ファミーユ・ジョリー(ニコラ・ジョリー)
FAMILLE JOLY(NICOLAS JOLY)

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フランス ロワール

ファミーユ・ジョリー(ニコラ・ジョリー) / FAMILLE JOLY (NICOLAS JOLY) ワインボトル

「ビオディナミの伝道師」と称される、自然派の鬼才


フランスで初めてビオディナミを取り入れたファミーユ・ジョリー(ニコラ・ジョリー)は、一代で名声を築き上げたロワールを代表するワイナリーの一つです。「おいしいワインである前に、その土地固有の繊細さを表現した本物のワインでなくてはならない。」という考えのもと、世界中で栽培者への啓蒙や講演活動を実施。「ビオディナミの伝道師」と称されるとともに、圧倒的な存在感を放つ白ワインを生み出しています。


※ニコラ・ジョリーは2019年ヴィンテージより、ファミーユ・ジョリー(ニコラ・ジョリー)に名称が変更されました。

目次

フランスで初めてビオディナミを取り入れた「伝道師」

ファミーユ・ジョリーは、現オーナーであるニコラ・ジョリー氏が一代で名声を築き上げたロワールを代表するワイナリーの一つ。ニコラ氏は元々、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得し、ウォールストリートで働くビジネスマンでした。モントリオールの金融省に1年半、更にモルガンスタンレーに5年間勤務し、ビジネスの世界で順調に出世していた中、1976年に仕事を辞めてフランスへ帰国。母が運営していたワイナリーを継ぎ、ワイン造りを始めました。


当初は他の生産者同様、ワインコンサルタントのアドバイスを受けて除草剤や化学肥料を使用していましたが、次第に畑に昆虫がいなくなり、土壌も明らかに変質しているのに気づいた彼は、1980年代初頭にルドルフ・シュタイナー氏が提唱するバイオダイナミック農法(ビオディナミ)を取り入れたブドウ栽培を実践し始めます。

ニコラ・ジョリー氏

この農法を取り入れた当初、近隣の栽培家から非難を受けることもありましたが、畑が本来の力を取り戻し、エレガントなワインが出来るようになると関心を示す生産者が続々と出現。ブルゴーニュの偉大な女神ラルー・ビーズ・ルロワ氏でさえ彼の影響を受けていると言われるほどに、ニコラ氏はビオディナミの先駆者的な存在となりました。


ビオディナミは今でこそフランス各地の一流生産者に導入されている農法ですが、フランスで初めてビオディナミを取り入れ成功したのは、ニコラ・ジョリー氏その人なのです。


また、ニコラ氏は、「おいしいワインである前に、その土地固有の繊細さを表現した本物のワインでなくてはならない。」というAOC法(原産地呼称統制法)の原点への回帰を提唱しています。2001年にはビオディナミの団体「Return to Terroir」を創立し、現在は12カ国、約150生産者がこの団体に所属。現在も日本を含む世界中で、栽培者やワインラヴァーへの啓蒙や講演活動を行ない、「ビオディナミの伝道師」と呼ばれています。

僅か7haの単一畑から生み出される究極の白ワイン

ワイナリーが所有するのは温暖な海洋性気候で知られるアンジュ―&ソミュール地区の中でも、南西部右岸に広がるサヴニエールの畑。火山性の鉱物や砂岩などを含む、複雑なテロワールで知られており、シュナン・ブラン100%で造られる辛口白ワインは、ミネラル感を感じさせる香りと力強い骨格が特徴です。近年は温暖化の影響もあり、より密度の高い果実味が味わえるリッチな印象のワインも生産されています。


複数所有する畑の中でも、最も有名なのがクレ・ド・セラン。この畑は12世紀にシトー派修道僧によって植えられ、800年以上に渡りブドウ栽培が行われている由緒ある区画です。


その歴史の中ではルイ11世や14世、女帝フィーヌなど偉人たちがこの地を訪れたという記録も残るほど、著名な歴史を誇ります。1962年に歴史好きであったニコラ氏の父が購入した区画は、1976年からニコラ氏が引き継いでおり、現在彼らのみが唯一所有する区画、モノポール(単一所有)として知られています。

急斜面に広がるクレ・ド・セラン

その僅か7haの畑は夕方になっても燦々と太陽を浴びる抜群の日当たりに恵まれた急斜面の畑であるため、しっかりと果実味の乗ったブドウが収穫されることが特徴。また、畑には平均樹齢は40年以上の樹々が植えられており、一番古い樹で80年以上という高樹齢のブドウ樹から複雑で濃縮感溢れる白ワインが産み出されてます。


その優れたブドウから造られるワインを、食通の王として有名なキュルノンスキー氏が、『イケムに並ぶ、フランスの5大白ワインの1つ』と評価。ロマネ・コンティや、シャトー・グリエなどと共に原産地呼称名をそのままワイン名として名乗ることができる最高峰のワインとして称えられているのです。

溢れる生命力と限りなく長い余韻

ワイナリーでは、農薬や化学肥料を一切排除していることはもちろん、牛や羊などを飼い、イラクサを始め多くのハーブを育てています。ハーブなどからビオディナミに必要なプレパラシオン(調合剤)を造り、家畜たちが畑の草を食べ、馬で耕作することで、ブドウ樹があらゆる自然環境と共生し、自然のまま育つことが利点です。


ブドウの収穫は、完璧に熟したときにのみ房を摘み取ることができるように、2、3ヵ月と長期間かけて実施します。シュナン・ブランは万全に熟すと濃い黄色へと果皮を変色し、複雑な風味をワインに表すことが特徴で、そのためには健全で持続可能な農業が必要。これに対し、ファミーユ・ジョリー(ニコラ・ジョリー)ではビオディナミ農法が完璧な成熟を促すため、シュナン・ブランのミネラル感の元となるフレーバーが最大限ワインにもたらされるのです。

成熟中のシュナン・ブラン

醸造では温度調節やデブルバージュは行わずに自然酵母で発酵し、古樽で数ヵ月間熟成後、瓶詰め前にフィルター処理をごく軽く実施。ニコラ氏は何年にも渡って醸造手法を変えておらず、畑での作業のみを改良し続けているため、ワインにはテロワールとヴィンテージの個性がただ強く反映されています。その味わいは濃密で複雑なアロマと驚くほどのボリューム感がありますが、キレのある酸や硬質なミネラル感に支えられた、エレガントなスタイルが魅力です。


ワインのプロからの信頼もお墨付きで、世界的に著名なロバート・パーカー氏は、クレ・ド・セランを"ロワールのモンラッシェ"と絶賛しています。また、ワイン・スペクテータ―では過去にクレ・ド・セランの垂直試飲を行って記事にしており、その中では「開栓して1日経ってもへこたれることはなく、古いヴィンテージはまだ活気に満ちている」と取り上げられています。


ビオディナミによって引き出されたブドウ本来の持つエネルギーやパワーが感じられ、その圧倒的な存在感は白ワインのイメージを覆すほどの衝撃とともに、飲む者を虜にする珠玉の白ワインとして、世界中のワインラヴァーから愛されているのです。

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