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ワインショップ・エノテカANAインターコンチネンタルホテル東京店
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小山 達哉
皆さんこんにちは!最近は暖かい日も多くなり、アウトドアにぴったりな季節になってきました。
かくいう私は大のBBQ好きで、どんなワインを持っていこうかといつも頭を悩ませています。
そこでワインの候補として挙がってくるのが、今回の勉強会のテーマである「シラー」です。
シラーと聞いて、皆さんはどのような印象をお持ちでしょうか?
黒コショウの香りのあるフルボディの赤ワインで使われている品種、という話はよく耳にします。
実際にテイスティングをして確かめて見ましょう。
今回テイスティングをしたのは全部で5本。
そのうち4本は少しずつスタイルの違いはあるものの、前述のような濃厚でパワフルなフルボディのワインでした。
ところが、1本だけ明らかに異なる性質の、エレガントなワインがありました。
それが今回ご紹介する名門ドメーヌ「ルネ・ロスタン」が造るコート・ロティ・アンポジウムです。
品種の個性を超えた、ワインの面白さを体感できた1本ですので、
ぜひ皆さんにもご紹介をさせてください!
テイスティングコメント
早速、実際にテイスティングをした際のコメントをご紹介します!
<外観>
まず外観から明らかに差がありました。
他のシラーは紫に近いような色合いでしたが、このワインはルビーに近い明るい色。
見るからに異なる個性を持ったワインであることを感じ取ることができました。
<香り>
続いて香りです。
いわゆるシラーの特徴である黒コショウのようなニュアンスはそれほど感じられず、一方でシナモンやリコリスのようなスパイスの香りと、プラムやブラックベリーのようなフルーツの香りが複雑に絡み合い、香りだけでも思わず
「ああ・・・」
とため息をついてしまう程の美しさでした。
<味わい>
そして味わいです。
私達がテイスティングした他のシラー達は、
①強いタンニン ②果実味の凝縮感 ③強いアルコール感
と、とにかく強いワインでしたが、一転してこのワインだけは
①なめらかでスムースなタンニン ②美しい酸 ③厚みあるミネラル感
というように、真逆とも言える特徴を見せてくれました。
「エレガントなワインとはこういうこと」と、圧倒的な説得力を持って教えてくれるような、新たな世界を感じ取ることができたワインでした。
はじめにお伝えした通り、シラーという品種で造られるワインの特徴は、「濃厚」「パワフル」といったような言葉が挙げられるのですが、その中においてなぜ今回のようなエレガントなワインが造られるのでしょうか。
その答えは「産地」と「生産者の想い」にありました。
<コート・ロティという産地の特徴>
今回ご紹介したワインの産地はフランスの南部、ローヌ地方にあるコート・ロティというエリアです。
世界で最もエレガントで上品な味わいのシラーとも言われ、その魔法のような柔らかさと華やかさ、繊細な風味をしっかりとしたタンニンが支えるという点は、ブルゴーニュの偉大な赤ワインに近いと評されるほど。
その理由はコート・ロティは北部ローヌの最北端、南部ローヌよりもブルゴーニュ南部のマコネやボジョレーと近い位置にあるためです。ミストラルと呼ばれる冷たい北風が吹き抜ける渓谷は、シラーが熟すのにはむしろ寒すぎる北限の地なのです。
そのような「産地の特徴」がワインの風味に大きな影響を与えていると言えます。
<ルネ・ロスタンの想い>
実はコート・ロティでは、1980年代から2000年代頃まで、樽の風味を強く効かせた、「濃厚」「パワフル」というスタイルが流行していました。
もちろんそれは1つのワインの個性として楽しめるものではあるのですが、その時代においても今回ご紹介したワインの生産者であるルネ・ロスタンは、コート・ロティという産地の個性を表現するということを、信念を持って続けてきました。
ここ数年は他の生産者においても、エレガントなスタイルを目指して造っていることが多いのですが、「濃厚」「パワフル」がトレンドであった時代においても一貫してスタイルを崩さなかったルネ・ロスタンのノウハウが詰まったワイン。そう考えて改めて飲むと、その美しさに納得させられます。
最後に、実際にテイスティングをしてみてわかった、どのような飲み方をしたらこのワインを最大限楽しめるのかということについてご紹介します。
前調べの段階では抜栓後1〜2時間後、ボルドーグラスで飲むのがオススメとの情報がありました。
実際に試してみましょう。
まず、抜栓直後にボルドーグラスを使用してテイスティング。
各スタッフ「ん?」と首をかしげる仕草が目立ち、実際に私も「香りがほとんど感じられない」と想いました。
「ではグラスを変えてみよう」ということでブルゴーニュグラスに変更。
すると、先程まで感じられなかった香りのボリュームが圧倒的に増加し、世界観が広がりました。
この時点での「さすがコート・ロティ」といった感想ではありましたが、「ボルドーグラスじゃなくでブルゴーニュグラスだね」と、スタッフ全員が考えていました。
ところが、勉強会も終盤にさしかかった頃。
抜栓から1時間半程が経過していましたが、「改めてボルドーグラスで飲んでみようか」ということになり、試してみることに。
するとどうでしょう。
先程ブルゴーニュグラスで飲んだ時とは比べ物にならない程の香りの強さ。圧倒的な説得力を持っていました。そして口に含むと旨味の強さを明確に感じ、「上品なのに力強い」大きなスケール感が伝わってきました。
結論として、抜栓から1〜2時間後に、ボルドーグラスを使って飲むのが最も楽しめました。
しかしながら、「待ちきれない!」という方はブルゴーニュグラスを使いながら、時間が経過するのを待ってみてください。このワインの魅力を垣間見ることができます!
さて、今回は名門ドメーヌ「ルネ・ロスタン」が造るコート・ロティ・アンポジウムをご紹介いたしました。
シラーという品種の特徴だけではない、ワインの奥深さを体験することができる逸品です。
ぜひ皆さんもコート・ロティという産地、そしてその魅力を表現するルネ・ロスタンのワインをお楽しみください!
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