ワインのお供に食べたいおつまみといえば、真っ先に思いつくチーズ。
ワインと同じ発酵食品のひとつで、ワイン王国フランスやイタリアの名産品とワインとの共通項も多いのがチーズです。
古くは古代ローマ時代から、人々はワインと共にチーズやパンを楽しんできたという話もあるほど。その関係は長~く、切っても切れない縁で結ばれています。 ただ、あまりにも身近過ぎて、ワインとチーズの相性についてはあまり意識していない方のほうが多いかもしれません。
今回は、「ワインとチーズは友だち」と題して、古くからのワインの友だち=チーズとの付き合い方を、ワインとチーズをこよなく愛するチーズ専門家、村瀬美幸(むらせみゆき)さんに教えていただきました。
食後の一杯のお供に、気のおけないお友達とのランチタイムに、週末のんびりと過ごしたい時に、友人や家族のお祝いに…。チーズを楽しむシーンは様々。
チーズは、そのままおつまみとしても重宝するほか、ワインとチーズの橋渡しをしてくれる食材、例えばフルーツやドライフルーツ、ナッツやジャム、蜂蜜、スパイス、パン等を添えることで、様々なマリアージュも期待できます。
ワインのタイプに合わせたチーズをセレクトし、カットしてプレートに並べるだけで、いつものワインや食卓がぐっと華やかで豊かなものになるはず。ぜひ今回の特集を活用してワインとチーズと仲良くなってみませんか。
チーズについて教えてくれたのは、村瀬美幸(むらせみゆき)さん
2013年フランスで行われたチーズ専門家『フロマジェ』の世界大会で優勝する。 五感を使って楽しむ「チーズアート」を取り入れた、見た目にも楽しく美味しいチーズプラトー制作の第一人者。 客室乗務員、ワイン講師、チーズ専門店店長を経て、2013年THE CHEESE ROOM を開校。講師やコンサルタントとして活躍する傍ら、日本チーズアートフロマジェ協会で次世代のフロマジェの育成、チーズアートの普及に尽力する。
その1 ワイン×チーズのきほんのき
フランスでは、1村に1チーズともいわれるほど、ひとくちにチーズと言っても、その数は1,000種類以上!作り方が異なれば、味わいも異なります。ワインとチーズと仲良くなるために、まずは合わせ方の基本を学んでみましょう!
基本1 チーズの種類とワイン
チーズには大きく分けて2つの種類があります。チーズの種類によって合わせるワインを変えてみてはいかがでしょうか?
ナチュラルチーズ
乳を乳酸菌や酵素で凝固し、水分を除いてつくる発酵食品。また、熟成させたもの。幅広い味わいでワインとの組み合わせも多種多様!
プロセスチーズ
ゴーダやチェダーなどのナチュラルチーズを粉砕、加熱溶融し、乳化したチーズ。強い風味や癖がないチーズなのでデイリーワインと好相性!
基本2 チーズ×ワインの合わせ方
合わせ方のコツを押さえて、ワインとチーズを楽しみましょう!ワインとチーズを選ぶとき、以下の3つのポイントを押さえてみましょう。
産地を合わせる
ヨーロッパではそれぞれの土地でチーズが作られています。ワインとチーズを同じ産地のもので合わせると相性抜群です!
熟成度合いを合わせる
できたての若いチーズには、フレッシュでフルーティなワインを。熟成期間の長いチーズには、しっかりした味わいのワインを選ぶのがよいでしょう。
味わいを合わせる
酸味のあるフレッシュなチーズには爽やかな白ワイン、マイルドでクリーミーな味わいのチーズにはコクのある白ワインがおすすめです。
その2 ワインとチーズのなかよしチャート
基本を押さえたはいいけれど、チーズとワインもたくさんの種類があって、どれとどれを合わせればよいのかわからない。そんな方のために、間違いなしなワインとチーズの組み合わせをご紹介します。
その3 ワインとチーズの距離がぐっと近づく、アレンジレシピ
チーズはそのまま食べても美味しいけれど、料理に使うとワインがよりすすむこと間違いなし!グラスを持つ手も、食べる手も止まらなくなる、チーズのアレンジレシピをご紹介します!
スパークリングワイン×フレッシュチーズの3色ディップ
口どけ滑らかなフレッシュチーズがスパークリングワインのきめ細やかな泡立ちとベストマッチ!
■マスカルポーネ&ツナ
【材料と作り方】2人分
①ボウルにマスカルポーネ100g、オイルを切ったツナ缶50gを入れ、オリーブオイル少々を混ぜてペースト状にする。
②塩・胡椒で味を調え、お好みで松の実を混ぜる。
③ココットに盛り付け、ケイパーを添えたら完成。
■ブリア・サヴァラン&パプリカ
【材料と作り方】2人分
①ボウルにブリア・サヴァラン100gを入れ、5㎜角にカットした赤パプリカ1/4個、みじん切りにしたエシャロット大さじ1を入れよく混ぜる。
②レモン汁小さじ1、塩・胡椒で味を調える。
③ココットに盛り付け、セルフィーユを飾ったら完成。
■クリームチーズ&アボカド
【材料と作り方】2人分
①アボカド1/2個を2㎝の角切りにし、ボウルに入れてフォークでつぶす。
②①にクリームチーズ100gを入れ、よく混ぜ合せ、レモン汁小さじ1、塩・胡椒で味を調える。
③小鍋に白ワイン50㏄と剥きエビ6尾、塩少々を入れ、蓋をして軽く蒸し煮にし、冷ます。
④ココットに盛り付け、エビを飾る。
白ワイン×ペコリーノとお豆のサラダ
青々しさのある豆類の甘さにペコリーノの旨味と塩味が加わり、胡椒とオリーブオイル、レモンピールで仕上げれば、シトラスの香り溢れるフレッシュ&ドライな白ワインがすすみます。
【材料と作り方】2人分
①スナップエンドウ4~6個、そら豆10粒、お好みでグリンピース・インゲン・枝豆を用意し、塩ゆでしておく。
②ボウルに①の豆類を入れ、粉におろしたペコリーノ・ロマーノ50gをたっぷり混ぜ、オリーブオイル少々、胡椒適量で味を調える。
③器に盛り付け、お好みでレモンピールをまぶす。ペコリーノ・ロマーノのスライスをトッピングする。
赤ワイン×ローストビーフのとろーりラクレットかけ
ローストビーフの赤身のジューシーさにグリーンペッパー香るスイス産ラクレットを溶かしかけることで、コクとスパイシーさが加わり、香りが強く濃厚な赤ワインの風味を引き立てます。
【材料と作り方】2人分
①お好みの量だけ用意したラクレットはスライスしておく。
②レンコン100gは皮をむき、1㎝ほどのスライスにし、半月にカット。ゴボウ1/2本はきれいに洗ってやや厚めのスライスにカットし、レンコンと一緒に蒸しておく。
③マッシュポテトを作る。
ジャガイモ2個は皮をむき、2㎝角程度にカットし、お鍋にジャガイモ、ひたひたの水をいれ柔らかくなるまで茹でる。お湯を切り、お鍋の中で熱いうちにマッシュし、オリーブオイル適量、みじん切りのニンニク少々、塩・胡椒をする。バターを少量入れて火にかけ焦げないように混ぜる。
④スキレットでラクレットを温め、ローストビーフ200gと野菜にかけたら完成。
2020年
3,300 円
(税込)
その4 チーズプラトー、作ってみない?
チーズプラトーとは、様々なチーズを美しく盛り付けたプレートのこと。
彩りよく盛り合わせると食卓がグッと華やかに!季節やテーマに合わせて箱やお皿、カッティングボードにチーズを盛り付けて、あなたのワインライフに取り入れてみませんか?
BOX型チーズプラトー
1 ブリ(白カビ)
2 ゴルゴンゾーラDOP ピッカンテ(青カビ)
3 ブシェット・ミエル(シェーヴル)
4 パヴェ・ド・ノー(ハード)
5 コンテAOP(ハード)
【作り方のポイント】
①タイプの異なるチーズを数種用意しましょう。
②BOX につめた後も、取りやすいように、各チーズを一口大にカットすると良いでしょう。ハードチーズをキューブにカットしキャンディー包みにするのもおすすめです。
③各チーズの断面が美味しそうに見えるように盛りつけましょう。やわらかいブリにはリンゴのスライスを添えて取りやすく、チーズを持ち運ぶことを考慮し、隙間なく盛りつけましょう。
④彩りや味のアクセントにドライフルーツやナッツ、ハーブなど盛りつければ出来上がり。
チーズの専門家、フロマジェに聞くチーズとワインを楽しむワンポイントアドバイス
村瀬さん
毎日チーズにふれた生活を送っているので、ワインとチーズを楽しむ時間によって、昼間だと優しい風味、夜はしっかりとした風味で余韻を楽しんだり、変化をつけています。 チーズの種類ごとにワインを合わせるというのは、とても感動的な組み合わせになる一方で、複数のチーズの盛り合わせの場合、チーズの数だけワインを用意するというのはあまり現実的ではありません。 そのため、より守備範囲の広いワインをセレクトしています。ワインの風味に合わせてチーズの厚みを変えたり、一口の量を調節したりしてワインが心地よく楽しめるよう工夫もすると良いですよ。