少しずつ改築・拡大を続けているパオロ・スカヴィーノのワイナリー。
NHK「世界はほしいモノにあふれてる」に同行取材いただいた今年1月のピエモンテ出張。
バローロの生産者、パオロ・スカヴィーノを訪問したときには、思わず涙が出るほどの感動エピソードがありました…!前回に続き、出張のこぼれ話をご紹介します。
前回のこぼれ話はこちら!
革新を続けるワイナリー、パオロ・スカヴィーノ
パオロ・スカヴィーノの広大なセラー。バリックやオーストリア産の大樽が並びます。
先日放送されたNHK「世界はほしいモノにあふれてる」~ “コスパ最高!絶品ワインを探す旅”の最後で紹介されていたのが、バローロモダン派の巨匠、パオロ・スカヴィーノでのエピソードです。
バローロの名門、パオロ・スカヴィーノ。イタリア赤ワインの象徴とも言えるバローロに大きな革新をもたらし「新しいバローロ」を生み出した、モダンバローロの頂点と目される偉大な生産者です。
現当主であるエンリコ氏の祖父、ロレンツォ氏によって1921年にカスティリオーネ・ファレット村に設立。3代目当主であるエンリコ氏が参画しワインメーカーとして徐々に成功し始めた1978年に、単一畑の「ブリック・デル・フィアスク」をリリース。当時畑のブレンドが当たり前だったバローロでは非常に珍しい試みであったこのワインは評判を呼び、瞬く間に完売しました。
その後も革新的な取り組みを続け、モダン派の生産者の集団である“バローロ・ボーイズ”として注目を浴びます。中でもバローロに革新をもたらしたと言われるのが、「ロータリーファーメンター(回転式発酵槽)」のいち早い導入でした。
近年ではピエモンテで伝統的なティーナ(木製発酵槽)を導入するなど、試行錯誤を続ける、常に進化に余念がないワイナリーです。
3代目当主のエンリコ・スカヴィーノ氏と、娘で4代目のエンリカさん。エンリコさんは現在78歳。10歳からワイナリーで働き、現在までに68回収穫を体験したというバローロの重鎮です!
ワインを壁の中に埋めるピエモンテの風習
新しく改築されたセラーは2016年4月7日に完成。
この日はエンリコさんの誕生日でもあるそうです。
この日はエンリコさんの誕生日でもあるそうです。
出張スタッフがパオロ・スカヴィーノのワイナリーを訪問した際、新築されたセラーを案内していただきました。
そのときエンリコさんの娘で4代目となるエンリカさんが話されたのが、セラーを改築するため、以前の建物を取り壊していた際に、なんと壁からワインが24本出てきたというエピソード。
ピエモンテでは次の世代のために、セラーや家を建てるときには壁にワインを何本か入れる風習があったのだそう。エンリコさんは、壁からワインが出てきたときに、そういえばそういうことを父親から聞いたことがあったなと思い出したくらい、壁の中のワインは忘れられた存在となっていました。
壁に埋められていたワインは1971年など数ヴィンテージ。1974年に壁に埋められ、なんと約40年も壁の中で静かに佇んででいたのです。まだ見ぬ世代を思っての配慮、すてきな習慣ですよね。
40年間、壁に埋められていたワインを飲む!
40年間、壁に埋められていたバローロ1971年。1974年に壁に埋められ、2014年に壁から取り出されました。
出張スタッフ一同、セラーを案内されながら、この話を興味深く聞いていたのですが、その後のランチで驚きの展開が。
みんなでランチをとるレストランに、壁に埋められていたワインを1本、エンリカさんが持ってこられており、非常に希少なワインであるにも関わらず、エノテカチームのために開けてくれたのです。
先ほど興味深く伺ったばかりのワインを開けていただける、なんともうれしいサプライズ。あまりのうれしさと感激に思わず涙ぐんでしまうほどでした。
開けていただいたワインは、1971年のバローロ。スパイス香、熟成による枯葉などを思わせる複雑な香り。驚くほどシルキーでフレッシュさも感じるほど良い熟成を経ており、40年という長い時間を感じさせない魅惑的な味わいに一同改めて感激したのでした。
人をつなぐワインならではの魅力
エンリコ氏のお父さんが壁に埋めたワインを、時代を超えて口にしたことは、まさにエンリカさんが番組の最後で言われていたように、ワインは分かちあうものであり、人と人をつなぐもの。
ワインという飲みものは、その場で1本のワインをシェアし、楽しんでいる人たちはもちろん、時空を超えて人と人をつないでくれる飲みものでもあります。
パオロ・スカヴィーノでのこの出来事は、ワインという飲みものが持つ魅力を、改めて私たちに感じさせてくれることになりました。
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