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リッチで濃密なワインを生む、愛好家垂涎の銘醸地『ポムロル』

ポムロルは、ドルトーニュ河右岸リブルネ地区にあるワイン産地。ボルドーで最も小さな地区ながら世界最高峰のリッチで濃密なワインを生み出す銘醸地です。公式の格付けこそありませんが、格付けに匹敵する素晴らしいシャトーがひしめいています。

個性あるブドウが育つボルドーの小さなAOC

ポムロル

ポムロルは、リブルネ地域に位置しドルドーニュ川の右岸に広がる地域です。ブドウ畑は800ha程と小さく、ポムロル村と南西のリブルネ村とラランド・ド・ポムロルの一部を含みます。800haはおおよそメドックの格付け1級シャトーの面積を合わせた程度なので、ボルドーの中では小さなエリアということがお分かりいただけるでしょう。


サン・テミリオンと違い、歴史的建造物などはほとんどなく、起伏の少ない平坦な台地にブドウ畑が広がっています。そのため観光地としては一般的に広く知られてはいませんが、コアなワインファンにとっては垂涎の銘醸地として知られています。


気候は他のボルドー地区と同じ海洋性気候に属しており、秋は長く穏やかで夏は暑く、雨は一年を通して均衡に降る傾向にあり湿度が高い特徴を持っています。また海が近いため、風が強いのも海洋性気候の特徴です。


ポムロルの土壌は、太古の地層とドルドーニュ川によって運ばれた堆積で形成されており鉄分を多く含んでいます。ポムロルの西側の土壌は砂質で、香り良く滑らかでソフトなワインが造られ、サン・テミリオンに近い東側は粘土質土壌で、ペトリュスなどタンニンが強く構造が大きいパワフルなワインが造られているのです。

高評価と稀少さにより市場価値を高めたポムロルのワイン

ジャン・ピエール氏
ジャン・ピエール・ムエックス社初代オーナー、ジャン・ピエール氏

ポムロルでは、シャトーの規模が小さくワインの生産量も少ないため、現在では稀少価値が高く市場価格の高いワインが多く存在します。20世紀以前は、ペトリュスやシャトー・ル・パンなどの高級ワインがありもともと現地での評価は高かったのですが、ポムロルそのものが知られていなかったため世界的には無名の存在でした。


そんな無名のポムロルの名声を上げたのは、ボルドー右岸、特にポムロルが持つ土壌とメルロのポテンシャルを信じてその人生を捧げたジャン・ピエール・ムエックス社の功績によるもの。初代オーナーであるジャン・ピエール氏は、ペトリュスをはじめとするシャトーを買収、オーナー兼生産者としてその品質向上に心血を注ぎ、ペトリュスやシャトー・トロタノワなどと共に、1960年代、1970年代と素晴らしいワインを造り上げていきました。


1980年代に入ると、ワイン評論家ロバート・パーカー氏がポムロルのワインを大絶賛したことから、ペトリュスを筆頭にポムロルの人気が一気に高まります。そして、生産量の少なさも相まって市場価値も上昇。特にペトリュスはメドックの5大シャトーをも超える価格で取引されています。

高いアルコールと深いコクが可能にする長期熟成向けのスタイル

グラス

ポムロルでは、メルロを主体にカベルネ・フランをブレンドしたワイン造りが行われています。


多くのワインは、香り豊かで酸味や果実味、高いアルコール分と共に深いコクを持つため、長期熟成に向いたスタイル。優良年の質の高いワインであれば、30年は熟成することが出来るとも言われています。

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