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ワインショップ・エノテカ 船橋東武店

〒273-8567 千葉県船橋市本町7-1-1 東武百貨店船橋店地下1階 4番地
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船橋東武店のブログ

新緑色の白ワイン

川島

2023.09.12
ブログメイン画像

こんにちは、学生時代、決して地味とは言えない柄シャツに黒いジャケットで通学していたら、いつの間にか研究室の教授から「イモリさん」と呼ばれるようになっていた船橋東武店の川島です。


イモリ……なるほど……一見地味そうな見た目で、お腹側が派手な色したトカゲみたいなヤツですよね。でも教授、あだ名だと知らない学生には、苗字が「井森」だと思われていたんですが!


さて、思い出話もほどほどに、今回のスタッフブログ20話では、そんな私が心理学部時代に知った“共感覚”というもので楽しむ、ワインの世界をご紹介いたします。

きっかけは、大学の講義

皆さんは「共感覚(きょうかんかく)」という言葉を耳にしたことがありますか?


共感覚を専門的にご説明すると、「“1つの刺激から、複数の感覚が無意識に引き起こされる”知覚現象」のことなのですが、ちょっとわかりにくいですよね。


今、研究されている中では、

◇文字・音・数字に、色が見える

◇日付感覚が、空間的(3Dっぽく)感じられる

◇味・匂いに、色や質感を覚える

といった共感覚が代表的です。


この共感覚を持つ私が、日々体験している具体的な現象としては、

◇黒いインクで書いてある「ワイン」という文字が、頭の中では「ワ=紫、イ=桃色、ン=黒」に見える

◇踏切の警報音を聞くと、脳内がモルタルっぽいレンガ色でザラザラする

◇ワサビを食べると、脳裏に蛍光イエローのシャカシャカしたナイロン生地がはためく

といったかんじです。


「1つの五感の刺激から、一見全く関係のなさそうなイメージが頭に浮かぶ」と言えば、なんとなくご想像いただけますでしょうか。

(もっと詳しく知りたい方は、ググってみてくださいね)


とある研究では、この現象を所有している方が人口の数%いると言われていますが、生まれつき持っている現象故に本人に自覚がないことも多く、実数はもっといるのではないかとも言われています。


実は、私もその1人。

生まれてからの約20年間、文字や音に色を感じ、味に色と質感を覚えることが当たり前だったため、心理学部の授業で、それが少数派であると知った瞬間、雷で撃たれたような衝撃を受けました。

カラフルな文字やイラストで、筆者の見える世界を表現した写真
私の見える世界はこんなかんじ

思い返せば、友人との会話などで、違和感を覚えることがありました。


一番古い記憶は、小学1年生の教室。

黒板の脇に、先生が作った「挨拶をきちんとしましょう」というような内容の標語が掲示してあったのですが、その文字の色が気に入らず、しかも授業中に何度も視界に入ってくることが、酷く鬱陶しかったのを覚えています。


吹奏楽部で学生指揮者をしていた時は、部員達へ「この部分はもっと紫色を意識して演奏してください」と言ってポカンとされたり……友人の誤字を指摘する時に、「この文字は、もっと白っぽくなかった?」と言って首を傾げられたり……。


心理学部へ進学し、あの授業を受けることがなければ、今も自分が共感覚を持っていることに、今も気づけなかったかもしれません。

“脳内の色”が嫌で食べられないもの

「共感覚を持っている」と言うと、なんとなくカッコイイというか、古の中二病心がくすぐられる気も致しますが、良いことばかりでもなく……。


私が一番煩わしさを感じているのは、「味」ではなく、「脳内の色」のせいで、嫌いな食べ物があること!


先述の具体例でも挙げましたが、私はワサビを食べると、脳裏に「蛍光イエローのシャカシャカしたナイロン生地」がはためいてしまいます。

ご想像ください。刺身や寿司など、新鮮な海の幸を楽しんでいる最中、目と鼻の先で、「交通安全」の文字が踊りそうな蛍光イエローのナイロン生地がシャカシャカしていたら……落ち着きませんよね? 折角の海鮮の味に集中できませんよね??


食べられないことはないのですが、脳内が蛍光イエロー一色になってしまい、食事どころではなくなってしまうため、家族や親しい友人との食事では、できる限りワサビを回避しています。


それゆえ、私はこの歳になった今も、お寿司はワサビ抜き。

お寿司屋さんで、タッチパネル注文が普及したことを日本で一番喜んでいるのは、私かもしれません。

思いがけない共感覚の活用法

味に色と質感がある共感覚を持つことで、どちらかというと日常生活ではデメリットを感じることが多かったのですが、酒類販売業界へ飛び込んでから、特にエノテカでワイン漬けの毎日を送るようになってからは、思いがけず強みになっていたことに気付きました。


それは、味を“映像”で覚えているゆえに、一度テイスティングしたワインの味わいを忘れないこと!


入社1年、2年……と、ワインをテイスティングする機会が増えるにつれ、どのワインがどんな味だったのか、徐々にあやふやになってしまうのではないかと、最初は不安もありました。

ところが、映像で記憶していることで、2年前に1度飲んだワインの味を、昨日のことのように言葉で表現できている自分に気付いてからは、これは私の強み!とばかりに、日々活用してお客様へのワインのご提案を行っています。

シャブリのボトルと、その飲んだイメージ画像を写した写真
コルトー・ミシュレのシャブリを飲むと、森林浴がしたくなります

例えば、こちらのシャブリ[コルトー・ミシュレ/フランス ブルゴーニュ/シャルドネ(100%)/白 辛口/3,630円(税込)]。


口に含んだ瞬間、脳裏に浮かんだのは、森林浴が気持ちよさそうな緑地。

季節は初夏、5月下旬頃でしょうか。まだ湿度のそう高くない陽気に、日光を受けた新緑がキラキラと目に眩しく、地面に広がる木漏れ日がなんとも清々しい気分にさせてくれる景色が広がります。


思い浮かぶ景色は、ヴィンテージによって少々異なり、2017~2020年のヴィンテージは日差しがより眩しい印象が強かったのですが、2021年ヴィンテージは少し湿度が増し、まだ夜露に濡れた早朝や、虹が出そうな雨上がりの青空へと印象が変化しました。


この映像的な記憶を、お客様が味わいを想像し易いような言葉へ変換するのに、また苦労はするのですが、毎年テイスティングしているエノテカ定番ワインであれば、ヴィンテージによる変化まで細かく記憶しておけることもあります。


また、1人でじっくりワインを飲むときは、一般的なワインの楽しみ方である、味わい・香り・色合いの3つだけでなく、脳内で移り変わる景色までも一緒に楽しめるので、ワイン1杯でちょっとした小旅行の気分も味わうことができちゃうのはお得だな、と思っております。

共感覚者のワイン提案

そして、エノテカスタッフとして働く中で、なにより便利だと思っている共感覚の活用法は、品種や産地違いでもお客様が好みそうなワインがご提案できること!


自分が持っている共感覚が、少数派であるとは頭ではわかっているのですが、何せ生まれつき故に「どこからどこまでが共感覚由来の知覚なのか」については、未だによくわからないことも多く;;


あれは、エノテカへ入社してから1年以上経った頃でしょうか。

とあるお客様へのご提案が終わったあと、その場に居合わせた同僚から「意外な2本をご提案されたんですね」と言われたことに、酷く違和感を覚えました。

その同僚のニュアンスとしては、「色々なタイプのワインをお楽しみになるお客様なのですね」という、感心するような、ポジティブな印象の発言だったので、自分が「私の提案を否定された」と受け取って傷付いたワケではありません。


確かに、私がお客様のお好みを元にご提案し、実際にご購入いただいた2本は、確かに品種も産地も異なる白ワインだったのですが、私の脳内では「同じ属性のワイン」だったのです!


――…なぜ、品種も産地も異なるワインなのに、あんなにもお客様へ自信を持って「お好みに合うと思います」とご提案できたんだろう……あっ、脳内の映像が似た景色だから?

2本並んだボトルと、その飲んだイメージ画像を写した写真
ずっと撫でていたくなるようなベルベットを思わせるワイン

それこそエノテカ入社前から、それまで何気なく繰り返してきたご提案方法だったため、同僚に指摘される(同僚にそんな気はなかったと思いますが)まで、自分がワイン販売員としてはややイレギュラーなご提案をしていたなんで、全く気付いていませんでした。


<写真>

左:モンテス・アウター・リミッツ サンソー[モンテス/チリ/サンソー(100%)/赤 ミディアムボディ/3,520円(税込)]

右:フュロット・バルベラ・ダスティ[プルノット/イタリア ピエモンテ/バルベラ(100%)/赤 ミディアムボディ/2,750円(税込)]


こちらの2本のワイン、産地も品種も異なりますが、私が飲むと、重厚感のある上質な深紅ベルベットが、舞台の緞帳のように襞を寄せて佇んでいる映像が思い浮かびます。


強いて言えば、サンソーは上演前の明るい照明に照らされ、フュロットは劇中に舞台袖の暗がりにある……という印象の違いはあるのですが、どちらもシルキーで、思わず撫でたくなるような深紅の布地であることに違いはないので、「前、バルベラってやつを飲んで美味しかったんだよね」とおっしゃったお客様には、ご提案の1つとしてサンソーも挙げさせていただくと思います。

6本並んだボトルと、その飲んだイメージ画像2枚を写した写真
同じ品種でも、映像が全く違う2タイプ(一部終売ワイン有り)

また、例えば「パスカル・ジョリヴェのソーヴィニヨン・ブラン・アティテュード(写真:右手奥)が美味しかった」というお客様には、ソーヴィニヨン・ブランが主体であっても、映像が異なるコンテ・デラ・ヴィペラ(写真:左手前)や、同生産者のサンセールは、あまりご提案しないかもしれません。


こういった私の、ワイン専門家からはちょっと不思議なセレクトは、過去の「“フルボディのピノ・ノワールが飲みたい“というお客様がご来店されたら?」というブログ記事でも垣間見えましたので、よろしければそちらも読んでやってください。

(ただこちらのアンケートは、私のスタッフへのインタビュー方法が悪かった可能性もあるので、一概には言えませんが;;)

フルボディのピノ・ノワール

ちょっと普段飲んでいるワインとは、異なる品種や産地のワインに冒険したくなった時、よろしければお声がけくださいませ。

「自分で飲んだことのあるワインのみ」という発動条件はございますが、意外なワインをご提案できるかもしれません。


ワインの知識を身に着け続けることは忘れずに、共感覚も上手く活用しながら、お客様のお好みに合うご提案ができるよう、これからも精進して参ります!



いかがでしたか?

この記事を読んで、「私も共感覚持っていたかも……」という気付きのある方がいらっしゃいましたら、ぜひ当店のBARまでお喋りに来てくださいね~!


なかなかの長文に、最後までお付き合いいただきまして、ありがとうございました。

次回からは3話連続で、「炊飯器へ放り込むだけレシピ」をご紹介します。

9月19日(火)投稿予定です。どうぞお楽しみに!



◇最後に◇

こちらのブログ記事は、

・ひとえに「共感覚者」と言っても、人それぞれ個人差があること

・まだまだ研究余地のある分野であること

・素人が10年以上前に学んだ知識を元に、専門書をサラッと復習しつつ、書いたブログであること

などを前提に、あくまで“酒の賄”程度の気軽さでお楽しみいただければ幸いです。

今回ご紹介したワインはこちら

モンテス・アウター・リミッツ サンソー

モンテス

2022

4,070

(税抜価格3,700円)

商品詳細を見る

フュロット・バルベラ・ダスティ

プルノット

2022

2,750

(税抜価格2,500円)

商品詳細を見る

2022

4,730

(税抜価格4,300円)

  • JS 91
商品詳細を見る

コロンビア・ヴァレー ソーヴィニヨン・ブラン

マシューズ

2022

4,180

(税抜価格3,800円)

  • D 93
  • JS 91
  • V 90
  • WA 90
  • WE 90
  • WS 91
商品詳細を見る

ソーヴィニヨン・ブラン・アティテュード

パスカル・ジョリヴェ

2023

2,860

(税抜価格2,600円)

商品詳細を見る

シレーニ・ヌーヴォー ソーヴィニヨン・ブラン

シレーニ・エステーツ

2023

2,310

(税抜価格2,100円)

商品詳細を見る

◇写真掲載ワインにつきまして◇


①ムートン・カデ・レ・パルセル・ブラン[バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド/フランス ボルドー/白 辛口/2,640円(税込)]

現在は生産が終了した商品となります。船橋東武店では、現在店頭にある在庫がなくなり次第、終売となります。


②コロンビア・ヴァレー ソーヴィニヨン・ブラン[マシューズ/アメリカ ワシントン/白 辛口/4,180円(税込)]

ブログ掲載時点(2023年9月12日)にて、船橋東武店の在庫が極少となっております。再入荷時期が不明のため、気になる方はお早めにどうぞ。

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