ブドウ品種を知ろう!ネッビオーロ

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公開日 : 2024.7.25
更新日 : 2024.9.27
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ネッビオーロメイン画像

「王のワインにして、ワインの王」と称されるバローロに使用されるブドウ品種、ネッビオーロ。イタリアで最も高貴なブドウ品種の一つであり、サンジョヴェーゼと並んでイタリアワインを知る上で重要なブドウ品種です。


今回はそんなネッビオーロについて、ソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

ネッビオーロのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

ネッビオーロ

ネッビオーロは北イタリアのピエモンテ州原産の黒ブドウ品種。非常に古くから存在するブドウ品種で、最初に言及されたのは13世紀にまで遡ります。


発芽が早いわりには収穫時期が遅い晩熟のブドウで、かつては10月後半から11月にかけて収穫されていました。名前の由来は諸説ありますが、晩秋の収穫時にブドウ畑に霧(Nebbia)がかかることから、この名前が付けられたとも言われています。


ピノ・ノワールのように、ネッビオーロは「テロワールを表現する」品種で、他のブドウよりも土壌や気候の特徴が味わいに反映されやすいです。

ネッビオーロの特徴

ネッビオーロの一つ目の特徴は色合い。ネッビオーロの皮に含まれる色素の濃度が低いため、多くの場合、薄い色をしていています。長期間熟成させるタイプも多いことから、褐色がかった色になりやすいのも特徴です。


香りはバラの花、チェリー、プラムなどの香りが感じられ、熟成が進むとタバコやなめし皮などの香りが表れます。


そして、若いネッビオーロの場合、色合いや香りからは想像つかないような渋みが特徴です。十分な熟成を経ることで、タンニンはとけ込んで滑らかになり、非常に複雑な風味の艶やかなワインとなります。


このような特徴から熟成することで真価を発揮するブドウ品種と思われがちですが、近年は技術の進歩や生産者のアプローチにより、若くから楽しめるネッビオーロも増えています。


また、テロワールの個性を尊重したワイン造りが進み、熟成方法も大樽を使うか否かなどは生産者によって考え方が異なるため、出来上がるワインのスタイルも多様になりました。


ちなみにネッビオーロはピエモンテ州南部クーネオ県での呼び名で、ピエモンテ州の北部ではスパンナと呼ばれD.O.C.G.ガッティナーラやゲンメに、ロンバルディア州北部のヴァルテッリーナではキアヴェンナスカと呼ばれD.O.C.G.ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ等に使用されています。

ネッビオーロのシノニム

ソムリエ解説!ネッビオーロは熟成させるとどうなるの?

ネッビオーロの大きな特徴は、他の品種と比較してタンニンが豊富なこと。 タンニンが豊富であるということは、酸化に強く、長期熟成に耐えるワインを造ることができる一方で、ワインが出来上がったばかりの段階で早めに飲むと、渋みが強く飲みにくいと感じてしまう可能性があります。そのため、ピエモンテでは伝統的にネッビオーロから造られたワインを樽の中で長期熟成させてからリリースするスタイルが一般的になりました。 熟成することで、豊かなタンニンは果実味に溶け込んで調和がとれて、香りは複雑性が増し、干しプラムや乾燥イチジク等のドライフルーツやキノコ、リコリス、野薔薇を想わせる香りも感じられ、豊かな風味が感じられるようになります。

代表的な産地

ネッビオーロが栽培されている主な産地

ネッビオーロはピエモンテ州で栽培されるブドウ全体の約8%しか占めていませんが、世界で最も多く栽培されているのがこの地域です。

イタリア・ピエモンテ州

ピエモンテとは、「山の麓」を意味し、その名の通りアルプス山脈の麓に広がっています。ネッビオーロの産地として代表的なのが南部のランゲ地方。クーネオ県の都市アルバ南部に広がる産地です。


中でも有名なのが、イタリア屈指の高級ワイン産地としても知られるD.O.C.GバローロとD.O.C.Gバルバレスコ。どちらも高級ワインとして、とっておきの場面で飲むのにピッタリな赤ワインです。


また、もう少し気軽にネッビオーロのワインを楽しみたいならバローロと同じくネッビオーロ100%で造られるランゲ・ネッビオーロがおすすめ。ランゲ・ネッビオーロは、バローロの生産地域であるラ・モッラ村やモンフォルテ・ダルバ村など11の村を包括する、より広い範囲が認められています。


大きく異なる点は熟成期間で、バローロは最低38ヶ月以上が必要とされていますが、ランゲ・ネッビオーロは法定熟成期間が設けられていません。価格もバローロに比べると手に届きやすいものが多く、コストパフォーマンスに優れたワインに出会う可能性があります。

ソムリエ解説!バローロとバルバレスコの違いって?

ピエモンテを代表する赤ワイン、バローロとバルバレスコ。前者はワインの王、後者は女王とも呼ばれ、同じブドウ品種ネッビオーロから、それぞれ違ったスタイルの赤ワインを生み出しています。 バルバレスコはバローロから北東に約15~20km離れた川沿いに広がります。標高がバローロよりも低く、昼夜の気温差が比較的小さく、ブドウが早く熟すのが特徴。バローロの土壌は泥灰土が多く見られるのに対し、バルバレスコはバローロよりも砂質が多く、粘土がやや少ないのが特徴です。 これらの条件から、バローロはよりしっかりとしたタイプのワインが生まれ、リリースまでの熟成期間も長いのに対し、バルバレスコは比較的軽やかなスタイルに仕上がります。

相性の良い料理

ネッビオーロと相性の良い料理

複雑で力強い味わいのネッビオーロが洋食、和食、中華それぞれどんな料理が合うのか、田邉さんに聞いてみました。

ネッビオーロと相性の良い料理

ソムリエ解説!洋食ならどんな料理が合う?

ネッビオーロの故郷であるピエモンテは、トリュフをはじめとするキノコの産地としても有名です。現地の郷土料理として、卵黄を練り込んだタヤリンというパスタにトリュフをかけたお料理がありますが、トリュフの風味と卵黄のコクのある味わいが、ネッビオーロの赤ワインのもつ複雑な香りとしっかりとした味わいとよく合います。 その他にも、牛肉の赤ワイン煮込みとの相性も良く、やわらかく煮込んだ牛肉の旨味とテクスチャーに緻密なタンニンときめ細かい酸味が溶け込み、食材の風味をより豊かにしてくれます。

ソムリエ解説!和食ならどんな料理が合う?

ネッビオーロの赤ワインの香りに感じられるドライフルーツやキノコ、さまざまなスパイスのニュアンス。緻密で豊かなタンニンとなめらかな酸味、骨格のある味わいに対して、和食を合わせる場合におすすめなのが、焼き鳥のちょうちんです。卵黄のコクと旨味、ヒモの野生味と鉄分的な要素と複雑性のある味わいとテクスチャーに、上述したワインのもつ個性が重なり、風味がより豊かに広がります。 その他にも、うなぎの蒲焼きにも、風味と味わいの深みの観点からよく合います。

ソムリエ解説!中華ならどんな料理が合う?

ネッビオーロに中華料理をペアリングする場合は、麻婆茄子がおすすめです。ひき肉のまろやかでコクのある味わいときめ細かいテクスチャー、茄子の独特の風味に、ワインの凝縮した風味とほのかなスパイス感、緻密で溶け込んだタンニンと酸味が同調し、双方の味わいの深みが増します。

おすすめワイン

最後に、田邉さんおすすめのネッビオーロを使ったワインを3本ご紹介します。

ランゲ・ネッビオーロ / パオロ・スカヴィーノ

革新的な取り組みを行い、世界から注目を浴び続けてきたピエモンテの生産者が生み出すコストパフォーマンスの高い1本。 こちらのワインは優良な畑のブドウを贅沢に使用して造られており、ネッビオーロ本来の香りや味わいの魅力を存分に体感できます。

ランゲ・ネッビオーロ
750ml

ランゲ・ネッビオーロ

  • エレガント&クラシック

  • 2022

    4,400

    (税込)

ランゲ・ネッビオーロ / カヴァロット

創業当時と変わらぬ製法を引き継ぎ、家族経営を貫き続ける伝統的な生産者カヴァロット。複雑性のある香りと緻密で深みのある味わいが魅力で、個人的にも飲む機会が多い造り手。 ピエモンテのネッビオーロの伝統的なスタイルを体感するにはピッタリの1本です。

ランゲ・ネッビオーロ
750ml

ランゲ・ネッビオーロ

  • パワフル&ストラクチャー

  • 2022

    7,150

    (税込)

バローロ / プルノット

ピエモンテ州において、その実力をいかんなく発揮し、年々その存在感が大きくなっている名門ワイナリーが造る秀逸な1本。100年以上続く老舗ワイナリーで、現在は名門アンティノリが所有しています。 複雑性のある外観、ドライフルーツやキノコ、スパイスのニュアンスを感じる豊かな香り、緻密で深みのある味わい。余韻が長く続きます。

バローロ
750ml

バローロ

  • エレガント&クラシック

  • 2019

    8,250

    (税込)

まとめ

これまでネッビオーロから造られるワインの真価は長期間の熟成を経てこそ発揮されると言われてきました。実際その通りで間違いはありませんが、最近は若いうちから気軽に楽しめる高品質なネッビオーロのワインもたくさん生まれています。


いつかの機会に......なんて思わずに、まずは手に取りやすいものから試してみてはいかがでしょうか?

ネッビオーロのワイン一覧

文=川畑あかり

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