「ソムリエのオリンピック」第16回A.S.I.世界最優秀ソムリエコンクール観戦レポート!

お気に入り追加

レポート
公開日 : 2019.3.25
更新日 : 2022.5.28
シェアする
ソムリエコンクール

Photo:A.S.I.(国際ソムリエ協会)

3年に1度開催され、世界一のソムリエを決めるA.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクール。2019年3月11日〜15日、ベルギーのアントワープで開催されたこのコンクールの模様を、現地で観戦する機会に恵まれたエノテカスタッフがレポートします!

目次

A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクールとは?

A.S.I. 世界最優秀ソムリエコンクールは、その名の通り世界一のソムリエを決めるコンクール。3年に1度開催される、まさに「ソムリエのオリンピック」と言える大会です。1969年から開催されており、1995年の第8回大会では、日本代表の田崎真也氏が見事優勝しています。

記念すべき50周年目となった2019年の開催地として選ばれたのは、ベルギーのアントワープ。ビールやチョコレートはもちろん、「フランダースの犬」に出てくる聖母大聖堂で有名な都市です。

聖母大聖堂

開催地アントワープの観光名所、聖母大聖堂

63ヶ国からの各国代表それぞれ1名に、アジア・オセアニア、ヨーロッパ・アフリカ、アメリカ大陸大会優勝者3名を加えた計66名が参加。日本からは、日本代表として森 覚選手(41歳、コンラッド東京)、そしてアジア・オセアニア代表として岩田 渉選手(29歳、Cava de K)の2名が参戦しました。

コンクールはまず、実技、ブラインド・テイスティング、理論やビジネス知識を問う筆記試験からなる予選で、66名の中から一気に19名に絞られます。森選手、岩田選手の2名とも見事予選をくぐり抜け、13日の非公開準決勝へと進みました。

日本選手

日本代表の森選手(左)と岩田選手(右)

難問続きの決勝戦

準決勝から1日挟み、決勝が行われたのは15日。19名の中から決勝へ進めるのはわずか3名だけで、進出者は決勝の直前にアナウンスされます。

ソムリエの選手たち

壇上に並び結果発表を待つ選手たち

決勝へと駒を進めたのは、ヨーロッパ・アフリカ大陸代表であるラトビアのレイモンズ・トムソン選手(38歳)、デンマークの女性ソムリエ、ニナ・ジェンセン選手(26歳)、ドイツのマルク・アルメルト選手(27歳)の3名。

森選手は17位、岩田選手は11位と惜しくも決勝進出には至りませんでした。前回の2016年アルゼンチン大会2位のダヴィッド・ビロー選手(フランス、46歳)や、前大会3位のジュリー・デュピュイ選手(アイルランド、35歳)といった優勝候補の筆頭に挙げられていたベテラン選手も準決勝で敗退となり、会場からは驚きの声が聞こえました。

3名の選手が1人ずつ臨んだ決勝戦で課せられたのは、以下の7つの課題です。

①ソーテルヌをグラスで2名のゲストに、ベルギーの伝統的なドラフトビールを1名のゲストに、4分間の制限時間でサーブするというサービス課題。ソーテルヌワインは辛口しか準備されていないため、代わりに用意されている南アフリカの有名な甘口ワイン「ヴァン・ド・コンスタンス」を提案する必要がありました。またサービス中、1名のゲストから「氷を入れて欲しい」といった注文もされ、高いレベルの知識、サービス能力、対応力などが要求されます。

決勝戦の様子

ステージにはビールサーバーも

②ブラインド・テイスティング課題。3分間でワインの外観、香り、味わい、国、品種、サービス法、合わせる料理などをコメントします。正解のワインは1987年のオーストラリア、シラーズという難問でした。

③「ベガ・シシリア」をデキャンタージュして8名にサービスするという課題。制限時間は6分。準備されていたのは、3ヴィンテージがブレンドされた「ウニコ レゼルヴァ・エスペシアル」で、サービスの途中に審査員からこのワインについて、「このワインが特別な理由は何か」「ブレンドされている3つのヴィンテージは」「最初にリリースされた年は」といった質問が投げかけられます。

決勝戦の様子

デキャンタージュをするアルメルト選手

④ワイン4種のブラインド・テイスティングと、それぞれのワインに合う料理を提案するという課題。制限時間は3分。出されたワインは、ポルトガルの赤ワインから、ジュラのヴァン・ジョーヌ、ドイツの甘口ベーレンアウスレーゼ、そしてクロアチアのアンフォラ熟成のオレンジワインと、多岐に渡っていました。

⑤コースメニューに合わせて、生産国の異なるワインのペアリングを提案する課題。制限時間は3分間。途中、ゲストの一人から、「牛肉の赤ワイン煮には白ワインを合わせたい」との要望が入ります。

コースメニュー

課題のコースメニュー

⑥カードに記載された24種のワインを、品種別に分類するというもの。カステッロ・ディ・アマの「ラッパリータ」、アリストスの「デュケサ・ダ」など、世界の著名ワインをどれだけ知っているかが求められます。

ワインリスト

課題のワインリスト

⑦ジンやグラッパなど、10種のリキュールやスピリッツなどの飲料を3分間という短時間で特定するブラインド・テイスティング課題。中には日本の「泡盛」もあり、ワインの知識だけではなく、飲料全般の幅広い知識がソムリエには求められているということが分かります。

以上7つの課題を終えた後、最後は3選手揃って壇上に上がり、ベラ・ヴィスタの「フランチャコルタ・ロゼ」のマグナム・ボトルを16脚のグラスに、5分間で均等に注ぐという課題が出されました。

ボトルサービス実技

フランチャコルタ・ロゼ マグナム・ボトルのサービス実技

優勝はドイツ代表マルク・アルメルト選手!

優勝した選手

左から2位のニナ・ジェンセン選手、1位のマルク・アルメルト選手、3位のレイモンズ・トムソン選手 Photo:JEAN BERNARD(A.S.I.)

厳しい戦いを経て、見事、第16回A.S.I. 世界最優秀ソムリエに輝いたのは、弱冠27歳のドイツ代表マルク・アルメルト選手。初出場にして初優勝という快挙を成し遂げたアルメルト選手は、豊富な知識、安定感とスピード感を備えたサービス技術はもちろん、時にはユーモアを交えて場を和ませ、会場の雰囲気をも持っていった印象を受けました。

2位に輝いたのはデンマークのニナ・ジェンセン選手。ラトビアのレイモンズ・トムソン選手は3位を受賞し、中央から北部ヨーロッパの若手選手が健闘した結果となりました。

まとめ

ベラヴィスタ

ガラ・ディナーにて振る舞われたベラヴィスタのパス・オペレ

大会の期間中は、コンクール以外にも、スポンサーワイナリー等によるマスタークラスが数多く開催されています。また、スポンサーワイナリーの豪華なワインが振る舞われるディナーや、「タヴェル飲み比べ」「オーストリアのリースリング飲み比べ」など、毎日異なったテーマでワインを楽しめる「バー・デ・ソムリエ」が開かれるなど、選手やビジターが直接関われる機会も多く設けられていました。

ワインだけではなく、幅広い飲料の知識や理論、ビジネス知識を求められ、年々難易度が増している世界最優秀ソムリエコンクール。次に開催されるのは3年後の2022年です。ソムリエの方はもちろん、ワイン愛好家の方にとっても非常に興味深い内容となっていますので、是非チェックしてみてください。

動画はこちら

    この記事をシェア

    公式SNS・APP

    最新情報やワインの読み物を 毎週お届けします

    line お友達登録

    お買い物に便利! アプリ限定クーポンも随時配信

    公式アプリ

    ストップ!20歳未満飲酒・飲酒運転。
    妊娠中及び授乳中の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与える恐れがあります。

    ほどよく、楽しく、良いお酒。のんだあとはリサイクル。

    エノテカ株式会社はアサヒグループです。