ブドウ品種を知ろう!シュナン・ブラン

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公開日 : 2025.3.3
更新日 : 2025.3.3
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シュナン・ブラン

シュナン・ブランは、その豊かな味わいと多様な表現力で、世界中のワイン愛好家を魅了する白ブドウ品種です。


フレッシュな酸味と果実味を持ちながら、熟成を経ることでハチミツやアーモンドのような深みを感じさせるこのワインは、さまざまな料理とのペアリングでも楽しむことができます。


この記事では、この魅力的なワインの特徴からおすすめの産地、料理との相性まで、ソムリエの解説付きで詳しくご紹介します。

シュナン・ブランのワイン一覧

解説してくれるのは、田邉公一さん


田邉公一さん

J.S.A認定ソムリエ 飲と食の様々な可能性を拡げていく活動をしています。 2003年 J.S.A認定ソムリエ資格取得 2007年 ルイーズ・ポメリー ソムリエコンクール優勝 2018年 SAKE DIPLOMA INTERNATIONAL資格取得 著書『ワインを楽しむ 人気ソムリエが教えるワインセレクト法』(マイナビ出版)2023年12月発売 X(旧Twitter):@tanabe_duvin Instagram:@koichi_wine

目次

特徴

シュナン・ブラン

シュナン・ブランは、フランスのロワール地方原産の白ブドウ品種です。


豊富な酸味が特徴で、辛口から甘口、スパークリングワインまで幅広い種類のワインの原料に用いられます。


シュナン・ブランは樹勢が強く、土壌の肥沃度によって収穫量が変わる品種です。萌芽は早く、比較的長い生育期間を持ちます。


寒冷地では霜の影響を受けやすい品種ですが、高い酸を保持しやすい特性があるため、遅摘みや貴腐ブドウを使用した甘口ワイン造りにも適しています。

ソムリエ解説!甘口ワインも造られるのはどうして?

シュナン・ブランは非常に多様性に富んだ白ブドウ品種の一つであり、冷涼から温暖な気候帯まで幅広く生育が可能です。 その風味は柑橘フルーツからリンゴ、カリン、桃、トロピカルフルーツまで、ブドウの熟度によってさまざまに変化します。 天然の高い酸を持っていることも大きな特徴で、収穫期を遅らせて糖分が上がってきても高い酸が維持されるため、遅摘みにも適しており、貴腐の影響も受けやすいことから、辛口スタイルのみでなく、クオリティの高い甘口ワインを造ることもでき、それぞれのスタイルが高い人気を誇っています。 特に有名な甘口ワインとして、フランス ロワール地方の三大貴腐ワインであるコトー・デュ・レイヨン、ボンヌゾー、カール・ド・ショームが有名で、長期の熟成にも耐えるポテンシャルの高い甘口ワインが生み出されています。

特徴

豊富な酸味を持つという点をのぞいてニュートラルな性質を持ち、気候や土壌、生産者のスタイルによって造られるワインの味わいは様々です。


ベーシックなタイプのシュナン・ブランのワインはフルーティで白い花のような香りと、爽やかでしっかりとした酸味を持ちます。


日照時間が少ない土地では、より酸味の強いドライなワインが造られ、冷涼なエリアのブドウはスパークリングワインの原料となります。


一方で、日照時間が長い土地でしっかりと完熟したシュナン・ブランは、生き生きとした酸とともに凝縮したハチミツの香りが感じられるワインが造られます。 


また、収穫を遅らせて造られた甘口ワインは、黄金色の色合いでカリンや桃のような香りが特徴を持ち、数十年以上も熟成させることができるポテンシャルを持ったワインとなります。

ソムリエ解説!熟成させるとどうなるの?

ワインの熟成は酸化による影響が大きいことから、長期間に渡って熟成することによって、「第3アロマ」と呼ばれる香りが現れます。 それらは赤ワインであれば、キノコや土、枯葉のような自然界で見られる香りが主体となっており、果実のニュアンスはドライフルーツのフレーヴァーへと変化していきます。 白ワインであればハチミツやマッシュルームのような香りが出てきたり、よりまろやかな味わいへと変化していきます。 シュナン・ブランから造られるワインに関しても、その持ち前の高い酸味と豊かな風味によって、長期熟成のポテンシャルを持っています。 特に遅摘みや貴腐ブドウから造られる甘口ワインは長い熟成に耐えることができ、熟成によってドライフルーツやハチミツ、カラメル、ほのかにマッシュルームのような香りが現れ、風味もより複雑な印象へと変化していきます。

ソムリエ解説!シュナン・ブランの魅力って?

シュナン・ブランの魅力は、辛口からオフドライ、半甘口、甘口の白ワイン、さらにはスパークリングまで幅広いスタイルの生産が可能で、カリンやキンモクセイ等、魅力的な香りと風味を持ち、さまざまなシーンで活躍できることです。

代表的な産地

代表的な産地

その多様性からさまざまな気候条件に適応できるため、世界中で栽培されているシュナン・ブラン。中でも代表的な産地をご紹介します。

フランス・ロワール

フランス・ロワール

シュナン・ブランは主にロワール川中流域のアンジュー・ソミュール地区とトゥーレーヌ地区で栽培されています。


海洋性気候および半海洋性気候のアンジュー・ソミュール地区は、夏は暑く冬も温暖で日照に恵まれており、シュナン・ブランは主にスパークリングワイン「クレマン・ド・ロワール」や甘口の白ワインなどに使用されますが、辛口の白ワインも造られています。


海洋性気候と大陸性気候の影響が交差するトゥーレーヌ地区の西側、特にヴーヴレなどでは、シュナン・ブラン100%の白ワインが造られています。


ちなみに、かつてロワール地方でシュナン・ブランは、「ピノー・ド・ラ・ロワール(Pineau de la Loire)」と呼ばれていました。


「Pineau(ピノー)」は、ブドウの房の形が松の実のように密集していることに由来するとされ、ピノ・ノワールなどと同様にブドウ品種の名称に使われることがあります。

南アフリカ

南アフリカ

南アフリカでは、シュナン・ブランが白ワイン用品種として最も多く栽培されており、世界最大の栽培面積を誇ります。


1655年に南アフリカにもたらされたブドウの一つと考えられており、長らく「スティーン(Steen)」という名称で呼ばれていました。


中でも西部の西ケープ州にあるブレード・リヴァー・ヴァレー地域では、ブリード川沿いに広がる肥沃な土地を活かし、特にシュナン・ブランの一大産地として知られています。ここでは多様なスタイルのワインが造られています。


この地域は地中海性気候に属し、降水量が少なく夏は乾燥しており、灌漑施設の整備と低温発酵技術の進化により、高品質なシュナン・ブランが安定的に生産されるようになりました。


また、ブランデー産業の発展もシュナン・ブランの広範な栽培を支える要因となりました。

ソムリエ解説!産地による味わいの違いは?

シュナン・ブランは、冷涼から温暖な気候帯のエリアで育ち、本家であるフランスのロワール地方のみでなく、南アフリカのシュナン・ブランも多くのワインラヴァーから注目を集めています。 華やかな香りと爽やかで生き生きとした酸味、豊潤な果実味をもつスタイルは共通していますが、各産地の個性もやはり存在しています。 代表的な産地の一つであるロワールでは、洋梨や黄リンゴ、カリン、キンモクセイ等の香りを感じる、辛口でありながらほのかな甘味をもつスタイルと、豊かな甘味と酸味をもつ貴腐ワインが生産されることで有名です。 一方、南アフリカでは、ニュートラルなアロマのドライなタイプから、ロワール地方で見られるような華やかなアロマを持つオフドライなスタイル、さらには樽のニュアンスを持つ、ややボディのしっかりとしたタイプまで幅広いスタイルが生み出されており、それぞれが人気を集めています。

相性の良い料理

相性の良い料理

しっかりした酸味と果実味を持つシュナン・ブランは様々な料理と合わせて楽しむことができます。


どんな料理が合うのか、おすすめの料理を田邉さんに教えてもらいました。

相性の良い料理

ソムリエ解説!シュナン・ブランにはどんな料理が合う?

爽やかな辛口タイプからオフドライなスタイルのシュナン・ブランには、サーモンやポークのリエットなど、軽やかでありながら豊かな風味となめらかなテクスチャーも持つお料理によく合います。 収穫を遅らせてやや甘口に仕上げたタイプには、チキンのオレンジ煮のような甘味と酸味を併せ持つフルーツの風味を効かせたお肉料理もよく合います。 シュナン・ブランの発祥の地であるフランスのロワール地方 アンジュー地区は、有名なオレンジのリキュール コアントローの製造所もありますが、シュナン・ブランにはオレンジを思わせるフレーヴァーもあり、香りと風味、甘味と酸味の観点からも、こちらのお料理と見事に調和し、双方の味わいがより豊かになります。 豊潤な甘みをもつ貴腐ワインに合わせる料理としておすすめなのが、リンゴのタルトです。風味、甘味、酸味共に見事に相乗し合い、まさにマリアージュと呼べるペアリングを体感できます。 シュナン・ブランの原産地であるロワール地方は、日本でも有名なリンゴを使ったデザート「タルトタタン」の発祥の地としても知られています。南アフリカで生産されている同様のスタイルの白ワインも、上記をヒントにして合わせることをおすすめします。

おすすめワイン

最後に、田邉さんおすすめのシュナン・ブランを使ったワインを3本ご紹介します。

ヴーヴレ クロ・ド・ルージュモン アベイ・ド・マルムティエール セック / ヴィニョー・シュヴロー

こちらの生産者のヴーヴレは、私も長年レストランやスクールで供出してきた経験があるお気に入りの白ワインの一つです。 オーガニックのABの認証に加え、ビオディナミ農法を採用し、常に高品質で安定感のあるワインを生み出し続けています。 カリンやキンモクセイの香り、ドライなスタイルでありながらほのかな甘味が感じられ、豊かで伸びのある酸味とのバランスが秀逸です。

ヴーヴレ クロ・ド・ルージュモン アベイ・ド・マルムティエール セック
750ml

ヴーヴレ クロ・ド・ルージュモン アベイ・ド・マルムティエール セック

  • フルーティー&ライプ

  • 2023

    4,620

    (税込)

    NEW

シュナン・ブラン / デイヴィッド&ナディア

南アフリカのシュナン・ブランの中でもいち早く頭角を表したで生産者で、年々知名度が高まっています。 ティム・アトキンMWが毎年発表する「ケープ・クラシフィケーション」において高い評価を獲得し、古木の保護、価値向上を理念とする団体、オールド・ヴァイン・プロジェクトにも加盟しています。 こちらの白ワインは樹齢35年以上のブドウのみを使用し、古樹ならではの奥行きのある味わいと風味の豊かさ、余韻の長さを感じます。

シュナン・ブラン
750ml

シュナン・ブラン

  • 白ワイン
  • 2022

    6,270

    (税込)

  • JS 93

まとめ

辛口から甘口、スパークリングワインまで多様なスタイルのワインを生み出す、シュナン・ブラン。


ワイン単体で楽しむのはもちろん、料理との相性も良く、幅広い食事シーンで楽しめる品種です。シュナン・ブランから造られるワインをぜひ色々試してみてください。

シュナン・ブランのワイン一覧

文=岡本名央

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