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ワインショップ・エノテカ大名古屋ビルヂング店

〒450-6490 愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12大名古屋ビルヂング 地下1階
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大名古屋ビルヂング店のブログ

【大名古屋ビルヂング店】先頭を歩く意味、未来へ繋ぐ意思

鎌田 英邦

2024.11.11
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みなさまこんにちは、大名古屋ビルヂング店の鎌田でございます。短い秋はあっという間に駆け去り、間もなく冬が訪れようとしています。

しんしんと雪が降り積もる光景を想像すると、いつも思い出されるのは暖かな暖炉の火を思わせるあの色合い。深紅の輝きボルドーワインでございます。


ボルドー。伝統的なワイン産地として最も有名かつ最も偉大な場所のひとつです。

恐らくワインを嗜むことはない人にとっても一度は耳にしたことはあるのがこの産地の名前ではないでしょうか。深い赤色を指す言葉としてボルドーレッドという表現はよく用いられるところですが、これも語源を辿れば彼の地で造られるワインが持つ色合いに由来するようです。優れた名醸地は数あれど言葉がワインそのものとイコールで接続されるように代名詞的な意味を与えられる場所はボルドーを除いて他にはなかなか考えられません。


近年、ワイン産地は急速に広がりを見せ、もはや世界でブドウ栽培を行えない場所のほうが少なくなったのではないかとすら感じることもあります。多様性の時代とも言われるようにワインのスタイルも変化し続けています。


「今がワインを飲む者にとって1番面白い時代である。現代を生きる飲み手は幸福である」


これは偽らざる私の本音でもあります。

かつての名醸地はことごとく価格の高騰化にみまわれ、手を出しづらくなった銘酒は数え切れないほどあることでしょう。

しかしながら、その一方で選択肢は増え続けているし、これから先もさらに増えていくと思うのです。時代が激しく動いている。評価はいまだ定まらず全ては飲み手に委ねられている。その渦中にいることは素晴らしく幸福ではないでしょうか?私はそのように考えるのです。


さて、新たな選択肢が増えることは良いことですが、「新しき物」が生まれるには常に先行する「古き良き物」の存在が欠かせません。

ここで最初のお話、歴史的名醸地ボルドーに戻りたいと思います。

ボルドーの語源は水のほとり(Au bord de l'eau)から来ていると言われています。大西洋に近いジロンド川の流域にあるという地勢がこの地を特別なものにしたことは間違いありません。現代とは違って物流の手段が限られていた中世や近世では川を使って物を運べることは圧倒的なアドバンテージでした。そして当時、誰よりもワインを追い求めたのはボルドーとは大西洋を挟んで向い側にあるイギリスでありました。今でこそワイン市場の中心はアメリカに移っていますが、大航海時代とも呼ばれた15~17世紀頃は正に大英帝国の時代。英国に評価されるということは世界一の銘酒であることといっても過言ではありませんでした。

とはいえ、ワイン産地ボルドーの歩みは最初から順風満帆であった訳ではないのです。

現在、ボルドーにおけるワイン生産の心臓部は5大シャトーと称されるグランヴァンの内、3つを擁するポイヤック村にあります。

日中に蓄えた太陽からの熱を逃がさず、しっかりとブドウを完熟させることができる砂礫質の土壌が広がるこの辺り一帯は世界にも比類なきテロワールを有し、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロといったブドウ品種にとってこれ以上ないほどの名醸地として知られてきました。

そんなポイヤックですが、実は元々とても水捌けの悪い土地柄だったということはあまり知られていないのではないでしょうか?

大航海時代における17世紀までのボルドーは今とは違い湿地帯だったので地面は水浸しの場所が多かったのです。

これではブドウ栽培どころではなく、当時の生産者は小高い丘の上などに畑を切り開いたようです。

(余談ですが5大シャトー筆頭のシャトー・ラフィットの由来はガスコン語で小高い丘を意味する「La Hite(ラ イット)」から来ているとか。)

17世紀以降、オランダから導入された干拓技術によりたくさんの水路が掘られたことで土地の排水性が高まり現在見られるようなボルドーの景観は作られてきました。

サン・テステフ村とポイヤック村の境界に位置するブルイユ水路の周辺に無数の格付けシャトーが点在しているのも干拓によって得られた新たな土地をこぞってブドウ畑にしてきたからなのかもしれません。

伝統とは積み上げた歴史の重みが造り上げるものであることをボルドーのワインを飲む度に私は教えられるのです。

それぞれ50ml 100mlの2サイズでご用意しております

この度、当店のワインバーでは1本限定で5大シャトーより、「シャトー・ラトゥール」とそのセカンドワインである「レ・フォール・ド・ラ・トゥール」をご用意致しました。ラトゥールを選んだのは他でもありません。

このワインが伝統と未来を繋ぐ橋渡しをしてくれるからでございます。

昨今、サステナビリティという言葉がよく聞かれるようになってから久しく時が流れました。

ワイン産業はその渦中の中心にあって、ブドウ栽培はできる限りオーガニックであるべきという考え方もずいぶん一般的になりました。ナチュラルワインという新たな潮流も生まれています。そんな中にあってシャトー・ラトゥールは伝統産地の中でいちはやくビオディナミ農法を採用し、エコセールのビオロジック認証まで取得しています。

ボルドーは常にワイン業界の先頭を走ってきました。先を行くものが変化を恐れず、それを当然のものとして受け入れ、さらなる品質向上を目指していく。ここに未来へ繋ぐ確かな意思が感じられるように思うのです。

秋から冬へと移行する季節の変り目に、そんな伝統と未来に想いを馳せながら最高のワイン体験をしてみるのは如何でしょうか?


最後にここまで見てきたように歴史的名醸地ボルドーですら決して1日にして今日のような名声を築いたわけではありませんでした。

試行錯誤と努力の結果が現在のボルドーワインの深みと魅力を形作っているのでしょう。

「名醸地は1日で成らず」

現在、綺羅星の如く生まれる新たなワイン産地から輝く未来の1番星を見つけることができるのは過渡期を生きる我々の特権です。

伝統と革新は対立するものではなく、互いに手を取り合うことでより良い明日を掴むことができると私は信じます。


と、言うことでどんなワインも愛してもらえると嬉しいなというショップ店員のささやかな願いをもって締めたいと思います。

皆さまのご来店、心よりお待ち申し上げております。

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