1933年に設立された家族経営のワイナリー。オーナーのアンドレア・マンテンゴリ氏の「自分のブドウ畑と調和し、必要な時だけ働く」という「やらない」哲学のもと、ブドウ畑のポテンシャルをいかし、環境に配慮したワイン造りを行っています。醸造コンサルタントは著名なパオロ・カチョルニャ氏が担当し、ラ・セレーナの素晴らしい魅力が発揮されています。造られるワインは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノのワインとしては瑞々しく、若いうちから楽しめる濃密なスタイル。数々のワイン評価誌にて高評価を獲得しています。

ラ・セレーナはモンタルチーノという土地の価値に、誇りと自覚を持っている家族経営のワイナリー。彼らの歴史は、現当主のアンドレア・マンテンゴリ氏の祖父サンティ氏が、1933～1934年にモンタルチーノの東側にある約20haの畑、ラ・ラーザを購入したことが始まりです。そして、1988年に2代目のエンニオ氏がラ・セレーナの名前でブルネッロ・ディ・モンタルチーノを生産。1997年、現当主のアンドレア氏にワイナリーが引き継がれ、アンドレア氏が栽培と醸造、双子の兄弟であるマルチェッロ氏がセールスを担当しています。

ワイン造りにおいて、「やらない」哲学を掲げるアンドレア氏。彼は、「私たちの哲学の根底にあるのは、畑と調和し、必要なときだけ仕事をすること。自分の仕事がどのような価値をもたらすのかを理解して初めて、自然環境を尊重した仕事ができる。何かを生み出し、また回帰するというバランスを大事にしている。」と語っています。また、ワイナリー名の"La Serena"には、「serene＝穏やか」という言葉に由来。穏やかで平和な心でワインを楽しんでほしいという思いが込められています。

ラ・セレーナが所有する約13haの畑で栽培しているのは、全てサンジョヴェーゼ。そのうち12ha弱がブルネッロ・ディ・モンタルチーノのブドウです。モンタルチーノはとても恵まれた土地で、様々な土壌が完璧な相乗効果を生み出しています。痩せているが湿度を保つことができ、粘土が豊富な土壌。その土壌の構造を支え、水の停滞を防ぐのは泥灰土混じりの岩石です。そして十分な日照、風、海の影響や古い死火山であるアミアータ山に守られた気候などが驚異的なコンビネーションで形成しています。

中でもラ・セレーナの畑はモンタルチーノ東部、常に高い評価を得ているブルネッロを生産してきたエリアに位置。近隣には、チェルバイオーナ、カサノヴァ・ディ・ネリ、そしてビオンディ・サンティのイル・グレッポがあります。所有する畑は、南東向きの斜面、標高280～400mに位置し、土壌は凝灰岩、砂、粘土、泥灰土が混じる石灰質に富んだ粘土質。生み出されるワインは、ややコンパクトでストラクチャーはあるものの、若いうちは近隣のワイナリーが手掛けるブルネッロよりも親しみやすいスタイルとなっています。

アンドレア氏は有機農法を用い、2013年ヴィンテージよりオーガニック認証を取得。畑での人的介入を最小限に留め、自然発生的な動植物に全てを任せています。例えば、ミツバチが受粉を行えるように開花後の草刈りをできる限り遅らせるなど、動植物と共存する環境を尊重した有機栽培を実践。環境との完璧なバランスを保ちながら、サポートが必要な場合にのみ、水資源、植生など畑での管理に介入します。収穫は手摘みで行い、化学除草剤や化学肥料は使用せず、ブドウ樹の枝などを有機肥料として堆肥化。こうした土壌を尊重した栽培により、その土地とヴィンテージを活かしたワインが生まれるのです。

ラ・セレーナのワインは、常に伝統を尊重して生産されていることも特徴のひとつ。収穫されたブドウは選果台にて選別し、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノはステンレスタンクで発酵します。バリックは基本的に使用せず、20hLと40hLの大樽を用いてマロラクティック発酵した後、10～15日間のアルコール発酵を実施。熟成はスラヴォニアンオークの大樽を使用し、規定による24ヵ月以上、ヴィンテージによっては36ヵ月に及ぶこともあり、その後、瓶内熟成します。

彼らのワイン造りは、手間のかかる細やかなケアを行いながらも、納得のいく品質を保つために自分たちの管理の行き届く範囲で生産活動に従事。2022年には、ブドウの栽培からワインの醸造、販売管理までを自社で一貫して行う小規模生産者による連盟 FIVI （Federazione Italiana Vignaioli Indipendenti）に加盟しています。

こうして造られるワインは、ワイン評論家から高評価を獲得。2012年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノはワイン・スペクテーターで96点を、2010年のブルネッロ・ディ・モンタルチーノ・リゼルヴァ ジェミニ はワイン・アドヴォケイトで 95点を獲得しています。また、3,000円台と手頃で楽しめるロッソ・ディ・モンタルチーノは、2020年ヴィンテージがヴィノスにて90点を獲得するなど、ブルネッロのエッセンスが楽しめるスタイルとなっています。