ポル・ロジェを愛した名宰相!映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」が公開
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映画には欠かせない小道具というのがいくつもありますが、彩りを添えるもののひとつといえば、やはりお酒です。
そこで今回は、日本にて公開を迎えたばかりの、お酒にまつわるエピソードまで楽しめる「新たな名作」をご紹介いたします。
目次
世界中が絶賛した真実の物語!
その作品とは、先日行われたアカデミー賞授賞式において、辻一弘さんが日本人初となるメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したことでも話題の『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』です。
本作の舞台となるのは、第二次世界大戦初期の1940年。ナチス・ドイツの勢力が拡大し、フランスは陥落寸前、イギリスも侵略の脅威にさらされていました。そんな混乱状態のなかで英国首相に就任したのが、“政界の異端児”ウィンストン・チャーチル。
政敵たちに追い詰められながらも、ヨーロッパ、そして世界の運命を背負った選択を迫られることになります。緊迫したなか、究極の決断を下した裏に隠されたチャーチルの深い苦悩とは……。歴史を変えたとも言われている首相就任からダンケルクの戦いまでの27日間が本作では臨場感を持って描かれています。
“型破りな男”チャーチルを語るうえで欠かせないものとは?
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チャーチルは政治家であると同時に、ノーベル文学賞を受賞するほどの文筆家としても知られていましたが、絵描きとしても高く評価されるなど、とにかく才能に溢れた人物でした。そんなエネルギッシュなチャーチルにとって、“原動力の源”といっても過言ではないほど愛していたのがお酒です。
朝食にスコッチ、昼食にシャンパン1本、夕食でもう1本。夜はブランデーとポートワイン…周囲からは「奴に自転車は貸さんね」と言われてしまうほどの大酒飲みとして有名だったそうです。
そのため、劇中でも国王であるジョージ6世との昼食シーンなど、重要な場面でお酒をたしなむ姿が数多く見られますが、なかでもチャーチルのお気に入りといえば、シャンパンの「ポル・ロジェ」。ポル・ロジェ社といえば、1849年に設立され、「気品と優美」を哲学とした格調高いシャンパーニュを造り続けていることで高い人気を誇り、2004年には英国王室の御用達にも任命されるほど国際的に認められているブランドです。
これまでに1981年のチャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚披露宴をはじめ、ウィリアム王子とキャサリン妃の披露宴でも「ポル・ロジェ」がふるまわれた経緯があるため、5月に控えているヘンリー王子の結婚式でも飲まれる可能性があるかもしれません。そういう意味でも、今まさに注目しておきたいシャンパンのひとつといえそうです。
ちなみに、同ブランドでは「ポル・ロジェ キュヴェ・サー・ウィンストン・チャーチル」というチャーチルへのオマージュを捧げたシャンパンも製造されており、いかにチャーチルが「ポル・ロジェ」を愛していたのかをうかがい知ることができます。
こんな時代だからこそ学ぶべきところがある!
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ここまでくると、同じお酒好きにとっては親近感さえ抱いてしまいそうなチャーチルですが、もともとは「政界一の嫌われ者」と言われていたほど。そんな彼がいかにして「伝説のリーダー」と呼ばれるようになったのかが、この作品では見事に再現されており、その勇姿には心を揺さぶられます。
葛藤を抱えながらも、どんな逆境にも屈することなく、国民の気持ちにも寄り添うチャーチルこそ、まさに真のリーダー。最近では、自らの保身や利益のことばかりを考えている政治家たちを目の当たりにすることが多いだけに、政治家のあるべき姿を教えてくれる圧巻の演説シーンでは思わず拍手を送りたくなるはずです。
一見、気難しくて変わり者と見られがちなチャーチル。とはいえ、本作では愛する妻であり親友でもあるクレメンティーンとの微笑ましいやりとりなど、知られざる素顔もきちんと描かれており、政治家としてだけでなく、彼の人間としての魅力も感じさせてくれます。信念を貫くことができた裏にあった夫婦の絆の物語としても、共感と感動を呼ぶこと間違いなしです。
賞レースを席巻した圧倒的な演技と技術は必見!
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そして、この作品を語るうえで忘れてはいけないのは、何と言っても名優ゲイリー・オールドマンが見せた渾身の熱演。それを支えたのが辻さんの職人技ともいえる技術ですが、特殊メイクであることも、ゲイリー・オールドマンが演じていることさえも観客に忘れさせてしまうほどの完成度は見事の一言に尽きます。
今回、ゲイリー自らが辻さんにオファーし、「あなたが引き受けてくれたら、私はこの映画に出る」と言ったというエピソードはすでに多くの人に知られているところですが、この作品を観ればゲイリーの真意もわかるはずです。
勇気と希望で心が満たされる感動作!
言葉の魔術師と呼ばれ、「世界のCEOが選ぶ、最も尊敬するリーダー」にも選出されたことのあるチャーチル。そんな彼が放つ重みのある言葉の数々や冷めることのない情熱は、現代の私たちにとっても欠けているものがあるだけに、今こそ観ておくべき一本としてオススメです。
本作を観終わったあとには、勇敢なチャーチル、そしてこの傑作を生みだしたキャスト・スタッフへの敬意を込めながら、最高峰のポル・ロジェで杯を傾け、勝利の余韻に浸ってみてはいかがですか?
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』
監督:ジョー・ライト
出演:ゲイリー・オールドマン、クリスティン・スコット・トーマス、リリー・ジェームズ、スティーヴン・ディレイン、ロナルド・ピックアップ、ベン・メンデルソーン
2017年/イギリス/125分 ユニバーサル作品
配給:ビターズ・エンド/パルコ
2018年3月30日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー www.churchill-movie.jp