量より質!オーストリアワインの魅力

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公開日 : 2019.9.11
更新日 : 2022.5.23
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ドイツの南東に位置する世界屈指の観光地オーストリア。ここで造られるワインは何と言っても高品質。

オーストリアワインは生産量の79%が国内で消費されるため、日本で見かけることは少ないですが、今回はオーストリアでどんなワインが造られているのか解説していきます。

目次

オーストリアワインについて

オーストリアはオーガニックの聖地とも呼ばれており、なんと全ての農作物の約20%がオーガニック栽培。近年は、ワインでもナチュラルワインが流行しており、オレンジワインや二酸化硫黄が添加されてないものも注目されています。

また、オーストリアのワイン文化で外せないのがホイリゲ。「新酒」を意味し、香りと酸が際立つものが多く、国内で愛される存在です。

ボジョレー・ヌーヴォーは11月の第3木曜日に解禁しますが、ホイリゲは毎年11月11日に解禁します。

オーストリアの気候風土

夏は天気が良く暑い日が続き、秋の夜は冷え込むものの隣接するドイツと比べて温暖な気候です。年間を通じて降水量は少なく、斜面の畑など保水性の少ない一部の土壌では灌漑が設備されています。

北からの冷たい風やハンガリーのパノニア平原からの乾燥した暖かい風、南の地中海から吹き込む湿度を含んだ風、西のアルプスからの冷たい風などが栽培地域の気候に大きな影響を与えています。

また、川や湖などの水源もワインに大きな影響をもたらしています。北部を東西に流れているドナウ川は日光を反射させ、日照量を調節する役割を持っています。中東部にあるノイジードル湖は平均水深が1mと非常に浅く、霧を発生させやすいことから貴腐ブドウの産地として有名です。

代表的な品種

ここではオーストリアで栽培される代表的な四つのブドウ品種(白ブドウ2種、黒ブドウ2種)をご紹介します。

リースリング

隣国ドイツ原産のリースリングはオーストリアでもヴァッハウ渓谷を中心に広く栽培される品種です。

リースリングはすっきりとした酸味が特徴でエレガントな品種として知られ、日本でも多くのファンを持つ白ブドウ品種です。

白桃やリンゴの風味を持ち、熟成していくと蜂蜜のような甘い香りが加わります。

グリューナー・ヴェルトリーナー

圧倒的な栽培面積を持つ白ブドウの品種で、辛口から甘口まで様々なスタイルのワインを生み出します。オーストリアを象徴する存在です。

コショウと同じ香り成分をもつ品種で、白コショウのような香りが特徴的。飲み口はすっきりしていてリースリングに近い印象を受けます。

ツヴァイゲルト

オーストリアの黒ブドウの中で最も栽培されている品種。

ツヴァイゲルトから造られたワインは、酸とタンニンが控えめで飲みやすいことから日常消費用ワインに使用されることが多いです。

栽培される土地によって様々な顔を持ち、ノイジードラーゼーでは軽やかかつ軽快でフルーティーなワインとなり、ロザリアでは肉厚であるもののすっきりとした飲み心地のワインとなります。

ブラウフレンキッシュ

晩熟の黒ブドウ品種で、カシスやブルーベリー、ミント、胡椒といった複雑な香りを持ち合わせる高貴なワインを生み出します。

強いタンニンや酸を持ち、長期熟成に向いた偉大なワインとなることもあります。

代表的な産地とワイン

オーストリアワインの2大産地は、ニーダーエステライヒ州とブルゲンラント州です。その二つの産地の特徴や造られるワインについて説明します。

ニーダーエステライヒ州

ニーダーエステライヒ州は東北部に位置し、オーストリアワイン産地の61%を占めます。

主要品種はグリューナー・ヴェルトリーナー、リースリング、ツヴァイゲルトなど。気候はドナウ渓谷を通って吹き抜ける冷風の影響を大きく受けています。

オーストリアの中で最も魅惑的なワインが造られるのがヴァッハウで、ユネスコ世界遺産に認定された地域です。

特にリースリングが有名で、きめ細かいミネラルが特徴的なポテンシャルの高い白ワインが生産されています。

ヴァッハウでは、1983年に高品質のワインを保護する目的でヴィネア・ヴァッハウ・ノビリス・ディストリクテュス協会が設立されました。協会ではオーストリアワイン法とは別に独自の品質基準を設定しており、毎年行われるワインの試飲により格付けが決定されています。

格付けは上からスマラクト(エメラルド色のトカゲ)、フェーダーシュピール(鷹狩りの道具)、シュタインフェーダー(きゃしゃな野草)の三つに分かれており、特にスマラクトは国内の一流レストランには欠かせない存在です。

ブルゲンラント州

オーストリアの赤ワインの半分は、ブルゲンラント州で生産されています。主要品種はブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルト、ザンクト・ラウレンなどです。

この地はオーストリアで最も温暖な地域で、ノイジードル湖が気温変化を和らげてワインの味わいを穏やかにしています。

以前は、甘口の貴腐ワインの産地として知られていましたが、近年では高品質な辛口ワインも多く生産されています。酸がまろやかでフルーティーなツヴァイゲルトや質の高いソーヴィニヨン・ブランがその代表です。

また、赤ワインではピノ・ノワールとの自然交配で生まれたとされるザンクト・ラウレントが注目を集めています。

まとめ

オーストリアでは生産者たちの努力と工夫によって、現在では特徴的で高品質なワインが多く生み出されています。輸出量が少ないことで日本ではフランスやイタリアなどの有名産地の陰に隠れがちですが、見かけたときはぜひ、手に取ってみてください。

音楽の都、ウィーンを擁するオーストリアのワインと音楽をともに堪能するのも楽しいですよ。

<参考>『2019 ソムリエ協会教本』一般社団法人日本ソムリエ協会

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