ワインの「フルボディ」ってなに?

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公開日 : 2024.3.25
更新日 : 2024.9.27
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ワインのフルボディってなに?

ワイン用語で「フルボディ」「ミディアムボディ」「ライトボディ」という言葉を聞いたことはありませんか?


「なんとなく知っているけど何が違うんだろう…」と思っている方も多いと思います。今回はその「ボディ」についてソムリエの解説付きで詳しくご説明いたします。


それぞれ代表例のワインもご紹介しますので、ぜひワイン選びの参考にしてみてください。

解説してくれるのは、紫貴あきさん


紫貴あきさん

ワイン講師 日本最大級ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」の人気講師。初心者から上級者まで唸らせる質の高いレッスンが評判で、その指導実績は3500人超。その他、企業研修、メディアへの執筆・監修・取材協力、出演など幅広く活動している。 著書『ゼロからスタート! 紫貴あきのソムリエ試験1冊目の教科書』(KADOKAWA)を2024年3月28日に出版予定。

目次

ワインの「ボディ」とは?

ワインのボディ

ボディとは直訳すると「身体」という意味で、ワインでは「骨格」を指す言葉です。味わいのふくよかさや重厚感、渋みの度合いを表現するために使われます。


その度合いによってフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディに分けられるのです。


コーヒーを例に例えると、エスプレッソのような濃くて飲みごたえのある味わいはフルボディ、アメリカンコーヒーのようなあっさりと軽い味わいはライトボディ、その中間がミディアムボディと言えるでしょう。


ワインも同じように色合いが濃く、渋みや酸味がしっかりとしたコクのある味わいがフルボディ、淡い色合いで軽やかな味わいがライトボディ、その中間がミディアムボディとなります。

ソムリエ解説!ワインのボディを決定づける3つの要素とは?

それではワインのボディを決定づけるのはどんな要素なのでしょうか。紫貴さんに3つの要素を教えてもらいました。


  • アルコール度数
  • ブドウ品種
  • ワインに含まれる糖分

アルコール度数

赤ワインのグラス
紫貴さん

紫貴さん

ボディにもっとも大きな影響を与えているのがアルコール度数です。ずはりアルコールとボディは「比例関係」にあるのです。アルコール度数が低いと、軽やかな飲み口に、アルコール度数が高いと飲みごたえのある味わいになります。 これはワインだけでなく、酒類全体に当てはまります。一般的なビールのアルコール度数は5%前後でライトボディと言えます。夏にビールが飲みたくなるのは、ゴクゴクと軽快に飲めるという点が季節にはまるからでしょう(もちろん泡が爽快感をもたらしてくれるのもあります)。 ノンアルコールビールが、風味はビールにそっくりだけど、飲んでみるとするりと喉元を過ぎていくように感じるのも、アルコールが含まれていないためです。

ブドウ品種

ブドウ
紫貴さん

紫貴さん

ボディを決めるのはアルコール度数だけではありません。ブドウの種類によっても変わってくることもあります。 赤ワインの原料となる黒ブドウは渋みの素(タンニンとも呼ぶ)を含んでいます。この渋みの素をたくさん含むブドウからワインを造れば、タンニン量が多く、しっかりとした飲みごたえのある味わいに感じやすいのです。 タンニン量が多いか、少ないかはブドウの果皮の厚さに由来します。特に黒ブドウは、果皮と種子にタンニンが多く含まれているため、果皮が厚い品種になればなるほど、渋みの強いワインになります。 タンニンが多く、飲みごたえのある代表選手には、カベルネ・ソーヴィニヨン。タンニンが少なく、軽やかなワインの代表選手にはピノ・ノワールがあります。

ワインに含まれる糖分

白ワインと赤ワインのグラス
紫貴さん

紫貴さん

ココア(ココアパウダーをお湯や牛乳で割った飲み物)よりも、ホットチョコレート(チョコレートをお湯や牛乳で割った飲み物)のほうが、重たい飲み口に感じないでしょうか。 この二つの違いは、ずばり「甘みの程度」です。甘みが強いほど、しっかりとした味わいに感じやすい傾向にあるようです。 これはワインも同じで、甘みが強いワインほど、フルボディ気味に感じやすいようです。たとえば、フランス・ボルドーのソーテルヌ地区の甘口ワインは残糖度が100~150g/ℓで飲みごたえ抜群、イタリア北西部で造られるスパークリングワインのモスカート・ダスティは残糖度50~100g/ℓで軽快に感じます。

※どれか1つでボディが決まるわけではない

紫貴さん

紫貴さん

ボディを決める要素は、上記に挙げた三つのうちの一つだけが原因とは限りません。三つの要素が複合的に絡み合って、ボディが決まるのです(それ以外にも熟成などが関係することもあります)。 例えば、ドイツのワインで「Kabinett(カビネット)」とラベルに記されているものは、やや甘口のものが多いですが、たいていアルコール度数が9%程度のため、トータルでは軽く感じるのです。

フルボディ、ミディアムボディ、ライトボディってどんなワイン?

では実際にどんなワインがフルボディ、ミディアムボディ、ライトボディにあたるのでしょうか。紫貴さんにそれぞれの代表例を赤ワイン、白ワイン別に教えてもらいました。

赤ワイン編

赤ワイン 各ボディの代表例

フルボディの代表例

紫貴さん

紫貴さん

イタリア中部のブドウ品種「サグランティーノ」は、飛びぬけてタンニン量の多い品種です。加えて、年間を通じて乾いて、日照量の多いイタリアでは、ブドウがしっかり熟すため、アルコール度数の高ワインになります。渋くて、アルコール度数が高いワインとなれば、無敵のフルボディワインになります。 アメリカを代表するブドウ品種ジンファンデルは、簡単に甘くなりやすい性質があるため、アルコール度数は15%を超えることもしばしばあります。そのため、たいていフルボディに感じるでしょう。

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※この商品を含むご注文は11月28日以降に出荷いたします。

ミディアムボディの代表例

紫貴さん

紫貴さん

フランス、ボルドー地方で造られるワインで、ラベルに「Appellation Bordeaux Contrôlée」もしくは「Bordeaux」と記されているワインは、きっとミディアムボディのものが多いかもしれません。 ボルドーというと、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワインと思われがちですが、メルロ主体のワインです。メルロは、カベルネ・ソーヴィニヨンほどは渋くないこともあり、ミディアムボディになります。なかでも、ムートン・カデはミディアムボディのお手本といってもいいでしょう。

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ライトボディの代表例

紫貴さん

紫貴さん

正真正銘の日本生まれのブドウ品種に、マスカット・ベーリーAがあります。 果皮が薄く、タンニンが少ないことに加えて、高温多雨の風土では、なかなか甘いブドウが育てにくいこともあり、アルコール度数が上がりにくい性質があります。そのため、マスカット・ベーリーAから造られるワインは軽快な味わいが特徴になります。

ガブ
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ガブ

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ワインのアルコール度数について詳しくはこちら

白ワイン編

白ワイン 各ボディの代表例

フルボディの代表例

紫貴さん

紫貴さん

アメリカ・カリフォルニアでシャルドネから造られた白ワインが代表選手でしょう。カリフォルニアは、年間を通じて乾燥しているだけでなく、雨が少ないため、よく熟した甘いブドウができます。 シャルドネというブドウ品種自体も、簡単に甘くなりやすい性質があります。おまけに、アメリカ市場ではパワフルな味わいが好まれる傾向があるため、ブドウがしっかり熟してから(ときには過熟気味の状態で)収穫されることがあります。 そのため、アルコール度数が高いワインができ、フルボディになるのです。

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ミディアムボディの代表例

紫貴さん

紫貴さん

フランスのブルゴーニュやボルドーの白ワインは、ミディアムボディのものが多いでしょう。二つの産地は、暑すぎず、涼しすぎず、ちょうど良い気候タイプに位置しています。そのためアルコール度数も中程度のワインができ、ミディアムボディのワインとなるのです。 ブルゴーニュはシャルドネ、ボルドーはセミヨンとソーヴィニヨン・ブランのブレンドから造られます。

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ライトボディの代表例

紫貴さん

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ドイツのワインには、ライトボディのものを多く見つけられます。北緯47~52度と北半球の中でも高緯度に位置するドイツは冷涼で、甘すぎない酸度の高いブドウが収穫されるからです。 ドイツの甘口リースリングの中には、アルコール度数7~9%というものもあります。わずかに甘みがあっても、アルコールの方がボディに大きな影響を与えているせいか、トータルでは軽やかに感じます。 飲み疲れしないやさしい飲み口はまさに「癒し」です。

クナックアルシュ・リースリング・リープリッヒ
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ボディが分かるとワイン選びが楽しくなる!

ボディの違い、分かってきましたか?ボディが分かるとワイン選びの幅が広がります。


例えば、夏に爽やかなものが食べたくなって、冬には濃厚な料理が食べたくなるのと同じように、季節にボディを合わせることもできます。夏にはライトボディのワインを、冬にはフルボディのワインがお似合いです。


また、料理とワインのペアリングも考えやすくなるかもしれません。軽やかな料理にはライトボディを、コクのある料理にはフルボディを合わせてみてください。難しく考えがちなペアリングも身近に感じられるでしょう。

まとめ

ボディを知ることは自分好みのワインに出会うヒントになります。いろいろなワインを飲み比べて自分の好みの「ボディ」を知れば、また同じような味わいのワインに出会う近道になるかもしれません。


また、季節や食事に合わせてボディの異なるワインを選ぶことで、さらにワインライフが豊かになるでしょう。


ぜひボディを意識したワイン選びを実践してみてくださいね。

文=川畑あかり

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