現代イタリア白ワインの聖地!フリウリ・ヴェネチア・ジュリアの魅力

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公開日 : 2022.6.14
更新日 : 2022.6.14
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現代イタリア白ワインの聖地!フリウリ・ヴェネチア・ジュリアの魅力

イタリアの中でも「白ワインの聖地」と呼ばれているフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州。様々な種類の白ワインや、オレンジワインの産地としても有名なこの土地は、海や隣国に囲まれた自然の恵み豊かな州です。


今回はフリウリ・ヴェネチア・ジュリア州の歴史や生産されているワインの特徴などをご紹介します。

目次

多くの支配を受けた歴史

フリウリ

フリウリ・ヴェネチア・ジュリア州(以下フリウリ)はイタリアの北東部に位置し、東はスロヴェニア、北はオーストリアの国境と接しています。隣国に加えてアドリア海にも面していることから、古くから重要な地域として位置づけられていました。


その重要性から、中世にはオーストリア領に、続いてフランス帝国領、再びオーストリア領、そして現在はイタリア領と支配国が次々に入れ替わった歴史を持っています。


その歴史はフリウリの文化に色濃く反映されており、現在もフリウリではイタリア語に加えてフリウリ語、オーストリア語、スロヴェニア語など様々な言語が話されるなど、多様な文化が入り交じった独特な地域となっています。

白ワインの聖地となるまで

フリウリのワイン畑

フリウリは、イタリア随一の白ワインの銘醸地として知られています。この地位を確立したのはここ60年ほどです。それまでは生産量も赤と白が同じくらいで、メルロなど比較的栽培しやすい品種で大量生産が行われていました。


状況が変化したきっかけは、フリウリの生産者たちがワイン造りに近代的醸造方法を取り入れ、新しいスタイルの白ワインを造ったことでした。その最大の功労者が、スキオペットの創設者マリオ・スキオペット氏です。


1960年代、独学でワイン造りをスタートしたマリオは、厳しい収量制限のもと、樽の使用を見直し温度管理が可能なステンレスタンクなどの近代設備を導入。造られたワインは、クリーンでフレッシュながらも長期熟成に耐えられるスタイルで多くの生産者に衝撃を与えました。


この革新的取り組みは近代的白ワインの指標となり、他の生産者たちもこの近代的なスタイルの白ワイン造りに意欲的に取り組むようになったのです。


その後、マリオの教えをもとに、世界的に人気のある国際品種の使用にも積極的に取り組んだのがイエルマンです。特に1987年にU2のアルバム「The Joshua Tree」の中の「名もなき通り」にインスピレーションを受け、開発されたというワー・ドリームスは、イエルマンの記念碑的存在です。


国際品種であるシャルドネを主体に、ブルゴーニュ最高峰の白ワインであるモンラッシェをイメージして造られたというその味わいは見事に成功をおさめ、イエルマンの名前を世界中に轟かせました。


こうした生産者たちの活躍もあり、フリウリの白ワインの品質はさらに向上。フリウリはイタリアを代表する白ワインの銘醸地として、その地位を確固たるものにしたのです。

フリウリの気候風土

フリウリ風景

フリウリでは、アルプス山脈とアドリア海の間にブドウ畑が広がっています。気候は南部の乾燥している温暖な亜地中海性気候から、温和で湿度の高い平野部、アルプス性気候で雨が多い北部と場所により異なるのが特徴です。


フリウリのテロワールを語る上で欠かせないのが、産地特有のポンカ土壌です。ポンカ土壌とは、粘土やそれよりも荒いシルトなど、手で触るともろく砕けてしまうほど柔らかな土壌が幾層にも重なった土壌です。水はけが非常に良いことが特徴で、鉄分や石灰を多く含んでいるため、ワインに独特なミネラル感や厚みを与えます。


さらにフリウリでは、ポーラと呼ばれる冷たく強い風が吹きます。このポーラの影響で気温は冷涼に保たれ、生み出されるワインにフレッシュさやキレの良さを与えています。

ポンカ土壌

栽培されている品種

リボッラ・ジャッラ

フリウリは土着品種に加え国際品種の栽培も盛んで、様々なブドウでワインが造られています。


白ブドウは、まろやかで上品な味わいの中にビターアーモンドを感じさせる苦味が特徴的なフリウラーノや、甘口ワインを生み出すピコリット、国際品種のシャルドネやピノ・グリージョなどが生産されていますが、注目したいのがリボッラ・ジャッラです。


リボッラ・ジャッラは、フリウリ東部とその地域に隣接するスロヴェニアで栽培されている白ブドウです。果粒の小さいブドウで、薄い果皮は淡い黄色で斑点が見られるのが特徴です。


色合いは黄色〜黄金色、繊細な花(アカシア)の香りや柑橘系のレモンやグレープフルーツ、青リンゴのようなフレッシュなか香りを持ち、味わいには酸味とミネラルが比較的しっかりと感じられます。


また、近年注目を集めるフリウリのオレンジワインの原料にも、このリボッラ・ジャッラが多く使用されています。オレンジワインの場合は、マンダリンや黄色い花のような華やかで甘味を連想する香りがありますが、味わいは極めてドライで適度なタンニンと心地良い苦味があります。また、数年熟成させたものは非常にコクのある味わいになります。


一方、黒ブドウは生産量がそこまで多くないものの、青味のある梗のニュアンスが特徴的なレフォスコ・ダル・ペドゥンコロ・ロッソや、果実味豊かで重いワインを生み出すピニョーロが、フリウリで栽培される品種として有名です。また、国際品種のカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロも広く栽培されています。

代表的なD.O.P.

ブドウ畑

フリウリの代表的なD.O.P.がコッリオ・ゴリツィアーノ/コッリ・オリエンテーリ(Collio Goriziano/Colli Orientali D.O.C.)です。


いずれも、スロヴェニアとの国境東部の端にあるゴリツィア県で造られる白ワインのD.O.P.で、斜面に広がるポンカ土壌で造られる白ワインが世界的に高評価を得ています。フリウラーノ、リボッラ・ジアッラ、ピノ・ビアンコ、ピノ・グリージョ、シャルドネ、ソーヴィニヨン(ソーヴィニヨン・ブラン)などが栽培されています。


フリウリ・グラーヴェ(Friuli Grave D.O.C.)も有名なD.O.P.の一つ。中部から南部の平野に広がる一大生産地で、比較的早飲みを想定したボルドースタイルの赤ワイン、親しみやすい白ワインからオーク樽熟成をした高品質な白ワインまで造られています。


また、陰干ししたブドウから造られる甘口ワインのD.O.P.も存在します。それがコッリ・オリエンターリ・デル・フリウリ・ピコリット(Colli Orientali del Friuli Picolit D.O.C.G.)。非常にエレガントで上品な味わいが特徴です。しかし、85%以上使用されるピコリットは受粉が困難なことから収量が極端に少ないため、希少ワインとなっています。

白ワインだけじゃない!オレンジワインブームの立役者

オレンジワイン

フリウリでは白ワインだけでなくオレンジワインも生産されています。


白ワインを造る際、白ブドウの皮や種子を取り除いた果汁だけを発酵させます。しかしオレンジワインは、白ブドウの果皮と種子を発酵・マセラシオン(釀し)するスキンコンタクトを長時間行うため、見た目はオレンジがかった色調で、タンニンの渋みや苦みを持ちます。


元々オレンジワインはワイン発祥の地と言われるジョージアで造られていましたが、フリウリの有名自然派ワイン生産者たちがジョージアワインにインスパイアされ造り始めたことで、世界に発信され現代に復活しました。


フリウリはオレンジワインの魅力を改めて再発見し、ブームに火をつけた立役者でもあり、現在では多くのオレンジワインが生産されているため「オレンジワインの聖地」としても名声を得ています。


多くの種類のワインが生産されているフリウリ。白ワインを選んだことがある人は多いと思いますが、和食にも合わせやすいオレンジワインをチョイスしてみるのも新鮮かもしれませんね。

フリウリのオレンジワイン一覧

まとめ

近代的なワイン造りへの挑戦を経て、現代白ワインの聖地となったフリウリ。ユニークなテロワールや品種も相まって、その唯一無二の個性はワイン好きを魅了して止みません。


まだフリウリのワインを飲んだことがないという方は、ぜひ試してみてくださいね。

フリウリのワイン一覧

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