クロ・ド・ヴージョとは

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公開日 : 2022.8.25
更新日 : 2023.7.12
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クロ・ド・ヴージョ

シャンボール・ミュジニー村とヴォーヌ・ロマネ村に挟まれたヴージョ村。


そのヴージョ村唯一の特級畑であり、村全体のブドウ栽培面積の約75%をも占めているのが「クロ・ド・ヴージョ」です。


多くの生産者が畑を分割してワイン造りを行っており、それぞれの畑の特徴を生かした個性溢れる様々なタイプのワインが生み出されています。


しかし、かつてクロ・ド・ヴージョのワイン造りはこのようなスタイルではなかったことを知っていますか?


今回は、そんな偉大な特級畑についてご紹介します。

産地フランス ブルゴーニュ地方
コート・ド・ニュイ ヴージョ村
面積49.13ha
土壌石灰岩、泥灰岩、粘土
品種ピノ・ノワール
タイプ

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目次

テロワール

クロ・ド・ヴージョの地図

クロ・ド・ヴージョが属するヴージョ村は、北をシャンボール・ミュジニー、南をヴォーヌ・ロマネにはさまれた比較的小さな村です。


この村唯一の特級畑がこのクロ・ド・ヴージョで、コート・ド・ニュイ最大の面積を誇ります。


特級畑の面積は約50haと大規模な一方で、残りのプルミエ・クリュやコミュナルは合計しても約15ha程度。つまり、村の約75%を特級畑が占めているのです。


クロ・ド・ヴージョのクロは石垣という意味で、畑は石垣に囲まれています。標高約240~255mの緩やかな斜面に位置し、土壌は多様です。

歴史

クロ・ド・ヴージョの風景

そんなクロ・ド・ヴージョの歴史は、1098年シトー派の修道士が修道院を設立したことから始まります。


1110年からブドウ栽培が開始され、しばらくの間クロ・ド・ヴージョは修道院が単独で所有していました。


しかし、1789年にフランス革命が勃発。畑は政府に没収され、競売にかけられることとなります。


何人かの資産家から資産家へと所有権が移った後、1818年に銀行家のガブリエル・ウーヴラールが畑を購入。


彼はその翌年にロマネ・コンティの畑も購入しており、当時ロマネ・コンティのワインはクロ・ド・ヴージョの醸造所で造られていたそうです。


時は流れ1861年。ウーヴラール氏がこの世を去り、長い間単独所有であり続けたクロ・ド・ヴージョに転機が訪れます。


ウーヴラール氏の死後、一度は彼の相続人の手に渡っていたクロ・ド・ヴージョですが、フィロキセラ被害により畑が荒廃。


価格が暴落し国外資本に売り出されそうになったところ、大切な畑を奪われてはならないと立ち上がったのが地元ブルゴーニュのネゴシアンたちでした。


彼らは資金を調達し、1889年無事クロ・ド・ヴージョを買収。


この瞬間、約700年に及ぶ単独所有はついに終わりを告げ、畑は分割されることとなりました。


その後も転売や相続で続々と所有者が増え、2000年代初頭には80人以上の所有者に分割され現在に至ります。

特異な特級畑

クロ・ド・ヴージョの地図

現在クロ・ド・ヴージョは上の地図のように生産者別で区分けされており、特級畑としては異様なほど多くの生産者が所有しているためクロ・ド・ヴージョのワインは選ぶのが非常に難しいと言われています。


しかしその理由は、ただ生産者が多いということだけではありません。


クロ・ド・ヴージョは標高約240~265mの斜面に位置し、面積は約50haと広大で、土壌は多様。


斜面上部は石灰岩土壌で水はけに優れた土壌、中部は粘土と砂利の混じったやわらかい石灰岩土壌、下部は粘土質土壌となっており、場所によってかなり個性の異なるブドウが育つのです。


この違いから、シトー派修道院の時代には斜面上部は「教皇の畑」、中部は「王の畑」、下部は「修道士の畑」と呼ばれ区別されていたそうです。

伝統的なスタイル

このような背景から、単独所有であった頃はこれら三つの畑のブドウをブレンドしてワイン造りを行っていました。


ブレンドすることによって、バランスの取れた一貫した品質のワインを生み出していたのです。


しかし所有者が80人をも超えた今、以前のようにブレンドして造ることは難しくなりました。


そのため品質にばらつきが出てしまい、味わいも非常に多様なため選ぶのが難しいと言われているのです。

ルシアン・ル・モワンヌ

そんな状況の中、ネゴシアンという特性を生かし複数区画をブレンドする伝統的な製法でクロ・ド・ヴージョを生み出しているのが「ルシアン・ル・モワンヌ」。


元シトー派の僧侶である当主ムニール・サウマ氏は修道院で過ごす中でブルゴーニュワインに目覚め、1999年に妻ロテム女史とルシアン・ル・モワンヌを設立。


コート・ドール全域にわたり30以上のワインを手掛け、畑の所有者よりもテロワールを熟知していることで一流ドメーヌからも厚い信頼を得ています。


彼らは自身が手掛けるクロ・ド・ヴージョを”The three levels of clos vougeot in one glass”と表現。その言葉の通り、個性の異なる三つの畑のワインをブレンドした、まさにシトー派時代の伝統的なクロ・ド・ヴージョを生み出しているのです。

クロ・ド・ヴージョ グラン・クリュ

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代表的な生産者

現在、畑の最大所有者はシャトー・デュ・ラ・トゥールで、約5haの区画を所有しています。


他にも、ドメーヌ・メオ・カミュゼや、ルイ・ジャドなども比較的大きな区画を所有しています。


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