オリヴィエ・ルフレーヴ社長のジャン・スベイラン氏
幅広いラインナップと安定した品質で、世界的に評価の高いブルゴーニュの生産者、オリヴィエ・ルフレーヴ。
先日、社長のジャン・スベイラン氏の来日に合わせ、ワインショップ・エノテカ 丸の内店にてテイスティングイベントが開催されました。
名門ルフレーヴ家の歴史ともに語られたオリヴィエ・ルフレーヴの飽くなき挑戦と、ジャン氏と共にテイスティングした珠玉のワインについて、詳しくレポートします。
目次
ルフレーヴ・ファミリーの歴史とオリヴィエ・ルフレーヴ
ルフレーヴ家は1635年から代々ピュリニー・モンラッシェでワイン造りを行ってきたブルゴーニュを代表する名門ドメーヌ。そして、オリヴィエ・ルフレーヴは1985年にドメーヌ・ルフレーヴから独立し設立されたワイナリーです。
ジャンさんは最初にオリヴィエ・ルフレーヴ誕生の経緯についてこのように話してくれました。
「創業者であるオリヴィエ・ルフレーヴ(以下、オリヴィエ 敬称略)はもともとドメーヌ・ルフレーヴのCEO(最高経営責任者)でした。彼はとても仕事のできる人で、常に何かできることはないかと考えていました。
当時、ドメーヌ・ルフレーヴはピュリニー・モンラッシェのワインしか販売していませんでした。しかし、オリヴィエはムルソーやシャサーヌ・モンラッシェなど他のアペラシオンのワインも提供したいと考え、ルフレーヴファミリーに『新しいブランドをつくりたい』と打ち明けました。そうしてオリヴィエ・ルフレーヴが誕生したのです。」
オリヴィエ・ルフレーヴ設立当初から10年間、オリヴィエは二足の草鞋を履いてドメーヌ・ルフレーヴとオリヴィエ・ルフレーヴの両方の仕事をこなしていましたが、1995年、オリヴィエはオリヴィエ・ルフレーヴの仕事に専念するためにドメーヌ・ルフレーヴを去りました。そして現在、オリヴィエ・ルフレーヴでは85種類ものブルゴーニュワインを生産しています。
ルフレーヴ・ファミリーの新しい挑戦
2011年、ドメーヌ・ルフレーヴとオリヴィエ・ルフレーヴは新たなプロジェクトを始動させました。シャンパーニュ『ヴァランタン・ルフレーヴ』の生産です。
「なぜシャンパーニュを造ることにしたかと言うと、ブルゴーニュとシャンパーニュは従兄弟のようなもので、テロワールも似ていれば栽培しているブドウも似ています。だから、オリヴィエはかねてよりシャンパーニュを造ってみたいと考えていたのです。それに、ルフレーヴファミリーは皆シャンパーニュが大好きですからね。」とジャンさん。
オリヴィエはブルゴーニュワインだけでは飽き足らず、新天地のシャンパーニュで新たなワイン造りに挑戦したのです。
ヴァランタン・ルフレーヴ
「スタンダードクラスのシャンパーニュの熟成期間は最低18ヶ月と決められていますが、われわれのシャンパーニュはそれ以上の期間、セラーで熟成させてから出荷しています。補糖は4.5gと少なめにして、フレッシュでシャープな味わいを追求しています」とのこと。
また、なぜブラン・ド・ブランのシャンパーニュにしたかというと、「長年、ブルゴーニュでシャルドネのワインを造ってきたから、シャルドネは得意なのです!」とジャンさん。ごもっともな理由ですね。
ちなみに、ヴァランタンとはオリヴィエ氏の現在11歳になる息子さんの名前で、その響きの良さから命名したそう。「まだ幼い子供ですが、彼はれっきとしたルフレーヴファミリーの一員だから」とジャンさん。名家の誇りを感じる言葉でした。
ワイン造りで最も大切にしていること
抜群の安定感を誇り、世界中のレストランから引く手数多のオリヴィエ・ルフレーヴですが、ジャンさんによるとワイン造りで最も大切にしていることは、「何よりエレガントなワインであること。そして、そのためには酸とアルコールのバランスが非常に重要。」と力説していました。
当日ジャンさんと試飲したワインのコメントは以下の通りです。
ブルゴーニュ レ・セティーユ 2016
ピュリニー・モンラッシェとムルソーの村のブドウを使用して造られた、贅沢なA.C.ブルゴーニュ。親しみやすさと共に、ボリューム感とふくよかな果実味、そして何より品格があります。
ジャンさんは、「レ・セティーユは、設立当初から35年間生産し続けているオリヴィエ・ルフレーヴの名刺のようなワインで、我々としてはとても重要なワインととらえています。なぜなら、多くのお客様にとってこのワインはオリヴィエ・ルフレーヴの最初のワインになるはずですから。」とのこと。
オリヴィエ・ルフレーヴのラインナップの中で最も安価なこのワインに、ジャンさんが非常に力を注いでいることがわかりました。
ピュリニー・モンラッシェ 2016
ピュリニー・モンラッシェはオリヴィエ・ルフレーヴのフラッグシップワインで、「常に高品質なワインを生み出すことができる」とジャンさん。長年の経験による自信が伺えました。
「2016年は冷涼な年だったので、非常にフレッシュなワインが出来上がりました。私は、あまり暑くない気候のほうがバランスの良いワインができると思っています。なぜなら、酸とアルコールのバランスを大切にしているので、ブドウが過熟しないほうが良いのです。」
柑橘系の爽やかなアロマにシャープな酸味、上質なミネラル感が特徴のまさにピュリニー・モンラッシェを象徴するワイン。ジャンさんはその余韻の長さ、複雑味も堪能してもらいたいとコメントしていました。
ムルソー・プルミエ・クリュ スール・ド・ダーヌ 2016
こちらは、10年にわたりビオディナミ製法(有機栽培の手法のひとつ)が採用されてきた、ドメーヌ・ルフレーヴから受け継いだ歴史ある区画のワイン。極辛口で、しっかりした酸味と蜜っぽさ、樽熟成によるふくよかさ、アルコールのボリューム感、これらの要素が完璧なバランスで構成された逸品です。
このワインの味わいはスール・ド・ダーヌという区画のテロワールによるところが大きいようです。
ポマール 2015
「非常に筋肉質で男性的なワインですが、とてもエレガント。酸とアルコールのバランスが非常によくとれたワインだと思います。」とジャンさん。
「オリヴィエ・ルフレーヴの全生産量の10%が赤ワインになりますが、我々は重たい赤ワインは好きではありません。赤ワインであっても、常にバランスがよく、エレガントなスタイルを目指しています。」とのこと。
2015年は2016年と異なり、非常に日照量が多くブドウが過熟した年だったので、細心の注意をはらってブドウ果汁の発酵を行ったそうです。
赤ワインはブドウ果汁に果皮を漬け込んで色素を抽出するので、ブドウの質が非常に問われます。ピノ・ノワールはとても繊細なブドウで栽培するのが非常に難しいですが、すばらしいワインを生み出すブドウ品種でもあるとジャンさんは教えてくれました。
おわりに
「ピュリニー・モンラッシェは人口400人ほどの小さな村ですが、私達はワインと料理のペアリングに特化したレストランとホテルも経営しているので、ブルゴーニュへお越しの際は是非お立ち寄りください。」と最後に笑顔で話して下さったジャンさん。
ワインの本場ブルゴーニュのピュリニー・モンラッシェで、オリヴィエ・ルフレーヴのワインを飲みながらフランス料理に舌鼓を打つ、想像するだけでも夢のようですね。
オリヴィエ・ルフレーヴの商品一
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今回イベントが行われた 丸の内店
土日・祝日 11:00~20:00