【スタッフ愛飲】心奪われる圧倒的なクオリティ!モスカートのイメージを覆した甘口ワイン
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2018年3月にオープンした表参道店で店長を務める鈴木さん。様々なカテゴリのワインを飲んできた彼に、3,000円前後でお薦めの1本を選んでもらいました。
長く勤めている店長ともなれば、エノテカの歴史と共に歩んできたワインを選んでくれるのかなと思いましたが、良い意味で期待を裏切り、最近取扱いを始めたピエモンテの甘口ワインを紹介してくれました。
写真を撮る時は照れた表情を見せつつも、取材を進めていく中で言葉の端々から感じられたのは、ワインに対する真摯な姿勢でした。
エノテカスタッフに、愛飲するワインとの出会いや思いを語ってもらう「スタッフ愛飲」。
今回は、モスカートのイメージを覆した「サラッコ モスカート・ダウトゥンノ」について、語っていただきました。
飲み飽きない!「甘口だけどドライ?」な美味しさ
— 今回、3,000円前後のワインでお薦めのワインについてお聞きしたかったのですが、数あるワインの中から、なぜ「サラッコ モスカート・ダウトゥンノ」を紹介しようと思ったのですか?
スイートなワイン、やや甘口のワイン、モスカート・ダスティのカテゴリの中で、いろいろと飲んできたんですけど、サラッコのクオリティの高さに感動したので、ぜひ皆さんにも飲んでいただきたいと思って、今回取り上げました。
— どういったところにクオリティの高さを感じましたか?
3,000円前後でスイートなワインといえば、フルーティーでシンプルな味わいのものや、余韻が伸びにくいワインが多い印象です。
そんな中、サラッコのワインは、ミネラルや酸の構成がすごくしっかりとしていて、辛口の上級ワインのような引き締まったところもあって、どんどん飲み続けられる余韻があるので、他の甘口ワインとは一線を画するクオリティだと思って感動したんです。
— エノテカでサラッコを取扱い始めたのは2017年だと思いますが、「サラッコ モスカート・ダウトゥンノ」を好きになった時はいつですか?
2018年3月に表参道ヒルズ店がオープンしたんですけど、同じ年の6月にサラッコのイベントをやらせてもらい、その時にオーナーであるパオロ・サラッコさんが初来日しました。
すでにこのワインは入荷していたので、もちろん知っていたんですが、イベントでは、2004年のマグナムボトルも登場し、さまざまなワインをテイスティングしたことで、サラッコの凄さやポテンシャルを知って、一気に好きになりました。
— サラッコさんが来日したイベントで、「モスカートが持つ熟成のポテンシャル」について話していました。
そうですね。モスカートといえば、新しいヴィンテージをフレッシュな状態で飲むイメージでしたが、それを覆してくれたのが、イベントで飲んだ2004年のマグナムボトルです。
マグナムのワインは、ブテイユ(注1)以上に酸味のまろやかさ、果実味のコクがあり、さらにスケールの大きな味わいで素晴らしかったです。
イベントに参加した人全員が、あのマグナムが売っていれば、買いたいと思ったのではないでしょうか?モスカート・ダスティは管理が非常に難しいため熟成したボトルの販売はしておらず、イベントの時も、来日直前に瓶詰して持ってきたそうです。熟成させたモスカートは初めてだったので、驚きました。
— マグナムボトルは高品質なものが多いと聞きますよね。
マグナムボトルの方が味わいの奥行やコクが深いものが多く、一般的には高品質と言われていて、お客様の中には、ハマってしまうとマグナムボトルしか買えなくなる人もいるくらいです。
ブテイユと比較して飲むと分かりやすいですし、熟成が長ければ長いほど、よりその違いが分かりやすいと思います。
(注1)通常の750mlのワインボトルのこと
エスニック料理との相性の良さを知るとやめられない
— 普段、「サラッコ モスカート・ダウトゥンノ」を、どういう時に飲まれますか?何かエピソードがあればお願いします。
個人的な話で申し訳ないんですが、妻がフランス出張に行くことになり、普段は私がご飯を作っていて、その間食べてくれる人がいないので、自分用にバターチキンカレーを作り置きして、サラッコに合わせたんです。
まぁ、サラッコを楽しみに家に帰って、バターチキンカレーを食べるということが、楽しみになって1週間過ごしていました。普段はあまり同じワインを買わないんですが、その後続けて4本も購入してしまいました。
— サラッコのどういったところがバターチキンカレーに合うんですか?
バターチキンカレーは、ヨーグルトを大量に使うんですが、ヨーグルトの酸味が残っているのと、質感的にヨーグルトのなめらかさも残っているので、サラッコのまろやかなところがすごく合います。
— 甘口ワインは、スイーツやフルーツとの相性が良いと聞きますが、エスニック系とも合わせられるんですね。
そうですね。よくエスニック系の料理に合わせられるワインをご相談されるお客様が多いんですが、辛い料理には、甘みやボディに厚みがあるワインを合わせていただくことで、辛さを和らげて、味をまろやかにしてくれます。
アロマティックな香りがある甘口ワインは、スパイスを使った料理との相性も良いので、エスニック系の料理との相性もいいですよ。
例えば、インドカレーにラッシーを合わせますけど、それに近いものがあります。カレーであれば、ドイツのシュペトレーゼとかもおすすめです。
ほんのりと甘いワインは、包み込むような優しさと安心感
— 近年は甘口ワインが飲まれなくなっていますが、鈴木さんは、甘口ワインについてどう思いますか?
甘口ワインはミネラル感や酸が低くて、カジュアルな味わいのものもあるので、辛口を飲み慣れた方にはどうしてもグラスが進みにくいところがあると思います。でも、「甘いものを食べるとホッとする」と言われるように、甘いものには癒しの効果もあります。
少し前に読んだ本に、名だたるソムリエの方々がテイスティング会で100種類とか200種類とかのワインを飲んだ後、家に帰ってテイスティングで疲れた舌を甘口ワインで癒すというのを聞きました。
甘口ワインは、日頃の疲れもほっと癒してくれるワインです。サラッコに関しては、ミネラル感や酸のバランスが良いので、とても飲み心地の良い甘口ワインですよ。
— 鈴木さんがサラッコを好きな理由が分かってきました。最後にサラッコのここが好き!というところをお願いします。
繰り返しになりますが、ミネラルや酸の輪郭がはっきりとしていて、甘口なんですけど、甘くないというか、辛口が好きな人にもお薦めできる甘口ワインというところですね。
3,000円前後のスイートなワインでこのクオリティはなかなか体験できないので、ぜひ一度、試して頂きたいです。
落ち着いた面持ちで話す鈴木さんの内面からは、甘口ワインに対する熱い思いが感じられ、その姿に思わずホの字になってしまいそうでした。
最後に、モスカート・ダスティはピエモンテのワイナリーの人たちが夏場に自分たちが飲むワインとして造っていたという話もお聞きし、インタビューが終わっているにも関わらず、サラッコについて熱く語ってくれました。
鈴木さん、お忙しい中、ありがとうございました。
紹介したワインはこちら