイスワイン界の救世主となったのがヴィダルです。この品種はユニ・ブランとセイベル4986のハイブリッドです。リースリングのような華やかさにはいまひとつ欠けますが、カシスの葉のような清涼感のある品種です。

何より樹幹が固いことに加え、果皮も厚いため、リースリング以上に耐寒性に優れているので、1970年代に開発されて以来、アイスワイン用のブドウ品種として爆発的に栽培面積が増えました。

骨が折れるブドウ栽培

ブドウ畑

アイスワインを造るためには畑での作業も非常に手間がかかります。特にブドウは-8度になったところで収穫される必要があるので、12月から1月まで収穫を待ちます。

収穫は後になればなるほどリスクが伴います。雨が降ってカビが生えてしまう可能性もありますし、鳥たちが甘いブドウをついばみに来るので、ネットをひと畝ひと畝かける造り手もいます。

最近では地球温暖化の影響で、待てど暮らせどブドウが凍らなかったという残念なレポートを耳にすることもあります。

-8度でうまく凍れば収穫スタートです。収穫は夜型人間には務まりません。ブドウを凍結した状態で収穫するために朝5時ぐらいから開始されるからです。

当然、手収穫です。理由はピュアな果汁を圧搾するためには全房で圧搾する必要があり、機械収穫では房ごとの収穫が叶わないからです。ワイン造りの中でこの手収穫がもっとも人件費がかかるポイントと言っても間違いないでしょう

アイスワインの醸造

凍ったブドウは房ごとにやさしく圧搾されます。その際、得られる果汁量は非常に少なく、一房からティースプーン1杯分しか取れないのです。これもまたアイスワインの希少性と価格を押し上げている理由の一つです。

その後、ステンレス製タンクなどの不活性容器でアルコール発酵されます。品種由来のピュアな香りを生かすために、生産者たちは酵母選びも真剣に行います。マロラクティック発酵や木樽熟成も避けられます。理由は果汁由来の華やかな香りとバッティングするからです。

冷涼産地が生む唯一無二のスタイル

甘口ワイン

以上のように産地選び、品種、栽培、醸造と各段階で手間がかかるアイスワインはプレミアムとなるのです。

また、このようにして造られたワインは、原料ブドウの由来の風味が豊かに香る甘口ワインとなります。普段は辛口しか飲まないという消費者にも圧倒的な支持を得ている理由は、甘さを支える天然のクリスピーな酸ではないでしょうか。

この北の大地が生み出す豊かな酸がなければ甘さがだれてしまうものです。アルコール度数も低く、何杯飲んでも飲み疲れすることなく優美な気持ちにさせてくれるワインです

まとめ

アイスワインの先駆者カナダでは、世界に先駆けて黒ブドウから造ったアイスワインや、アイスワインのスパークリングも誕生しています。選択の幅も広がり、期待値もますます高まります。何よりグラスを傾ける時、テロワールのユニークさや生産者の手間暇を知り、じっくりと楽しめそうです。

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