ゲヴュルツトラミネールの「ゲヴュルツ」は、「スパイス」という意味があり、この品種から造られるワインの香りの中には、アロマティックなフルーツの香り以外にも、コリアンダーを思わせるスパイシーなニュアンスが感じられます。 味わいにも同様にほのかなスパイス感があり、心地良い苦味が感じられるのも特徴です。

ゲヴュルツトラミネールから造られる白ワインは、ライチやマスカット、白いバラの香り、熟した果実の味わいとなめらかな酸味が特徴で、早い段階から香りが広がり、味わいも豊かなため、熟成させずに楽しむのが主流です。 その一方で、フランスのアルザスの特級区画の畑の厳選されたブドウから造られたワインは、熟成を経ることでより風味の複雑性が増すものもあり、蜜のような風味と、深みのある香りと味わいが感じられるようになります。

ゲヴュルツトラミネールの代表的な産地として知られるのが、フランスのアルザス地方。冷涼から温和な気候帯のエリアで育ち、世界的にも知名度の高い白ワインを生産しています。 とてもアロマティックで、ライチやマスカット、白いバラの華やかな香り、コリアンダーを想わせるスパイシーなニュアンスも感じられます。味わいは果実味豊かでまろやかな甘味を感じ、酸味はなめらかで優しく、ほのかなスパイス感があり、コクを与える心地よい苦味が感じられるのも特徴です。 もう一つの代表的な産地として知られているのが、イタリアのアルト・アディジェ。上記のアルザスとよく似た香りと味わいでありながら、南に位置する産地で造られるため、よりしっかりとしたボディが感じられるのが特徴です。

ゲヴュルツトラミネールから造られる白ワインは、ライチやマスカット、白いバラの香り、熟した果実の味わいとなめらかな酸味、ほのかなスパイス感とコクを与える心地良い苦味が感じられるのが特徴で、フランスの郷土料理としても有名なパテ・ド・カンパーニュやボイルソーセージの盛り合わせ、フォワグラのテリーヌのような肉系の前菜と相性抜群です。 ワインの豊かな風味と料理の味わいが同調し、肉の旨味とワインのコクが調和しながら双方の味わいを引き立て合います。

ゲヴュルツトラミネールから造られる白ワインの熟した果実のフレーヴァーとまろやかな甘みとコクのある味わいは、日本の果物を使ったお料理、例えば、あんぽ柿にもよく合います。 あんぽ柿は干し柿になる一歩手前のもので、とろける果肉と優しい甘さが特徴で、ゲヴュルツトラミネールのワインのもつ香りや味わいの特徴とも見事に調和し、双方の風味がさらに豊かに広がります。

ゲヴュルツトラミネールから造られた白ワインがもつ豊かなアロマとほのかなスパイスの風味、味わいに感じる甘みと心地良い苦味。この個性に対して、中華料理を合わせるとすれば、北京ダックをおすすめします。 香ばしく焼き上がったお肉の風味と旨味、タレの甘辛さに、ワインのもつ厚みと甘み、スパイス感が重なり、双方の味わいが引き立ちます。ワインのコクを与える苦味が、お肉の旨味をさらに引き出し、より豊かな味わいを楽しむことができます。

アルザス地方の生産者の中でも、個人的に今注目しているワイナリーの一つがこちらのアルベール・マン。リースリング等、他の品種のワインも素晴らしいですが、このゲヴュルツトラミネールも同様に秀逸。 ビオディナミ農法により生み出すそのワインは、生命力を感じます。

イタリア北東部のフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州を代表するワイナリーの一つ。こちらのワインは個人的にもレストランでオンリストしていた経験があり、とてもおすすめしたい１本。 アロマティックで華やかな香り、豊かな果実の風味となめらかな酸味、ほのかなスパイス感が料理との相性を高めてくれます。

スペインの名門トーレス社が造るコストパフォーマンス抜群の白ワイン。こちらもかつて勤務していたレストランでオンリストさせていただいたことがあり、非常に人気のあった1本です。 日本語で「エメラルドのワイン」という意味をもつこちらのワインは、白いバラとマスカットの香りが特徴的で、ほのかな甘みがあり、豊かな果実味とフレッシュな酸味のバランスが魅力です。