昨年初開催され、チケットが早々に完売した人気イベント、ボルドーワインエクスペリエンス。30種類のシャトー蔵出しワインを飲み比べることができるだけでなく、豪華シャトーのゲストが集結する、まさにエノテカならではの貴重なイベントが、今年も開催されました。
今年は東京・大阪に加え、福岡でも初開催され、多くのワインラヴァーを魅了しました。
今回はワインショップ・エノテカ 大阪店で行われた同イベントに参加。その様子をレポートします。
新時代のグレート・ヴィンテージ
2016年ボルドーは、シャトー・ムートン・ロスチャイルドを筆頭に、8つのシャトーがワイン・アドヴォケイト誌にて100点を獲得するなど、プリムール(注1)時から評価が高いヴィンテージ。「新時代のグレート・ヴィンテージ」と言われ、世界から注目されていました。
2016年は天候に恵まれ、品質の良いブドウが収穫され、2009年、2010年、2015年といったグレート・ヴィンテージに匹敵する出来と言われています。伸びの良い酸とジューシーな果実味、豊かなタンニンがありながらもアルコール度数は例年より低く、エレガントでバランスが整った味わいが特徴です。
(注1)樽熟成中のワインを先行販売するボルドー販売システム。
「2016年はバランスが良く完璧な仕上がり」
今回、イベントに参加された生産者は、ボルドーを代表するそうそうたる顔ぶれ!
シャトー・ローザン・セグラ、シャトー・カロン・セギュール、シャトー・ポンテ・カネ、バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド、ジャン・ピエール・ムエックスの5つのシャトーから集結しました。
イベントの最初に、注目の2016年はどのようなワインであるのか、ゲストたちによるセミナーが催されました。
(左)シャトー・ローザン・セグラよりエクスポート・マネージャーのジャン・バジル・ローラン氏
「マルゴーアペラシオンにとって2016年は、2005年、2009年、2015年に並ぶトップアイコンのヴィンテージとなりました。マルゴーだけではなく、ボルドー全体が素晴らしく、左岸・右岸共に複雑性とエレガントさが感じられるワインに仕上がっています。」とコメント。
飲み頃を伺うと「シャトーごとに目指す方向性が違うので、一概に何年後とは言いづらいですね。楽しむには少なくとも5年~8年は寝かせて、お好きならば20年以上熟成させることももちろんできます。今飲んでも、熟成させても、どちらでも楽しめるスタイルが近年の醸造スタイルです。」と語って下さいました。
(中央)シャトー・カロン・セギュールよりコミュニケーション・マーケティング・ディレクターのソフィー・マーク女史
「2016年は溢れるアロマとしっかりしたタンニンがありながらも、エレガントな余韻が続く、完璧な仕上がりになりました。2016年のサン・テステフは高い評価を得ています。新たな挑戦として畑の見直しや、新たな醸造施設などを取り入れているので、知識のある日本のワインラヴァーの皆さまに愛されるワインとして、ぜひ2016年も楽しんでいただきたいと思います。」とソフィー・マーク女史。
「今も楽しめる味わいですが、辛抱強く10年くらいは寝かせてほしいかしら。」と、笑みを浮かべてお話し下さいました。
シャトー・ポンテ・カネよりオーナー・ファミリーのジュスティーヌ・テスロン女史
「シャトー・ポンテ・カネはビオディナミを取り入れワインを造っています。その甲斐もあり、2016年は美しいアロマが溢れ、骨格はしっかりしながらもピュアでエレガントな完璧と言える仕上がりとなりました。
今回30種のボルドーワインが並んでいますが、とても珍しい貴重な体験です。ぜひ飲み比べて楽しんで下さい。」とお話ししました。
(右)バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルドよりブランド・アンバサダーのアリス・アニュレ女史
「2016年はシャトー・ムートン・ロスチャイルドが8回100点を獲得した年。中には101点もあるほど、素晴らしいヴィンテージとなりました。ボルドー全体の仕上がりが素晴らしく、偉大なる年だと認識しています。できれば少なくとも20年は落ち着かせたいので、将来を思い浮かべながら今日のテイスティングを楽しんでください。」とコメント。
「ワインは1人で飲むものではなく、皆で美味しさを分かち合うものだから、今日は最高ね。」とお話ししました。
ジャン・ピエール・ムエックスよりエクポート・マネージャーのステファン・ラボリー氏
「近年の中でも最高な年となった2016年。ブドウの収穫時期が違う左岸・右岸共に、素晴らしい出来栄えです。右岸は特にメルロの出来が良く、果実味に溢れ、リッチな仕上がりです。グレード・ヴィンテージになるための要素とは、恵まれた天候と収穫時期のタイミングがベストなこと。2016年はその要素が整った年です。」とステファン・ラボリー氏。
5名のゲストは皆「2016年はバランスが良く完璧な仕上がりとなった」と語っていました。
貴重な蔵出しボルドーワイン30種
30種のボルドーワインを飲み比べるというのは、現地のボルドーでも稀だとゲストが口を揃えるほどに貴重な機会。
さらにダブルマグナムボトル(3000ml)が並ぶテイスティング会場に、参加者の高揚は隠しきれません。
一通りテンポ良くテイスティングされる方や、お目当てのワインにゆったりと舌鼓を打たれている方など、イベント中の店内の空気感は、嬉々として幸福感で満たされていました。
2時間という限られた時間の中、参加者の皆さまは、チェックリストをほぼ全てコンプリートしていきます。
30種をテイスティングする中で、5名のゲストも自由にテイスティングをしているため、ゲストと参加者との距離がとても近いことがこのイベントの醍醐味です。
ボルドーの圧倒されるようなワインを口にしながら、その味わいをゲストと共に語ることができることは、高貴なボルドーワインを身近に感じることができる機会でもあります。
参加者の皆さまは自由にゲストに質問をし、充実した時を過ごされ、ワインを楽しんでいらっしゃいました。
テイスティングしたワインの中からお気に入りのワインをその場で購入できることも、イベントならでは。さらにゲストのシャトーワインであれば、ボトルにサインを入れてもらい、写真を一緒に撮ることができます。
まとめ
未来の味わいに想いを馳せながら、ボルドーワインの魅力を感じることができるテイスティングイベントでした。
2016年は力強い骨格がしっかりありながらもエレガントさを保つバランスの良さは、今の消費者が求める傾向に合うヴィンテージです。文句無しにグレート・ヴィンテージだと言われるその背景には、ブドウの栽培収穫からワイン醸造までを、切磋琢磨している生産者と、その想いを忠実に伝える人達の姿がありました。
貴重な機会であるイベントで口にしたワインの一口一口に、そのワインに関わる人々の想いが募り、「美味しい」の一言では表せない満足感があふれました。
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