アメリカ最大の銘醸地・カリフォルニアワインの特徴は?

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公開日 : 2018.4.18
更新日 : 2022.5.23
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カリフォルニアワインが注目されるようになったのは1976年「パリスの審判」以降のことです。

それまで、ワイン産業の頂点で独走し続けていたフランスワインに勝利し、世界のワイン愛好家たちから一斉に注目を浴びました。

それから40年あまり。シャープな目線でワイン造りをし続けるカリフォルニアの生産者たちは進化し続けています。

今回はそんなアメリカ最大の銘醸地・カリフォルニアのワインについてご紹介したいと思います。

目次

18世紀からスタートしたワイン造り

アメリカのワイン造りの歴史は浅く、18世紀にローマカソリック協会のフランシスコ修道会の修道士たちが、ミサ用のワインを造り始めたことが最初だと言われています。

その後、メキシコ戦争を経て1849年のゴールドラッシュによりカルフォルニアの人口は急増。ワインの需要も増えていきました。19世紀後半にはヨーロッパ系品種であるヴィティス・ヴィニフェラ系のブドウが導入され産業が発展します。1873年には、フランスから10年遅れてカリフォルニア州のソノマでフィロキセラが発見されました。

1920年から1933年は、アルコールが一切禁止されるという禁酒法の時代が到来。廃止された翌年の1934年にはワイン・インスティテュートが設立され、カリフォルニア大学デイヴィス校にブドウ栽培・ワイン醸造科が設立されました。

そんな背景の下、1976年にはパリで行われたフランスワインとカリフォルニアワインを比較したブラインドテイスティングである「パリスの審判」で、赤ワイン、白ワイン両方の部門でカリフォルニアワインが1位を獲得し、世界のワイン愛好家の注目を集めました。

そして、1978年にようやくワイン法が制定。フランスから遅れること実に43年、ようやく世界に通用するカリフォルニアワインの本領が発揮されていくこととなります。

品質分類とAVAについて

アメリカ全土では主に3種類のワインが流通しています。

使用されているブドウの品種名が表示されている高級ワインの「ヴァラエタル・ワイン」。フランス・ボルドー地方で栽培されているカベルネ・ソーヴィニヨンなどの品種がブレンドされた「メリテージ・ワイン」。そして、バーガンディー(ブルゴーニュ)やシャブリ、シャンパンなど有名産地の名前が使用された「セミ・ジェネリックワイン」。これについてはEUとの協定により、2006年から新しく販売されるワインについては産地の名称について使用が禁止されています。

また、ワイナリーとブドウ畑が同一のブドウ栽培エリアに位置している、いわゆるフランスで言うところのドメーヌやシャトーにあたる醸造所で造られたワインは「エステイト・ボトルド」と呼ばれています。

ワイン法についてはヨーロッパ諸国とはシステムが異なっており、栽培地域についてはTTB(=Alcohol and Tobacco Tax and Trade Bureau:アルコール・タバコ課税及び商業取引管理局)が管理しているAVA(=American Viticultural Areas:アメリカ政府認定栽培地域)が細かく取り決められています。

これは例えば、大きなAVAの中に小さなAVAがいくつも含まれていたり、1つのAVAが2つの地域にまたがっていたりとフランスのA.O.C.とは事情が異なるために、とても複雑となっています。

また、ラベルの品種、産地、収穫年の表示規定についてはアメリカ全土とカリフォルニア州、オレゴン州でそれぞれ使用比率の下限が異なっています。産地の表示については、一般的に州、群、AVA、畑の準に下限が上昇し規定が厳しくなる傾向にあります。

地理的な特徴

カリフォルニア州はアメリカの南西に位置しており、寒流・カリフォルニア海流によって発生する霧が冷涼な気候をもたらしています。

主な産地は北部のノースコースト、その南のセントラル・コースト、その東のセントラル・ヴァレー、さらに東のシエラ・フットヒルズ、南部のサウスコーストの5つに分かれています。

中でもノースコーストには高級ワイン産地であるナパ群やソノマ群があり、特にナパ群のほとんどを占めるAVAナパ・ヴァレーにはカルトワインと呼ばれる希少性が高く入手も困難な高級ワインが多く造られています。

高級ワイン産地であるナパ・ヴァレーとソノマ群について

カリフォルニアで生産されるワインのうち、約5%がナパ群で、約8%がソノマ群で生産されています。

ノースコーストの中でソノマ郡は太平洋に面していて、陸側のマヤカマス山脈を北東に向かって超えるとナパ・ヴァレーがあります。

その東側にはヴァカ山脈が位置しています。北から南に流れている寒流・カリフォルニア寒流や北にあるセントヘレナ山の影響によってナパ・ヴァレーもソノマ群も南のほうが寒く、北のほうが温暖な気候となっています。

その温度差は夏の平均気温で10℃も違うと言われています。主要品種はカベルネ・ソーヴィニヨンやジンファンデル、シャルドネなどで、冷涼な地域ではピノ・ノワールも栽培されています。

注目のカリフォルニアワイン

今、注目を集めているカリフォルニアワインをご紹介します。

DRCの共同経営者が造るハイド・ド・ヴィレーヌ

DRCの共同経営者であるオベール・ド・ヴィレーヌ氏とサン・パブロ湾に近いカーネロスで屈指の畑を所有しているラリー・ハイド氏が2000年に立ち上げたワイナリー。

通常カリフォルニアワインはしっかりとした樽香が特徴的ですが、ハイド・ド・ヴィレーヌではフランスに倣い樽香を適度に抑え、場合によっては樽を使わないこともあるそうです。

ブドウにストレスを与えないグラビディシステムを採用し、補酸もしないなど、自然のまま醸造していく技術に重点を置いているため、香りが豊かであるのに上品でバランスの良い味わいが実現しています。

日本人好みなパッツ&ホール

ナパ・ヴァレーの優良畑であるハイド・ヴィンヤードのピノ・ノワールやシャルドネを使用して造られたパッツ&ホールのワインはワイン評論家であるロバート・パーカー氏から高評価を獲得しています。

凝縮された華やかな味わいとなっているものの、カリフォルニアワインの特徴ともいえるボリュームある甘味は抑えられています。ぎゅっと絞られたボディにスタイリッシュなミネラル感。洗練された味わいを楽しみたい方にオススメです。

コスパが高いロデレール・エステート

シャンパーニュの老舗で日本でも高い人気を誇るルイ・ロデレールがノース・コースト最北のメンドシーノで造っているのが、ロデレール・エステートのスパークリングワインです。

本家と同じ醸造方法で造られ、果汁はシャンパンでいうところのテート・ド・キュヴェ、すなわち一番搾りのみが使用され、2年から4年という、少々長めの瓶内熟成を経てから出荷されています。

お値段は4,000円弱で決して安いとは言い切れませんが、シャルドネが60%、ピノ・ノワールが40%使用された洋梨やヘーゼルナッツなどが香る華やかな香りはシャンパンに負けないほど芳醇です。世間的な評価も、ここ数年急上昇しています。

まとめ

素晴らしいワインを生み出し続けているカリフォルニアですが、2017年10月にナパ群などで発生した大規模な火事によって大小のダメージを受けました。

不幸中の幸いで既に収穫時期は過ぎていたものの、火事の影響で使用できなくなったブドウもあったといいます。さらに、12月には少し南下した地域で大きな山火事が発生し、大きな被害をもたらしました。

こういう状況でなくてもカリフォルニアワインを好んで手に取る人は少なくありませんが、今だからこそ復興支援の意味合いも込めてナパ・ヴァレーを中心としたカリフォルニアワインを手に取ってみてはいかがでしょうか?

特にヨーロッパのワインを中心に楽しんでいる人には、カリフォルニアワインを通して驚くような新しい発見があるかもしれませんよ。

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