蝶ネクタイをつけた凛々しいソムリエが、スマートにワインを開栓する様子にうっとりした経験を持つ方もいらっしゃるでしょう。彼らが鮮やかな手付きで操っている小さなナイフを「ソムリエナイフ」といいます。
ソムリエナイフはワインを開けるために造られたものですが、初めて使用する人にとっては少々困難。市場ではたくさんのソムリエナイフが売られているため、どんなものを選んでいいかも迷ってしまうかもしれません。
今回はそんなソムリエナイフについてのお悩みを解決するべく、基本的な使い方や種類、選び方などをご紹介したいと思います。
目次
ソムリエナイフの選び方
たくさんあるソムリエナイフの中からコレ!というものを選ぶためのポイントを三つご説明します。
①まずはダブルアクションを!
ソムリエナイフにはフックが一つしか付いていないシングルアクションと、フックが二つ付いているダブルアクションの2タイプがあります。
・シングルアクション
1箇所のフックでコルクを抜くためにコツが必要。上級者向け!
・ダブルアクション
2段階フックでコルクを抜けるので、初心者でも安心!
②重さや見た目を重視
ナイフやスクリュー部分は、スチール(鉄に微量の炭素を合成した合金)とステンレス(鉄とクロムの合金)の2種類があります。全体が金属製のものもあれば、持ち手のハンドル部分が木、水牛の角、石、骨などのものもあります。
ワインを飲むたびに使用するものなので、材質に関しては重さや見た目を重視すると良いでしょう!
③かたちは自分に合ったものを!
ソムリエナイフのパーツには様々なタイプがあります。ハンドルの形状やスクリュー、ナイフの長さが違い、また利き手によっても自分に合ったものを選ぶ必要があります。
・ハンドル
平べったいものよりもは厚みがあったほうが力強く握ることができ安定感がある。
女性はハンドルが大きいものよりも小ぶりなもののほうが操作しやすいことも。
・スクリュー
高級ワインには長いコルクが多いために、人によっては長めのスクリューを選んだほうが使い勝手がいいかも。
左利きの人は、レフトハンドタイプを要検討。
・ナイフ
キャップシールに切り目を入れる際、長めのほうが扱いやすい。
実際にワインショップなどに足を運ぶことがあったら、複数のソムリエナイフを見比べて使いやすいものを選んでみるというのも一つの手です。
ソムリエナイフの使い方
ソムリエナイフをスマートに使用したい場合、ちょっとした手順とコツが必要です。ワインの開栓方法を順を追ってご紹介します。
キャップシールを剥がす
まずは、キャップシールを剥がします。ソムリエナイフのナイフ部分を慎重に開きましょう。
①ナイフ部分の刃を固定した人差し指と、ボトルにあてた親指で瓶口を挟む。
この際、ボトルが持ち上げられるくらい強い力で挟むようにすると、上手く切れ目を入れることができます。
②切り目を入れ始めるのは、瓶口を上から見て8時くらいの位置。
腕をぐんと突き出して利き手よりも一番遠い位置から切り始めるとスマートに見えます。
③キャップシールを8時から12時を通って3時くらいの位置までぐるりと切ったら、今度は腕を翻し、手のひらを上にする。
④刃を8時の位置に当て、今度は6時を通って5時くらいの位置まで切る。
⑤再び手のひらを下に向け、3時から6時くらいの位置までナイフを入れる。
これで、全周に切れ目を入れることができました。
⑥最後に瓶口の出っ張り部分に対して、縦に切れ目を。その切れ目にナイフの先端を差し込んで、一気に持ち上げるようにしてキャップシールを剥がす。
コルクを抜く
いよいよコルクを抜きます。ナイフ部分をしまい、逆側にあるスクリュー部分を開きましょう。(今回紹介するのはシングルアクションの例です)
①ソムリエナイフを瓶口に対して斜めに傾けて、スクリューをコルクの真ん中に突き刺し、力を入れてねじ込みながらまっすぐになるよう立てていく。
このとき、ソムリエナイフを持っていないほうの手はボトルに添えておきます。
②スクリューは2巻き分ほど残しておいて、フックを瓶口の12時の位置に引っ掛ける。
③ボトルに添えていたほうの手で瓶口とフックをぎゅっと握りコルクを1センチほど引き上げたら、フックを再び開いて残り2巻き分もねじ込む。
④もう一度フックを引っ掛けて同じように瓶口とともに握り、今度は最後までコルクを引き上げていく。
⑤最後は、残り1センチほどを残してコルクを手で握り、ゆっくりと揺らしながら抜いていきます。
そのままコルクを勢いよく抜いてしまうと破片がワインに投下してしまう危険性があるためです。
動画で見る シングルアクションタイプでの開け方
ラギオールとライヨールの違い
世界で一番有名なソムリエナイフと言えば、「Laguiole」ですが、これには読み方が二通りあります。
世界的なソムリエナイフである「シャトー・ラギオール」と「フォルジュ・ドゥ・ライヨール」は、全く別の会社であるものの、どちらも「Laguiole」と表記されます。「Laguiole」はフランス南部では「ライヨール」、フランス北部では「ラギオール」と発音するためです。
しばしば両社について混同してしまうこともあるため、簡潔にその違いをご説明します。
シャトー・ラギオール(リニューW社 旧スキップ社)
フランス中南部オーヴェルニュ地方のティエール村で誕生したソムリエナイフです。
スキップ社は1850年創業の洋食器・刃物メーカーで、1993年に当時の社長であった鍛冶のプロと、当時のソムリエ世界チャンピオンが共同開発しました。
ラギオールのソムリエナイフにはラギオール村のシンボルマークである「ミツバチ」がついています。
フォルジュ・ドゥ・ライヨール(フォルジュ・ドゥ・ライヨール社)
本社をおくフランス南部オクシタニー地域のLaguiole村は、多くのナイフ職人を輩出した土地です。第1次大戦で刃物製造業が壊滅的な打撃を受け、同村での製造が止まり、職人や工房の多くが近くのティエールに移動することになりました。
しかし1985年、かつてLaguioleで生産されていたナイフの熱烈な支持者たちがLaguiole村に工房を復活させようと動き始め、1987年に同社が復活させました。
ライヨールは曲線を描いた丸みのあるフォルムが特徴的でラギオールに比べて持ちやすく安定感があるという人もいます。
おすすめのソムリエナイフ
数あるソムリエナイフの中から用途別におすすめのソムリエナイフをご紹介します!
使い勝手重視の自分用
フランスで最も愛されているソムリエナイフメーカー「デュルック」。シンプルで軽く、スムーズに抜栓することができるため、フランス人ソムリエたちから大きな信頼を寄せられています。
自分用としては少々お高めに感じられるかもしれませんが、フックやハンドル、スクリュー、ナイフなどの各パーツには厳選された素材が使用され、品質は申し分なし。スクリューも長めなので高級ワインのコルクも安心して抜栓することができます。
6,600 円
(税込)
一生モノとして……
フランスの一流ホテル、レストランのソムリエが 「選ばれしプロの象徴」として愛用するソムリエナイフがシャトー・ラギオールのソムリエナイフです。
使えば使うほど愛着が沸き、味わいも出てくるソムリエナイフなので、一生モノとして多くの人に選ばれています。
シャトー・ラギオール ブラック
フランスの一流ホテル、レストランのソムリエが 「選ばれしプロの象徴」として愛用するソムリエナイフ。オーソドックスなスタイルのブラック。 詳細を見る
41,800 円
(税込)
ソムリエナイフの手入れの仕方
ソムリエナイフは、ナイフやスクリューを開閉する行為を繰り返すうちに、パーツの結合がゆるくなってしまう可能性があります。パーツの摩擦を軽減させるためにも、日頃から潤滑油を稼働部分に塗るなどして、お手入れすることをおすすめします。
スチール製の錆びやすいソムリエナイフの場合は、水気の多い場所に置かないようにし、水分が付いたら拭き取って保管するようにしてください。
天然素材のハンドルのものが汚れた際は、濡らした布で汚れを拭き取るようにしてください。食器洗浄機で洗うと傷んでしまうため、絶対に入れてはいけません!
まとめ
ワインを楽しみ出すと、ついついソムリエナイフにもこだわりたくなりますよね。一つといわず、二つ三つと集めたいという人もいるほどです。
そして、自分で選び抜いたソムリエナイフをさっと取り出してスマートにワインを開けられたら、本当にステキですよね。
ワインを楽しみつつ、ソムリエナイフにもぜひこだわってみてくださいね。